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―死が生み出した妄想が世界を作り出している―映画「MANRIKI」

こんばんは、チャンパムです。

今日は映画の会員カードを忘れて不機嫌だった(自分が悪い)ので、

88分の映画、酷かったらチケット破るぞくらいの気持ちで映画鑑賞。

あまり前知識もなく映画館へ足を運び、

開場まで待つ間何気なく眺めていたMANRIKIのポスターに「永野」の文字が。

正直ピンと来なくて、永野…?となっていたのですが、

映画が始まってびっくり。

なんとあの「ラッセンが好き」でお馴染みの芸人、永野さんが原案・脚本を務めているじゃないですか。

芸人さんの作る映画って、個人的には当たり外れの差が大きくて…例えば、ここぞとばかりに不自然に散りばめられて、プッシュされたコメディ要素とか、どちらかと言えば苦手で。

どうだろうな…と思いながら見始めたんですけれども、

永野さんの内省世界、そしてその表現力の高さにぐんぐん引き込まれて…

最初から最後まで見応えたっぷりの88分でした。

その中にはコメディ要素もあちこちに含まれておりましたが、全く不快にならず、

むしろ、そのシュールな笑いで芸人「永野」としてのアイデンティティをしっかりと盛り込んでいるように感じて、圧倒されました。

悪夢か、現か。物語なのか、私達なのか?

観てる者と映画の関係性をぶち壊す、

感情と拒絶の間に捻り込まれる、

まさに、「体感型エンターテインメント映画」でした。


※以下ネタバレ含みます。




「人って、妄想する生き物でしょ。でも妄想って、何がきっかけで生まれると思う?死よ。死から生まれた妄想が、この世界を作り出してるの。」

映画にも出演している永野さんのセリフ。

その、「死」って何だろう。

死から妄想が生まれるのだとしたら、私達は今生きながら、どこかで死んだことがあると言う事にならないか?

すると、その「死」という体験こそが、我々の個性だったりするのだろうか。

そう考えると、そのセリフにこそ、

この映画の面白さが集約されていると私は感じました。


そう考えると、違和感を感じた部分の伏線回収が全てできる。

死から生まれた妄想は、私達の体をつくる原子や細胞のように、私達の人生をつくり、社会をつくり、世界をつくっている。

ラストシーン、あの男が私達へ投げ掛ける言葉。

あれは、美しいメッセージなんかじゃない。

あれこそが、まさに「死が生み出した妄想」だったのではないか?

そう考えると、背筋がゾッとしました。

また、怖さだけでなく、

小物等、細部にまで練り込まれたコミカルな演出も魅力的でした。

ダークでシュールなのに、笑える。

「MANRIKI」の世界から、暫く抜け出せなさそうです。









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