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畜産業界でも話題-腸の話

人間界でも腸活なんていうのは話題になっているかと思いますが、畜産やペット業界にも最近は広がりをみせています。

そもそも人間の消化器官には1万種以上のバクテリアが生息しており、バクテリアは人間が摂取した食べ物を利用して生きています。

これらの菌叢を全部まとめると体重のおよそ1~2㎏程になるんだそう。

人間に寄生しているバクテリアはエネルギーを与えてもらうのと引き替えに、消化を助けたり、悪性のバクテリアを退治したりして人間の体調を整えてくれることも知られています。

普段はバクテリアの存在を意識することはありませんが、人間とバクテリアは持ちつ持たれつの関係を保っているというわけですね。

人間にとってありがたい存在のバクテリアですが、カリフォルニア大学のカルロ・C・マーレイ教授らの研究グループが発表した論文が一時期話題になりました。

彼らは、バクテリアが人間の食べ物の選択を管理している可能性を指摘しているんです...。

研究によると、腸内のバクテリアは熾烈な生存競争の過程で人間の食べ物に対する欲求にも影響を与えているようです。

具体的には、バクテリアは他の種のバクテリアとの生存競争に勝つために、自分がより成長できる栄養素を摂取するよう人間に働きかけたり、逆にライバル種のバクテリアが欲する栄養素を抑制するよう働きかけたりと、「駆け引き」を行っているとしています。

これにより、バクテリアはホストの味覚を感じる味覚受容体を変化させて特定の食品をより美味しく感じさせたり、空腹を誘発するホルモンを出したり、食べ物の摂取を抑制するように迷走神経を操作したりするとのこと。

さらに、バクテリアは他の種のバクテリアとの生存競争に打ち勝つために、ホストの健康増進よりも自らの種の繁栄に有利になるように働きかけることさえあると指摘しています。

皆さんも聞いたことあるかと思いますが、海苔を消化分解できるのは日本人だけという研究結果があります。これは海苔を消化吸収できる特別なバクテリアを持っているからと言われています。食べ物の好みまでバクテリアが大きな影響を与えているようです。

Is eating behavior manipulated by the gastrointestinal microbiota? Evolutionary pressures and potential mechanisms

https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1002/bies.201400071

2013年だったかと思いますが、我らが岐阜大学の先生から面白い講演がございました。

それは、自閉症と腸内細菌のお話なんですが、

なんと自閉症と健常者の腸内細菌叢を調べてみると明らかな違いがあったというんです。

更に、自閉症の方に抗菌剤を使用すると症状が緩和したというんです。

もしかしたら健常者の細菌叢に近づけれる事が出来れば症状は改善(完治?)するのでは...?

面白いですねー!腸管は無限の可能性が広がっています…。

皆さんが普段なにげなく食べてる食事、実はバクテリアによって献立が決められているかもしれませんよ。

因みに蛇足になりますが、肥満の方にも特有の菌叢があるみたいです。(画像を適当に拾っていたので何かしら付け加えてみました...反省しています。)





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