羊、そのもの。タラヌイ牧場より。
羊の毛色=白?
実は、そんなことはありません。
人間と同じように、羊毛にも個性があるんです。
薄茶、茶、灰色、黒……
品種や環境によって、色や毛質はさまざまで、その数1000種以上とも。
今回は、遠く離れたニュージーランドから、羊の自然な毛色に魅せられた、1人の女性からはじまるお話です。
それは40年ほど前、
当時は染色しやすい「白い羊」が重宝されていて、有色の羊はほぼ需要がなく、忌み嫌われていました。
とある英国籍の女性が、ニュージーランドを訪れたときのこと、自然な毛色に魅せられ、数頭から有色羊を飼育しはじめました。
そのとき彼女は、羊飼いとしては全くの素人。情熱が彼女をうごかしたのです。
徐々に頭数を増やし、その良さが広まっていくとともに、品種改良を重ね、より細い繊度をもつ羊の群れへと育て上げました。
それが、タラヌイ牧場です。
健康的に育つ羊たち
農場があるニュージーランド南部の山岳地帯は、昼夜の寒暖差が大きい地方です。
冬には雪がどっさりと降り、草原は白く覆われます。
そんな環境で育った羊の毛は、艶、ふくらみ、弾力に富む、良質な毛糸となりました。
自然な毛色の美しさに突き動かされ、有色羊を後世につなぐタラヌイ牧場は、現在も白色の羊の飼育が圧倒的に多いニュージーランドの市場のなかで稀少な存在ともいえます。
ニュージーランドから日本へ
タラヌイの羊毛を、日本で生地に仕立てます。
天然色を生かし、毛の風合をより引き立てるインレイ編みに。ちらちらと、鮮やかな糸がのぞく色使いにしています。
牧場の藁や植物のかけらたち
天然色は、染める前の下処理も、染める工程もありません。通常の染色工程と比べて環境負荷が少ないのが特長です。
そのため、糸の中に、夾雑物とよばれる藁や植物のかけらが入っています。これは、羊が暮らす環境のなかの自然なもの。そして、薬品処理をしていない証です。
夾雑物は大小かたちもさまざま。かなり大きく目立つものは、職人さんの手作業によって丁寧に時間をかけて取り除いています。
小さいものや複雑に絡んだものもあるので、全ては取りきっておらず、無理に取るのもおすすめできません。これも、自然な素材の持ち味のひとつなのです。
羊の育成環境からこだわり、糸、編み、仕上げ、仕立てと、全ての工程で手仕事が生きた素材が出来上がりました。
毛の良さが際立つよう、シンプルなデザインのアウターを作りました。
ところどころ、生地を裏側に使ってアクセントに。ぜひ、お店で袖を通してみてくださいね。
※9/21 現在 ジャケットのみ取扱中。画像のコートは今週末〜来週から取扱予定です。ジャケットはYouTubeよりご覧頂けます。
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取材協力:日の出紡織株式会社
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