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アメリカの物価の秘密

数か月ほど、アメリカのインディアナ州はブルーミントンに住んでいました。

インディアナ大学という大きな大学があり、町全体も丘の上の街という感じで景色もよく、また治安も屈指の良さを誇っていました。


田舎だけに、物価が安くてありがたかった(都会は日本と変わらない)のですが、おや?と思うことがありました。


例えばスーパーで売っている肉です。大きな塊の肉が、薄くスライスした肉よりかなり安くなっているのです。

塊の肉は日本の1/5ぐらいの値段で売っているのですが、薄くなるにしたがってどんどん高くなり、加工されたソーセージなどになると、日本と大して変わらない値段になっていました。

そのためでしょう、スーパーに来るのは週に1度くらいにして、大きな肉をどーんと買って帰る客が多くいました。


またDIYという、いわゆる日曜大工が異常なほど流行っており、自宅のガレージに高さ2m近くあるような巨大な工具入れを置いていたり、中には車を持ち上げる電動ジャッキを設置している家もありました。

近くのお宅に至っては、自分で壁に穴をあけて換気扇を設置していました。こうやって、なんでもかんでも自分でやろうとするのです。


そしてクレーム対応もおかしい。クレームがつくと、すぐに代替品をよこすのです。何年も使い込んで、ぼろぼろになった商品でも返品OKです。

日本では考えられない話です。


しばらくは何だかチンプンカンプンでしたが、やがてその理由が判明。

ポイントは二つです。


1.アメリカは自給自足ができるほど豊かな資源に恵まれている

2.人件費は日本と変わらないぐらい高い


1つ目ですが、分かりやすく言うと、豊かな資源に恵まれている=結果的に物そのものの値段が安いのです。自国で生産でき、輸入コストがかからないので、基本的に物価そのものは低いのです。

つまり、肉の塊が安いというのは、コストがかからないために安いのです。


次に2つ目ですが、人間の手が加わると、その途端、高い人件費が発生するということです。

もうお分かりでしょう。

薄く切ったり、ましてやソーセージのように複雑な加工をすると、人の手を多く介すことになり、高い人件費を上乗せして売らなければならないのです。


DIYが流行る理由もわかりますね。換気扇は安く手に入っても、業者に取り付けを任せると工賃が異常に高くなるため、自分で取り付けるのです。ガレージにある巨大工具入れにも納得です。

クレーム対応もそうですね。アメリカが訴訟社会であるというのも1つの理由でしょうが、お客様相談室のオペレーターに人件費を払うぐらいなら代替品を送ったほうが安いというわけです。

資源に乏しい国に生まれている日本人の私にとっては、まさしくカルチャーショックでした。


余談ですが、小さな子供を海外旅行に連れていくというのは、個人的にはあまり賛成しませんね。

自国のことが分かってきた年齢(たとえば大学生)になってから、そこで初めて海外を旅させるほうが本人の役に立つのではないでしょうか。

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