トルコのごはん:おいしいトラブゾンのピラフ屋カルカンオール
ピラフ屋(pilavcı)という商売があります。ピラフというと、我々はエビピラフとかカレーピラフとか洋風炊き込みご飯のようなものが連想されますが、その起源はトルコにあります。トルコのピラフは、浅いお鍋にバターで軽く炒めた白米を水(または鳥スープ)で炊くもの、または、ブルグルというコムギをトマトで炊くものが最もポピュラーです。ピラフの横には必ずパンがついてきて、お米と一緒に食べます。パンは我々でいうところのゴハンで、ピラフはおかずなんですね。ピラフ論については、また別途お話するとして、ここでは僕の大好きなピラフ屋を紹介したいとおもいます。
イスタンブルにピラフ屋カルカンオール(Kalkanoğlu Pilavcısı)という名前の老舗のピラフ屋があります。ベイオールとカドゥキョイの二つの支店があるのですが、その本店はイスタンブルよりはるか北東、ジョージアに近いトラブゾンという黒海沿岸の港町にあります。
創業は1856年とされていますが、その経緯については諸説あるようです。一つは、もともと当時の宮廷ピラフ職人であったカルカンオール・スレイマン・アーが退職後に自分の故郷であるトラブゾンでピラフ屋を開いたとする説です。もう一つはクリミア戦争(1853-56)時、トラブゾンで出兵まで待機する兵士たちに食事をふるまうべく、トラブゾン州総督が周辺の村にいるピラフ職人、カルカンオール・スレイマン・アーをトラブゾンに連れて来て、ピラフの炊き出しをさせた。終戦の1856年にトラブゾンに残ったカルカンオールはピラフ屋を開業したとする説です(注1)。とにかく、1856年にはカルカンオール・スレイマン・アーという人物が、トラブゾンでピラフ屋を開業し、約160年もの間トルコの人々に愛さるピラフ屋になったようです。
ピラフは大きなピラフ鍋で炊き、大きな木製のスプーンでかき混ぜお皿に盛ります。味付けはバターと肉汁か何かをつかっているのか、飽きの来ない奥行きのある旨さです。写真にあるのは、ピラフのミックスです。トルコ料理でポピュラーな料理クルファスリエ(白いんげん豆のトマト煮)とクザルトマ(牛肉のソテー)とを乗せたものです。飲み物には、甘いホシャフhoşaf(果物のコンポート)が最高に合います。
一時期、週に2回くらい通っていましたが、最近はたまの贅沢です。日本人の舌に合うやさしくも、癖になるおいしさです。イスタンブルか、トラブゾンに旅行の際には、ぜひ訪れることをおすすめします。いや、ほんと最高です。efsane!
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