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怒鳴る・試し行為・自殺行為など問題行動を起こす彼女(恋人・妻)へ、周囲の人ができる対応策

【2021.2.24:1000文字ちょっと加筆修正しました】

わたしは24年間「境界性パーソナリティ障害(略称・BPD)」という精神障害を患っていました。
自力で克服し、現在は心理カウンセラーとして活動しています。

境界性パーソナリティ障害に起きる症状の中に

・怒鳴る(急に激昂する)
・愛情の試し行動をする
・自殺をほのめかしたり、自殺未遂を行う
・その他、心理的距離の近い人(主に親やパートナー)が困る問題行動を起こす

があるため、類似の症状が起きる方々からよくご相談をいただきます。

※境界性パーソナリティ障害がどんな病気かという詳細は、下記URLの無料欄をご覧ください。

しかし、問題を起こす「当事者さん本人」だけでなく、「その周囲の人たち」からのご相談も多く寄せられるのです。

「周囲の人」の多くが抱えているのは、「どういう対応をすれば、彼女(妻)の症状が穏やかになるのか?」という悩みです。

そこで、

・自分自身の経験(24年分)
・カウンセラーとして話を聞いてきた経験(約2年分)

を元に「対応策」をまとめよう、と考えました。

本記事は、まず「こうすると(されると)症状が悪化した」と考えられる“NG対応”を提示し、その後「こう変えていくといいのではないか」という対応策を提案する形式を取っています。

ただ、こういう話をすると、「自分の対応が悪かったから彼女は悪化していたのか。自分のせいだ」と自分だけを責めてしまう方がいます。
「あなただけが悪い」ということは絶対にありません。

まず最初に、この記事を読むにあたっての心構えを書いておきます。


【心構え1】「あなただけが悪い」わけではない。自分だけを責めるのをやめる

今まで相談してこられた「周囲の人々」の半数以上が、「自分のせいではないか」という自責傾向を持つ人でした。

境界性パーソナリティ障害、または類似症状を持つ女性は、頭の回転の早い人が多いです(本人は全くそれを認めていませんが)。

そのため、一番突っ込まれたくないところを見事に突き刺し、さらにその傷をえぐり出して「相手を責める」ことがあります。
「責められる」ことが日常的になっている「周囲の人」たちは、「自分が悪いからこうなっているのだ」と思い込むようになっていきます。

わたしはこれからNG対応を書いてはいきますが、「あなただけが悪い」わけではありません。どうか自分だけを責めないでくださいね。

(また、半数以下の方が「彼女がほぼ悪い」「彼女自身の問題」と思っておられますが、「彼女だけが悪い」ことも絶対にありません。パートナーシップで起こる問題は、彼女側にも相手側にも原因があることがほとんどです。)

【心構え2】当事者を「思い通りに動かす」ことはできないと心得る

同じ境界性パーソナリティ障害でも症状の出方が若干違いますので、当記事は「この対応をしたら100%治る」と保証するものではありません。

また、わたしが考える対応は「症状を穏やかにするように促すもの」であり、「当事者が思い通りに動くようになるもの」ではない、ということも心に留めておいていただきたいです。

たとえば、

・病気が治ったら、結婚したくないという彼女が、結婚したいと言うようになる
・症状が緩和したら、病院・カウンセリングを拒否していた彼女が行くようになる
・症状が緩和したら、別れた彼女が「よりを戻したい」と言ってくる

などが必ず起きるわけではありません。
(実際に、「上記をさせるにはどうしたらいいか」と聞かれることも多々あります)

もちろん、症状が緩和したり、あなた自身の対応が変わることで、「当事者本人の意識が変わる(それによって行動も変わる)」ことは現実にあります。
しかし、「正しい対応をすれば、自分の思った通りに動いてくれるようになる」というのは誤りです。

病気が治り、あなたを必要としなくなったら、「別れる」という選択肢を取るかもしれません。症状が和らいだ後、「彼女が何を選ぶのか」は彼女自身の問題であり、それは周囲の人が操作できることではないのです。

周囲の人たちの対応で大事なのは、「当事者を自分の思い通りにしようとするのをやめる」ことです。

まったく意識せず、「当事者さんを自分の都合のいいように操作しようとしてしまっている」方は本当に多いです。そしてそれが、悪化させる原因になっていることも同じく多いです。その点をご注意ください。

* * *

知識というのは、読んで満足しているだけでは何にもありません。

それは他人の経験談でも心理学でも同じことです。
つまりこの記事も、ただ読んだだけでは何の役にも立ちません。

知識は手に入れて実践したとき、初めてその真価を発揮します。

この記事に書いたことを実践しても、あなたが「今、望んでいる未来」を必ず手に入れられるとは限りません。しかし、実践すれば必ずあなたに「変化」は起こるでしょう。

※「境界性パーソナリティ障害」が長いので、以降は「BPD」と表記します。
英名「Borderline Personality Disorder」の頭文字をとった略称です。

対応策1:やりたくない事は、絶対にやらない(やりたい事だけをやる)

現パートナーにしてもらったことで「これのおかげで、わたしの治療スピードも速まったのではないか?」一番感じたことがあります。
それは、彼が「どんなにわたしにお願いされても、やりたくない事は絶対にやらなかった」ことです。

この話を聞くと、ほとんどすべての「問題行動を起こす彼女(妻)」のパートナーは驚き、そして拒否反応を示します。なぜなら、「彼女の要望を全て叶えないと、どんな目に遭うかわかったものじゃない」と恐怖している人が非常に多いからです。

まずは“NG対応”と、「なぜその対応が症状を悪化させる原因になるのか」を見ていきましょう。

NG対応1-1:相手の要望を全て叶えようとする

「彼女が不満に思うことや彼女が要望したことを全部叶えようと頑張っているのに、彼女の症状がまったく良くならないどころか、逆に悪くなります。もう疲れてしまいました……」そんなお話もよくお聞きします。

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