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オンラインにおけるファシリテーションのポイント-後編-|PAJ通信#012

こんにちは!
プロジェクトアドベンチャージャパン(PAJ)の池田です。

先週の投稿「オンラインにおけるファシリテーションのポイント〜前編〜」では、ファシリテーションの前提となるオンラインと対面の場の違いを共有させて頂きました。

今週は前編の内容を踏まえ、オンラインにおける「ファシリテーションの働き」について、引き続き高野(てつ)にポイントを解説してもらいます!

オンラインにおけるファシリテーションのポイント-後編 -

現在ファシリテーションに関連する書籍は何十冊も出版されています。
その中では、
・グランドルールを提示する
・目的とゴールを明示する
・参加者の発信を促す(中立的な立場)
・互いの声を聞き合う
・穏やかな雰囲気やユーモア
などといったことが基本的な要素として紹介されています。
これらはオンラインでもとても重要です。
それらを踏まえつつ、私が実践を通して気づいた、オンラインの場を活性化するポイントをご紹介します。

ポイント①開始時に発信(発言、意思表示)する機会を作る

対面の会議や研修の場合には、その場に出向くことで自ずと準備を行いますが、オンラインではその区切りがありません。
それぞれ「小休憩をとる」「お手洗いにいく」など切り替えの工夫していると思いますが、場合によっては直前まで別の会議を行っていたかもしれませんし、メールやチャットのポップアップが気になっているかもしれません。
このような状況を考えると、誰にとっても場に臨む準備をすることは難しいものだと言えます。

そこでオンラインの場合には、できるだけ早い段階で一人一人が発信する機会を作ります。そうすることで、具体的な行動を通して場に参加することを促します。
ファシリテーターが趣旨やゴール、グランドルールを伝え、必要な情報共有を行う内に5-10分が過ぎていたなんてこともあると思いますが、実は参加している皆さんは心ここに在らず別のこと考えていたかもしれません。
物理的に異なる場所にいるオンラインの場合にはそれぞれの状況も様々です。それを踏まえ、一人ひとりが頭も心も参加してもらうためには、具体的な行動をすることが重要です。

最初の発信は考え込んでしまうようなものではなく、答えやすいものがいいでしょう。
アイスブレイクを兼ねて「どんな朝食(昼食)を食べた?」なんていう問いや、継続的な場であれば「前回の会議(研修)からの後日談」など導入を兼ねるのも良いアイディアだと思います。
人数が少なければそれぞれ発言する機会を作れると良いですが、人数が多い場合にはチャットやアンケート機能を使っても良いと思います。
早い段階で「具体的な参加行動をとる」ことで、その後の場への関わり方が変わってきます。

ポイント②名前を呼んで投げかけること

オンラインでもお互いの表情を確認することはできます。
しかし、オンラインで眺めているのはあくまで画面やカメラです。対面コミュニケーションで使用される「目を合わせる」「身体を向ける」といったノンバーバルコミュニケーションは機能しません。
そのため、人と人の繋がりや場に対する安心感は非常に感じづらく、結果として参画度合いにギャップが生じることになります。

不安感や抵抗感のあるオンラインの場で「皆さん、いかがですか?」「自由にご意見をどうぞ」と投げかけた場合、自ら返答してくださるのは、もともと発信することに不安や抵抗が少ないごく一部の人に限られます。
そのような場面を繰り返すと他の参加者は「私が参加(発信)しなくても場は進む」ことを学習することになり、ますます参画度合いが下がります。

その打開策として、もっともシンプルで効果的な方法が「名前を呼ぶ」ことです。
コミュニケーションはよくキャッチボールに例えられますのでそれに倣って表現すると、名前を呼ぶことはキャッチボールのパートナーを明確にすることです。
目線があわず身体の向きもわからないオンラインでは、投げられたボールを誰も拾わなかったり、受け取り手が偏ったりしがちです。
「◯◯さん」と名前を呼ぶことで、「私に投げてくれたのだから、受け取ろう」と認識することによってキャッチボールが成立しやすくなります。
投げたボールを受け取り、その人が新たな場所に投げ、またキャッチしてもらえる。
それを繰り返すことでリズムが生まれ、次第にコミュニケーションのキャッチボールが楽しく、活発なものになっていきます。

初めはファシリテーターが起点となりますが、「◯◯さん、ご意見ありがとうございます。では◯◯さんから、どなたかへパスをしていただけますか?」などと、参加者同士で名前を呼び合うように促すことによって、場全体が活性化することに繋がります。
また、名前を呼ぶことは「私は、◯◯さんという唯一無二の存在を認識しています」というメッセージでもあります。

参加者全員が遠慮なく発信できるような非常に心理的安全性の高い関係性であれば特に意識する必要はないかもしれませんが、一人でも不安感や抵抗感を感じている人がいる場合には、意識的に名前を呼び合うコミュニュケーションを行うことをお勧めいたします。

ポイント③「見える化」に参加してもらうこと

対面の場合、ちょっとした疑問が生じたらこっそりお隣の方に尋ねて疑問を解消することが可能です。
しかし、オンラインではそれができず、全員に聞こえる場で尋ねなくてはなりません。
そのため「理解が遅い人、話を聞いてない人と思われたら嫌だから聞かないでおこう」「場の進行を邪魔したくないから、わかっている人に任せよう」といった、消極的な対応になりがちです。
チャット機能などを使い特定の個人に質問することや進行を止めずに場に疑問を出すこともできますが、言葉にすることと文字にすることの労力を考えると、オンラインは対面に比べてお互いの理解をサポートし合いながら進行していくのが難しいといえます。
また参加人数によっては、複数グループに分かれて話し合いを実施することもあると思います。対面の場合には、隣のグループの声が聞こえるなどその様子を感じることができますが、オンラインの場合には全く見えず聞こえないため、他のグループの様子がわからなくなります。

そこで「見える化」です。その場に発せられた情報や意見、アイデア、感想などをできる限り見える化して共有することで、一人一人の理解を進めたり取りこぼしをフォローすることができますし、失念してしまった場合にも見える化されたものに立ち返ることが可能になります。
もちろん対面においても見える化は有効な手立てのためよく行われていると思います。
ただしその場合、ホワイトボードや模造紙など記す場所や道具が限られるため特定の人が記録することになり、結果として参加者の役割が固定される傾向にあります。

オンラインでは、グーグルやマイクロソフトのファイル共有機能、オンラインのホワイトボード機能、Miroなど専用サービスを利用することにより、複数の人が同時に見える化を行うこと、またそれを自由に加工・編集することを容易に行うことができます。
その特性を生かし参加者全員に見える化への参加を促すことによって、場への参画度合いを高めることが可能なのです。
「自分が見える化を行う」となれば具体的な参加の形が明確となり場に参画しやすくなりますし、自分が記したものを他の方に読んでもらえたら場への貢献を感じることもできます。

はじめは「それぞれご自身の意見をファイルの枠内にご記入ください」といった簡単ことからスタートし、慣れてきたら「ブレイクアウトセッションでの話し合いのプロセスと結論を1枚にまとめグループごとに発表してください」といったことも可能です。
なかには、タイピングやオンラインツールが不得手な方もいると思います。
そのような場合も、得意な人がサポートする形とすればチームで共創・協働するメタファとなり、場の活性化に繋がります。

以上です。

先日お伝えした「対面とオンラインの場の違い」を踏まえ、基本的なファシリテーションスキルに加えて上記3つのポイントを実施することにより、オンラインでの会議やワークショップがますます活性化するものと考えています。

オンラインファシリテーションのポイント、いかがでしたか?
ぜひ実践してみてくださいね!

ファシリテーションについて「もっと知りたい」や「この場合どうなの?」などのご質問も歓迎しております。
メール(edu@pajapan.com)で、お気軽にお問合せください。

ここまでお読み頂き、ありがとうございます。
本日も素敵なアドベンチャーを!

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