【背景描き方02】イラストならではの表現を。写真そのまま描けばいい訳ではない
オリジナル記事掲載日:2021年5月3日
絵がうまくなりたい&
しかし背景が苦手な
イラストレーターが、
背景練習をして気づいたことを
シェアするコーナーです。
今回は
「写真をそのまま
模写すればいい訳ではない」
という話。
2021年4月の練習課題は
「寺院(狸谷山不動院)」
でした。
★前回の記事
前回の記事でも書きましたが、
背景を描く上で
「何を見せたいか(主題にするか)」
を絞り込むのは非常に
大事なことです。
というか、背景に限らず
創作(芸術活動)全般に
言えることだと思います。
なんで写真をそのまま
模写してはいけないかというと、
見る人の視線が
分散してしまって
「何を見せたいか
(何が主題なのか)」が
分かりにくくなって
しまうからです。
例えば今回の絵でいうと、
主題は「寺院」です。
もっと細かく言うと、
「寺院の風景で
自分が感動した部分、
素敵だと思った部分」
が主題です。
私は狸谷山不動院に
行った時、
「渋い木造建築なのに、
目立つ色とりどりの旗が
素敵ー!」
「寺院を支える柱(木の足)の
感じが素敵ー!」
と思ったんですね。
で、それを伝えるために
どういう風に描けばいいか、
どういう風に塗ればいいかを
学びながら実践しました。
以前の記事にも書きましたが、
背景描画の参考にした
本や動画は以下の通りです。
↓
で、上記すべてで
「色彩遠近法」の話が
出てきました。
詳しくは各書籍や動画内で
ご確認いただきたいのですが、
めちゃくちゃざっくり言うと
「暖色は前にせり出して見える」
「寒色は奥にあるように見える」
ということです。
(美術の基本のようですが、
美術系の学校には
行ってなかったもんで、
初めて知りました。
中高美術の授業で
習ったかもしれんけど
覚えていない!!!)
写真の通りに描くと
何が問題かと言うと、
紅葉の時期なので
「後ろの葉っぱが暖色」
ということです。
もし「一番主題に
したいもの」が
紅葉なのであれば
ハッキリくっきり
ガンガンに暖色で
塗ればいいのですが……
私が見せたいのは
「寺院」です。
あと、寺院を支える
木の足も、
写真通りに塗ると
ほぼ全部暖色
(こげ茶)なんですよね。
ということで、
「背景の山(紅葉)」と
「奥側の木の足」に
青系の色を重ねました。
とはいえ後ろの山が
あまりにも青々しくなるのも
嫌だったので、
暖色で塗りつつ、
「うっっっすい水色の
レイヤーを重ねる」
というのをやっております。
あとくっきりさせていた
輪郭がぼやけるように
塗り直しました。
(ぼかしフィルターは
今回使っていません)
で、寺院とつながっている
右側の建物も
上側がちょっと
暖色系だったので、
全体に青みを重ねて
後ろに沈むように
しています。
めちゃくちゃ微妙な違いですが、
寺院側も赤みを入れて
前にせり出すように
してみました。
あと、当日は雲ひとつない
青空だったのですが、
そうすると絵的に
つまんないので
ちょっと雲を
足したりしています。
↑
こちらが元の写真ですね。
写真ではめちゃくちゃ
影が濃かったり
全体的に青みがかったり
していますが、
イラストではかなり明るくしています。
今回は「重厚感」とかを
表現したい訳ではなかったので
青みをなくしました。
もし「ホラー感のある絵」とか
「威圧感・重厚感」を
表したいときは、
青みを強めにして
もっと重たく暗い
仕上がりにすると思います。
本当は後ろの木を
もう少しなんとかしたいけど、
キリがないので4月課題は
これで終わり!笑
* * *
実は絵を描くことに対して、
私の頭の中に長年
重苦しくあった気持ちは
「上手い絵=写真のような絵
だとするなら、それはもう
写真を使えばいいのでは?
わざわざ絵で描く意味は何?」
でした。
でも今回、書籍や動画で
「なぜ絵にするのか」
という意味を知って、
上記の悩みが
ファファファファーーンと
晴れたんですね。
「絵」にすれば、
作者が一番伝えたいものを
ハッキリさせる事ができます。
さらに仕事であるならば、
「絵の依頼主が一番見たいもの
(または、エンドユーザーに
見せたいもの)を
明確にすることができる」
のです。
もちろんプロの写真家さんは
「本物の写真」でも
それができると思います。
しかし私は写真家ではなく
絵描きだし、
写真家さんには写真でできること、
絵描きには絵でできることが
あると考えています。
背景を描くためのやる気を
高める上で重要なのは、
「なぜ絵で描く必要があるのか」
「なぜ“私が”描く必要があるのか」
という理由を、自分なりに
明確にすることではないか、
と感じました。
「写真でいーじゃん」
「他の上手い人が
描けばいーじゃん」
という気持ちがあると、
やる気はなくなるし
いつまで経っても
先延ばしにします。
うまく描けない言い訳ばかりが
頭の中に次々と思い浮かびます。
絵の練習や背景描画の勉強を
本気でやろうと思い立つ前の、
私のように。
そうやって逃げるのって、
一見ラクに見えるけど
本当は苦しいんですよね。
めちゃくちゃ痛い訳じゃないけど、
鈍痛が続いている状態、みたいな。
ということで、
「絵が上手くなりたいのに、
努力が続かない」
「背景を描きたいのに、
苦手意識が拭えないし
やる気も全く起きない」
という方は、
「なぜ絵で描く必要があるのか」
「なぜ“私が”描く必要があるのか」
という自分なりの理由を
考えてみてください。
まあ、一番いいのは
「とりあえず始めること」
なんですけどね(笑)。
とりあえず始めているうちに、
「これが理由か!」
ってのが見えてくるので。
絵描きに限らず、
「なぜ“私が”やる必要があるのか?」
を考えるのは、とても大事なことです。
それでは本日はこの辺りで。
ごきげんよう、さようなら。
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