ミュール精紡機で糸づくり
ででん、と福々しい布袋さん。
とある工場の守り神として、鎮座しています。
その工場は愛知県で『ウール専門の糸づくり』をしています。それも、とても希少でこだわりのある糸づくりです。
パラスパレスでは、この冬のアイテムのために、糸をオリジナルブレンドで誂えてもらいました。
オリジナルで糸を作るって、どういうことでしょう?
糸は、糸やさんがストックしている既製品を使うのが一般的です。
しかし、今回のようにワタの種類や色をオリジナルでブレンドして作る場合もあります。
既製品を使えば早いのですが、開発となると時間も労力もかかります。今回10月に登場するアイテムは、約1年前に開発にとりかかりました。しかし、他にはない独自の糸をつくることができるのです。
なによりも、意図をうけとめ取り組んでくれる、工場や職人さんの力量があってこそのものづくりです。
ひとくちにウールといっても
約3000種もの羊がいて、それぞれに個性があります。
人間の毛と同じように、細さ太さ、カールしていたりまっすぐだったり……。まさに多種多様。
ウール専門メーカーは、毛の個性を見極めブレンドして糸を紡ぐ、スペシャリスト集団です。
今回の糸は、メンズライクなカジュアルさがあり、それでいて柔らかい高品質な糸。着心地の良さを目指しました。
この糸を紡いだのが『ミュール精紡機』という、旧式の紡績機です。
紡績とは、ワタに撚りをかけて、糸にする作業です。
加工でテープ状になったふわふわのワタを、ぐーっと3メートルほどに伸ばして、撚りをかけていきます。
ミュール精紡機は、現代の機械と比べると大型で場所をとり、昔ながらのゆっくり動く機械です。生産効率が低いので、現代では希少な機械となってしまいました。
しかし、均一ではない自然なムラや、ふっくらとした丸みのある独特の風合いの糸が出来上がります。
さまざまな糸がブレンドできるのも良いところ。独自性のある糸づくりが得意な紡績機です。
ブレンドの秘密
今回は、数種類の羊毛をブレンドしました。さらに、色にも深みが出るよう、絵の具のように混色しました。出来上がった生地や糸を近くでみると、色の混ざりがわかります。
羊毛はこのようなお部屋でミックスされます。
床の穴に吸い込まれて、筒(ダクト)を通ってまた別の部屋でしっかり調合されてふわふわになります。
この冬は、2種類に糸を撚りをわけてもらい、同じ原料から編物と織物をつくりました。
出来上がったのが、こちら。一部をご紹介します。
この糸の秘密は、芯に細く柔らかな高品質の糸、そのまわりに英国羊毛の粗野な雰囲気があるワタを巻きつけています。
そのため、見た目はカジュアル、触ると柔らかな風合いです。
自然なネップにもこだわり、ワタのカットから工夫したりと、職人さんの技がいきています。
ちかごろ寒さが増してきて、秋冬のおしゃれが楽しめるようになってきましたね。
糸からこしらえた、特別なニットとジャケットです。ぜひお試しください。
ニットは帽子を含めた4種類、ジャケットは2種類あります。
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