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「できるようになると、できなかった頃の自分を忘れてしまう」のを防ぎたい

努力をしてきた人は、同じ努力をしない(できない)人につい腹が立ち、下に見てしまう。これはもう人間の本能みたいなものだと思う。

禁煙に成功できた人が、未だ喫煙している人を注意するように。
自分だって「やめられない(禁煙できない)」時期があったくせに、今はそれができているからといって、できない人を見下すのは何か違うとずっと思っている。

とはいえ意識せず本能に抗うのはむずかしい。
だから私はここ最近、昔の自分が書いた記事を振り返るようにしている。

できなかった自分を思い出したい。
と同時に、できなかった頃の私も、その時の私なりに一所懸命がんばっていたことを認めてあげたいからだ。

私はもう、自分にムチをふるうのはやめた。
それは「今の自分」だけでなく、「過去の自分」に対してでもある。

良い私・素敵な私を目指そうとする人は、そのほとんどが過去の自分を亡き者にしようとする。

あのダメだった私を墓石の下に沈め、その上に「素敵な私」として仁王立ちしたい。あの頃をなかったことにしたいのだ。
まるで最初から素敵な自分だったようにしたい。

嘆き苦しむ過去の自分の声を無視して、そのまま土の下へ生き埋めにする。
だから「発作」が起きる。
突然ヒステリーになったり大泣きしたり感情が制御できない人は、墓石の下に埋めた過去の自分に逆襲されている。

生き埋めにした過去の自分はゾンビのようによみがえってくるのだ。
自分の声を無視して「なかったことにしよう」としている、現在の自分自身に復讐する。

私は復讐を恐れて過去の自分を大切にするわけではなく、ただ、もうそんな可哀想なことはしたくないのだ。
必死で生きてきて嘆き続ける過去の自分の、その大口に向かって土をかけ埋めるようなことはしたくない。

ともに生きたい。未熟で「できなかった」私が必死に生きたおかげで、今の私はここにあるから。

私が「できるようになった」のは、できなかった過去の私のおかげだ。
それなのに、人間は忘れる生き物だから、「できなかった自分」を忘れてしまう。

私は忘れたくない。
その気持ちのおかげで、過去の私と同じように「できない」と悩み苦しむ人たちの話を、じっくりと聞くことができるのかもしれない。

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