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レム睡眠=浅い眠り ノンレム睡眠=深い睡眠は誤解? その2【睡眠豆知識】

以前豆知識で下の記事を書きました。今回は、そのつづきです。


「レム睡眠は浅い睡眠、ノンレム睡眠は深い眠り」は誤解... より正確に言おうとしたら「レム睡眠は比較的浅い睡眠、ノンレム睡眠は浅い睡眠から深い睡眠」

うーん、正直なところ、わかるような、わからないような... って感じでしょうか?

睡眠を長く研究していらっしゃった東京医科歯科大学名誉教授の井上昌次郎先生は、こうおっしゃっています。


『両者(レム睡眠とノンレム睡眠)の性質は対比的で補助的である。
だから、俗に言う「ノンレム睡眠は脳の眠り・レム睡眠は体の眠り」とか「ノンレム睡眠は深い眠り・レム睡眠は浅い眠り」のような言い回しは、単純明快であるがいずれも正しくない。』


睡眠はまだまだ未解明の部分が多い。眠りが「浅い・深い」だって定義が難しいですし、さらに言えば「睡眠」のきちんとした定義もないのが現状。全世界の各研究分野の人たち全員が一致して納得できるものには まとまっていないのです。睡眠はいまだ研究段階にあり、今まで当たり前とされてきたことが日々更新されています。

じゃあ、レム睡眠・ノンレム睡眠の違いを簡単に表現するには、どうしたらいいのでしょう。井上先生は著書の中で、以下のように解釈されています。


『レム睡眠は「ぐったり眠る」状態・ノンレム睡眠のうちの深い眠りは「ぐっすり眠る」状態』


レム睡眠は、ぐったり。
ノンレム睡眠のステージ3,4は、ぐっすり。

ほうほう。

ぐったりとぐっすりの違い、旺文社の国語辞典(改訂新版)から意味を引いてみると、

・ぐったり 疲れきって弱っているさま。

・ぐっすり 深い眠りについているさま。

ぐったりと眠るという表現だと、体に力が入らず だらーんとして、寝息はガーガーと音がしている状態を私は想像します。

ぐっすりは、すやすや や すうすう といった擬音語が思い浮かびます。脈や呼吸が安定している感じ。


レム睡眠とノンレム睡眠の違いを見た目で示そうとするときによく引用されるのが、猫の眠りです。1967年、フランスの睡眠研究者ミッシェル・ジュベーが、覚醒・レム睡眠・ノンレム睡眠の3つを表すのに猫のイラストを使用したのがきっかけ。

こちらのサイトに、猫の眠りについて解説があります▼
ぐったり眠るレム睡眠中の猫の写真と、ぐっすり眠るノンレム睡眠中の写真があります。

比較すると、意外と見た目にはレム睡眠中の方がよく眠れてそうな雰囲気で、ノンレム睡眠中の方が気を抜いていない風に見えませんか? アレ? 逆じゃないの? って思われるかもしれませんね。


手足をびよーんと伸ばしてグーグーガーガーぐったり眠るレム睡眠と、手足を縮めてまるまってスヤスヤぐっすり眠るノンレム睡眠のステージ3,4。

2つの眠りの違い、イメージできましたでしょうか。


🐱

参考文献:
井上昌次郎, ヒトや動物はなぜ眠るのか,  バイオメカニズム学会誌, 29 巻 4 号 , 2005年, p181-184.
井上昌次郎,  眠りを科学する, 朝倉書店, 2006年