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漫画はツッコミどころがある方が広く読まれる

今日は祖父の葬儀だったんで、昨日のうちに自主連載漫画の15話を各所にアップしてしまいました。

で、葬儀が落ち着いて投稿確認をしてみたら、ニコニコ漫画のお気に入りが100人以上増えている……!???

pixivはひと晩でブクマ100越えだったので、いつも通りといえばいつも通りですが、増加スピードがいつもより少し早い気もします。

で、実はここのところ、「広く読まれるために、故意にツッコミどころの多い漫画にする」作戦を立てていたんですよね。
今日はそんな話です。

元々は誰にも何にも言われない漫画を目指していた

私は誰かにバカにされたり見下されるのが嫌いなので(好きな人はいないと思うけど)、最初は漫画も「ツッコミどころのない完璧な漫画」を目指していました。

そのために、3人の友人にネームチェックをお願いしていたんですよね。
うち2人は琢磨会のメンバー、まなむさんと星見さん。

もう1人は、「実は本業が編集者なのではないか?」と思うほど的確なツッコミをしてくれる、友人M美さんです。

※M美さんはエッセイ4コマにも登場しております↓

M美さんはまったく「描く人」ではないので、純粋に冷静に読者目線で物語の違和感を指摘してくれるんですよね。

で、M美さんの言う通りに修正していると、まじでほぼ完膚なき漫画が完成するわけです。
最初はそれで「すげー!! 私の理想通りの形になっている!! 最高!!」と思ったんですが、ある時ふと気づきました。

完璧な漫画過ぎて、読者増加が低迷しているのでは……? と。

人は欠けたものを愛する性(サガ)がある

完璧に見えるものって、尊敬され、崇拝されますよね。物語や絵の構成が立派であればあるほど、固定ファンをがっちり掴み、ずっと読んでもらえる。
それはそれでいいことです。

ただそれ、もうすでにたくさんの読者やファンがいる、大御所漫画家のやり方じゃないかなと感じたんです。

絶賛駆け出し&売り出し中の人間がやるには、まだ早すぎる。

私はそんなにたくさんの漫画やアニメを見ていませんが、少なくとも私がこれまで愛してきた漫画やアニメの多くは、「どこかにツッコミどころがある作品」でした。

人間は完璧を求め、自分の理想に近ければ近いほど崇拝します。
けれど、同時に人間が愛すのは、「どこか欠けた部分があるモノ」だとも思うのです。

ただ私は、自分の欠けを指摘されたりバカにされるのが怖かったんですね。
だから、M美さんという盾で、自分のプライドを強固に守っていました。

M美さんにさえチェックしてもらえれば、自分は安全でいられると思って。
しかしいつまでもそれじゃ、ダメだと思ったのです。
だから勇気を振り絞って、「M美さんにチェックしてもらう」のをやめることにしました。

“ツッコミどころの残る作品を故意に作るため”です。

(単純にM美さんが忙しそうだから毎回頼むのも申し訳ないな、と思ったのもあるのですが……笑)

「ツッコミどころのあるものしか作れない」という弱さをさらけ出した

私は正直言って、一人で物語を考えるとツッコミどころのある穴だらけの作品しか作れません。
そんな自分が嫌で嫌で嫌で仕方なかったです。

けれど、「もっとたくさんの人に読んでもらえるようになりたい」という心が勝ちました。
私の弱みを見せてでも、ダメなところを突っ込まれてでも、今よりたくさんの人に読んでもらいたい。

だって私の好きな作品たちは、ツッコミどころのある、愛すべき存在が多いから。

私は完璧な人間を目指して心を病むまでしたけど、本当はずっと、「ダメな自分でも愛されたい」と思っていたのです。
それは、作品に対してもそうです。

かといってあまりにも辻褄が合わない作品になるとやばいので、念のため琢磨会の2人には「筋が通っているかどうか」をチェックしてもらいました。

結果、「ツッコミどころの多い話数」が増えていきました。
一時期、特にニコニコ漫画のほうはお気に入り登録者数がガツンと減りました。きっと解除した人は、M美さんが創りあげてくれた“完璧な世界観”が好きだったのかな、と思います。

しかしpixivのほうは、ツッコミどころの多い作風が増えれば増えるほど、フォロワーの増加率が高まっていきました。
そして減少の一途にあったニコニコ漫画のコメントやお気に入り登録者数は、今日ガツンと増えたのです。
大幅に減る前の元の数よりも、上回りました。

「あ、やったな」と思いました。
ちゃんと、私の思惑通りになった、と。

M美さんがくれたものもちゃんと私の中に残っている

かといって、今までM美さんにチェックしてもらったことが無駄だったとはまったく思いません。

彼女は何より、「そのキャラらしいかどうか」を重視してくれたんですね。

このキャラだったら、こんな言い方はしないんじゃないか? とか。
このキャラだったら、こんな動き方をするんじゃないか? とか。

ちゃんとその登場人物の「中身」を見てくれていました。
最初のころの私は、その部分がおろそかだったと思います。

M美さんにシゴかれたお陰で、私は“そのキャラクターの中身”を見るようになったのです。
案外、今M美さんが読んだら「このキャラがこういうこと言うの違和感だな〜」と思うかもしれませんが(笑)。

それでも連載開始当初よりは、ひとりひとりのキャラクターを大事にするようになったと思います。そういう創り方ができるようになったのは、間違いなくM美さんのおかげです。

漫画家は孤独だが、良い漫画は作者ひとりでは作れない

創作というものは基本、孤独な環境下でやるものだと私は思っています。
アシスタントさんも雇っていない&原作者さんや編集担当さんもいない私は、ひとりで物語を考え、ひとりで人物や背景を描き、ひとりで発信・宣伝をしてきました。

だから私は、良い漫画はたったひとりで創るものだ、創るべきだと勘違いしていたのです。ぜんぜん違いました。

さまざまな人の力を借りてこそ、きっと良い作品が生まれる。
肯定的な人はもちろん、作品に対して否定的な人も、すべてその作品の力になる。

そもそもわざわざおおっぴらにコメントを残す人は、たとえそれが否定的な内容であろうとも、めちゃくちゃその作品(あるいは作者)を気にかけてくれていますからね。

私は「つまらない」と思ったらそっとスルーして話題にもしない人間なので、わざわざ何らかの反応をしてくれる人には全員感謝します。

てなわけでこれからも欠けた私は、ツッコミどころの多い作品を量産し、愛されたいと思います。
私自身を愛されるのも大歓迎ですが、それより何より作品が愛されるようになりたい。箸にも棒にも引っかからない、スルーされる作品にならないよう、全開でツッコまれまくります。

引き続きどうぞ、よろしくお願いいたします。
ごきげんよう、さようなら。

わたくしの自主連載マンガについてはこちらでどうぞ


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