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2019年に観た映画ワースト10

今年もロクに記事を書かないまま終わってしまった。もはや毎年のベストとワースト映画しか書いていない。でもだからこそこれだけは続けておきたい。

今年はカナダに引っ越し直して色々と生活が変わったバタバタでなかなか映画が観られなかったけど、チケットが日本のように無意味に高くないので劇場にはたくさん行けた。

そんななかで出会った許し難いクソ映画たちを今年も紹介していきたい。

尚、今年に観た映画であって、今年公開の映画に限りません。


・ワースト10
アリータ:バトル・エンジェル

もう何度も言ってることだけど、とにかく最近流行りのデカ目デフォルメにのっとったアリータの顔がキモいし、今の時代にこういう典型的な「無知な女の子」を良いものとして美しく描いちゃうかって感じで気分良くなかった。監督のロバートロドリゲスは好きな監督なんだけど、結構な割合で笑えないつまらない映画作るから油断できない。

・ワースト9
ターミネーター ニュー・フェイト

魔がさして劇場で観てしまった。すでに真っ白になってるターミネーターの出涸らしをなお茹でて出された白湯のような映画。老人に鞭打ったアクションが見てて痛々しい。ポリコレを意識しつつも特に深みもない。


・ワースト8
ティーンスピリット

世の中には観ても全く意味のない、人生に何の影響も与えないし何の思考も感情も喚起させない「からっぽな映画」というものがある。今年観たそれがこの映画。予告が良い感じだったから観てみたら、エルファニングがただただ何のドラマもなく容姿と才能ですらすらとサクセスしていく、何も受け取るものがない空虚な映画で、観終わったあとすごく虚しくなった。なんだったのこの時間。日本公開はまだみたいだけど、これ観て感動とかする人は心が弱ってるのでカウンセリングとか受けることをおすすめします。


・ワースト7
Black Christmas(邦題未定)

ストーリーは全寮制の大学の冬休みに残った女生徒たちが謎の侵入者たちに狙われてどうこうするうちに学園の闇に触れる、という割とオーソドックスな学園スリラー。

うーん、難しい時代になってしまったな、という印象。ダイバーシティ、イコーリティの時代において、アメリカのエンタメが過剰なまでのポリコレを取り入れていった先に生まれた、ホラーを依り代にした女性賛美、いや男性痛罵の映画。

男性の自分が言うのはすごく怖いけど、個人的にこの映画はかなり嫌いだった。まず映画として未熟というか、あまりに言いたいことをそのまま言う、見せたいものをそのまま見せるような作りで、女性賛美をテーマにしたのは分かるけど表現の作品としてどうなのという感じがしてしまった。

そして男性の描き方がとても乱暴で、ステレオタイプな悪い男性像に対して女性が攻撃し続けていて、ちょっと表面的過ぎるんじゃないかと感じた。「男がみんなレイプ魔な訳じゃない」と唯一まともなことを言ってた男はああいう扱いだし。
女性の権利や男女平等を主張するということと、単純に男性を攻撃することは違うと個人的には思う。

そういった主義主張のひっかかりは抜きにしても、単純に映画として辻褄が合わないところも多いし、キャラも弱く、展開や世界観も浅くてなかなか入り込めない。
それに対してひたすらに男性の酷さ、女性の惨めさとそれに対する反抗を言葉と行動で休みなく説明していくものだから、途中で「あぁ、この監督はホラーとか映画としての完成度とか別にどうでもいいんだな」と思ってしまい、気持ちが遠ざかってしまった。

しかし難しいところは、たとえこういう映画として微妙な作品でも、今この時代にこういった重要でセンシティブなテーマを扱うこと、オールドファッションな女性像との決別をメジャーな映画で描くこと、女性を主要キャスト、スタッフに起用することの重要性は評価するべきことであるというところ。作品自体の良し悪しを越えたところに評価のポイントが生まれてしまい、映画を映画自体で評価できなくなってしまうというパラドックスに陥ってしまっている。

本当に難しいところだけど、ただのアマチュア映画ファンの単なる個人的な好みに基づいた評価として、好きな映画ではなかったと言っておきたい。


・ワースト6
17歳の肖像

トロント国際映画祭の野外上映プログラムで観たんだけど、キモ過ぎて最後まで観られなかった。いくら原作の書かれた時代が違うからっていくらなんでもキモ過ぎ。

中年と少女のロリコンラブストーリーは芸術の文脈では割と受け入れられてるし、個人的にも現実と分離された世界での異常性癖は肯定しているけど、この映画、特にアート的な文脈で作られておらず、白々しくもクラシックなラブコメ調で金持ちロリコンおっさんが処女女子高生をナンパしてヤろうとする超絶に気持ち悪い話を展開していくのだ。こういう話をこのテンションで描いちゃダメだろ。

そして男女平等とかこれだけ言われてるこの年にこれを流しちゃうかって感じで、映画祭自体にも疑問を感じてしまった。


・ワースト5
IT/イット チャプター2

ホラーとして非常につまらない。前作もそうだったけど、ペニーワイズを怪物として描いてるせいで不気味さも怖さもない。なんのモンスター映画だよこれはって感じ。単なるジェットコースタームービーになってしまってた。

そして笑かそうとする場面やセリフが本当に多くていちいち雰囲気を台無しにしてる。はっきり言ってウザい。

展開もかなり単純で、怖がらすパートと誰かがなんかいい事言ったり感動させようとするパートが入れ替わるだけで飽きる。そして登場人物がみんなアホすぎる。話を展開させるために振り回されてる感がすごくて感情移入できない。

3時間弱とかなり長いのも辛い。いや中身がちゃんとしてれば何時間でも全然観れるけど。

あと冒頭のシーンといい子供のやられ方といい、思慮に欠けてないか?いじめをこんな単純化、過激化して描く必要ある?
これは監督の以前の映画MAMAでも思ったけど、この人優しい事言ってる割に細かいとこで乱暴というか、弱い者を描く割にはその人らに寄り添うような様子は見えなかったり、どこか他人目線できれいごと言ってる感じがある。きっと学校や社会のなかでルーザーズクラブみたいな立場になったことないんじゃないかな。

もうホラーやめてワイルドスピードみたいなの撮った方が面白い映画できると思うよ。

。。。ん?てかなんでグザヴィエ・ドランが出てんの??


・ワースト4
Ready or Not(邦題未定)

ストーリーは超富豪ファミリーの嫁入りをした主人公が、家族に代々伝わるというゲームに参加したら殺し合いのサバイバルゲームだったというスリラー。

こういう自分で面白いと思ってふざけてる映画が1番しらける。個人的なムカつくツボに入りまくりで始終ため息をついてた。

会話で笑かそうとするならfuckに頼るな。ギャーギャー騒ぐな。

あとオチも意外性狙ったのかもしれないけど、ただ投げやりなだけにしか見えない。マジメに人の殺し合いにハラハラしてた観客に失礼。

何から何までムカつくふざけた映画だった。

主演のサマーラ・ウェイビングは割と最近注目されてる、悪女っぽい役で人気の女優なんだけど、この人が主演の映画は今のところことごとく趣味が合わずムカつかされている。


・ワースト3
グリーンブック

これはアカデミー賞受賞に批判集まるはずだわ。黒人差別を描いたドラマかと思いきや、それを"ネタ"にしたハートフルコメディだった。この映画を観て、その薄っぺらい反差別的主張を不快に思わない黒人が果たしているのだろうか。アジア人の自分ですら明らかな白人側からの、上から目線の”慈愛に満ちた”差別の描き方に胸がムカムカした。人種差別はお前らの金儲けのネタじゃねぇんだよクソが。

音楽始め演出も浅はかというか、ここ感動するところですよー、ここ笑うとこですよーっていちいち言われるとウザい。そんなバカじゃないわ観客。と思ったけど、観客のほとんどがその通りに反応していて唖然とした。


・ワースト2
湯を沸かすほどの熱い愛

この映画は毒です。日本の抑圧と忍耐の美学を肯定していて、それをさも美しいもののように描いていて、これを観てちゃんとクリティカルに考えられない人(たぶん大多数の日本人)は自分らの日常生活にこの思考を持ち込もうとすると思うので、おおげさにいえば日本にとってもっと不幸な人、最悪自殺者を増やしかねない有害な映画だと思う。

単格的な泣かせ描写と無責任なキャラクター、ふに落ちないストーリーに正直うんざり。主人公の押し付けがましい正義感や独善的な親切心がこの話では機能してるけど、現実にあんな人いたら大変だよ。厳しい優しさとかそんなんいつもいいように伝わらないから現実世界では。

父親のクソっぷりも言及されずになんとなく受け入れられて成長もしないし。それを主人公の優しさとか愛とか捉えてほしいんだろうけど、なんで娘にクソ厳しくして旦那にはあんなぬるいんだよ。逆だろ。

とにかく執拗な涙と納得できない展開にイライラしっぱなしだった。

一点、ラストシーンはちょっとかっこよかった。タイトルなるほどな、と。愛かは疑問だけど。
湯を沸かすほどの熱いエゴ。


・ワースト1
ヘルボーイ

ひどすぎて最後まで見られなかった。途中退席。

誰に向けて作ってるのか分からないビジュアルと描写。ダラダラと引き伸ばされたストーリー。イライラしてくる登場人物の不毛なやりとり。致命的なダサさ。

僕はね、この監督、ニールマーシャルが大好きなんですよ。地底人との血湧き肉躍るバトルを見せてくれたディセントに魅せられてからというもの、ずっと彼の作品を追ってきて、キングコングを降板して音沙汰ないままずっと待たされていたのがこの映画だった訳で、そんなファンに対してこの出来はあまりにも酷。辛い。明らかに何かがおかしくなってしまっている。

期待値に対してのがっかり具合という意味でこれをワースト1に持って来ざるを得なかった。



以上、今年観た映画ワースト10でした。再三言いますがあくまで個人的な感想で、どんな暴言吐いていてもこれらの映画が好きな人を否定したりはしません。心の中ではしますが、たぶんあなたも僕の好きな映画をクソだと思い、そんな映画を好きな僕もクソだと思ったりするでしょう。同じことです。

ちなみにスターウォーズ9はもちろんクソでしたが、がんばってるのは分かったのでこのランキングからは除外しました。


ではベスト10の方でまた。




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