しごとの目的とバーンアウトについて。
皆さんはご自分の仕事の目的に思いを馳せたことがあるでしょうか。
何のためにやっているんだろう…自分や家族の生活のため?組織の利益のため?上司のため?はたまた社会的地位や名誉を得るため?
いろいろ思うところはあると思います。
今回は福祉(医療)職にフォーカスして、仕事の目的とバーンアウトの関係を考えたいと思います。
与えられた仕事ってなんだろう
最近、自分の仕事の目的を認識できていない人が意外と多いことに気がつきました。
たとえ望んだ配属先じゃなかったとしても、自分がその職場で何ができるか?その職の持つ究極的な目的はなんなのか?
考えなければ始まりません。
医療/福祉分野に見るその仕事の究極的に目指すところ
では医療/福祉の仕事の目的とは何でしょうか?(医療/福祉といえど多岐に渡りますが、今回は漠然とこの二つで考えたいと思います)
医療では「患者を死なせない」「患者の疾病を治療する」「患者のQOLを上げる」などが中枢的目的と言えます。
どの科でも基本的には同じです。
その過程で、どうしても医療過誤など訴訟問題などトラブルも起こりえるでしょう。
そのために、事実を正しく記録することは必要不可欠です。
では福祉は?
目的は読んで字のごとく、「人が幸せであるように」することです。
福も祉も、「しあわせ」を意味しています。
幸せの中身はもちろん人それぞれです。
なので、被援助者それぞれの幸せに、少しでも近くことができるよう日々お手伝いをするのが福祉の仕事です。
間違っても、「記録を書くこと」「自分が悪くないと証明すること」「裁判で負けないようにすること」が仕事ではありません。
目的と保険をはき違えないで。
いつの時代も、これらが目的であるかのように考え、行動している人がいます。
その人たちは自分のためなら平気で相手の人権を踏みにじれるのです。
そして後輩の前ではさも自分が正しいかのように堂々と振舞っているのを見ると、末恐ろしい思いです。
川口市いじめ訴訟問題にみる行政の責任逃れ
さらに最近の川口市いじめ謝罪→裁判で覆し問題を見て、本当に情けなく感じます。
何をやっているのか、と。
市民の健康と幸せを守るのが市役所の仕事なら、できなかったことには素直に謝らなくてはならない。その結果金銭の支払いが命じられたら、それは応じるべきものです。
裁判で罪を認め謝れないのは、無駄な地位・名誉・金銭への執着からです。
他社の尊厳を大切にできる人を増やすために
他人に変化を求めるのは難しいと以前に言いましたが、その考えは今も変わりません。
ただ、悪い考えに染まりきってしまう前に、本来のその人が持つ良い部分を引き出し、本来の目的を意識するよう行動変容をもたらすことは可能です。
トップダウンでの変容は期待しづらいので、私は草の根的に、できることをやります。
若手や有志を集めて勉強会を行い、知識の研鑽に努め、互いをねぎらい、支援者にも寄り添い一緒に支援の方策を考え、福祉の本来の目的に立ち返る機会を、度々持ちたいと思います。
今後甲斐あって勉強会が根付いたとしても、また根腐れを起こしてしまうかもしれません。
それでもやらないよりいいと思うのです。
熱意ある若手が、自らの情熱と周りの温度差の両価性/葛藤に潰されてしまう前に。
バーンアウト(燃え尽き症候群)について
よく福祉や医療の職場では"バーンアウト(burn out)"という言葉が使われます。
特に熱意のある完璧主義な人が、自らの掲げる理想を現実に叶えられなかった時に、心が耐えきれず燃え尽き、現場(臨床)を離れざるを得なくなってしまうことです。
私も一度ならず二度までもバーンアウトし、一度目は休職からの退職、二度目は休職から復職に至りました。
バーンアウトの予防について
バーンアウトは一般的に防がれるのが良いとされています。
当然、周りのサポートや上司/同僚のスーパーヴィジョンにより防げるなら何よりです。
ただ現実そのような環境が整っていないことを考えると、私は「人間の尊厳に関わる者、一度や二度のバーンアウトに怯えるなかれ」と思います。
【バーンアウトする=自分の中で曲げたくない理想的観念や信念があって、それが現実と折り合えない】
という等式があります。
理想はあくまでも理想ですから、現実で叶えられなくて当然なのです。
越えられない壁にぶち当たれば、誰だって心が折れます。それで長い人生のうち1年やそこら休んだっていいのです。
もちろんバーンアウトしなければ一人前でないという主張ではありません。
高い理想を保ちつつもバーンアウトしないほどの心のゆとりやストレスコーピングスキルを持っていたり、周りの支援を得られているのならば、それは素晴らしいことです。
逆にバーンアウトしたから一人前というわけでもないですね。
バーンアウトしても、そのまま考えることをやめてしまったり、心に蓋をしてしまっては、先に進めません。
でもきっと信念からは逃れられず、考え続けることになるでしょう。
そして後で化膿してしまうのです。
もちろん一時的には(特に精神症状を呈している場合など)は一旦仕事のことを脇において、休息が第一です。
ポイントはその後です。
バーンアウトで負った傷を綺麗に治したければ、自分の考えと、とことん向きあい、追求し、道を究めるしかないのです。
中腰は腰痛を引き起こします。
つまり中途半端な逃げ腰によって、バーンアウトが近くのです。
逆にこちらから目的に真摯に向き合うことこそが、バーンアウトの最強の予防法と呼べるのではないでしょうか。
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