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エリアリノベーションファンドは、域内循環経済圏をつくり、魅力的な地域を未来に残していきます【2022年4月更新】

▷「稼ぐ」資産を地元資本にバトンタッチし、域内循環経済圏を実現します。

僕らが展開するエリアリノベーションが実現しようとしていることは、簡単にいえば、自分たちが住んでいる地域において利益を生んでいる資産(不動産や事業)を自分たちで所有し、域内でうまれた利益が域内を循環するような経済圏をつくることです。

たとえば、宿を運営してとても売上があがっている不動産があるとします。それを地域住民が出資や所有権の保有というかたちによるオーナーシップをもつことで、資産に対する所有者としてのマインドが醸成され、またエクイティ(資本出資)による配当所得を得ることが可能となります。

それによって、域内に落ちたお金が域外に漏れることがなくなります。資本が域内を循環し、その資本の域内循環は、地域住民の豊かな生活に資することとなります。また、資産を区分的にでも所有することで、オーナーシップマインドが醸成され、地域の魅力を維持していこうという動機付けとなります。

つまり、労働所得と資本所得をリバランスすることで、地域住民が地域に資本家的(所有者的)責任をもてる機会をつくり、地域の魅力を維持していく動機付けがうまれることになります。そして、それが地域の生き残り戦略として有効であると考えられます。

また、いままで域外から購入していたものを域内で生産することで域外に流出していたお金を域内に循環させることも資本の域内循環にとって重要です。これを経済学用語で「輸入代替」といいます。

たとえば、外から購入していたエネルギーを、太陽光や風力発電によって代替し域内で消費することで、今まであればエネルギーの購入代金を域外に支払わないといけなかったものを、域内の事業社へ支払うことで資本の域内循環が発生することになります。

こうした所得の域内循環によって地域インフラが永続的に維持されていくという道筋こそが、僕が考える新しい地域経済共同体の理想的な姿です。

▷地域創生の鍵は「ローカルエリート」

地域事業に関わるようになり、地域が補助金という甘い汁によりいかに依存体質になっているかを痛感するにつれ、この依存体質をいかに自立モードに持っていくかを考えるようになりました。

詳しくは冒頭の記事をぜひ読んでいただきたいのですが、「ローカルエリート」への投資をしていくことが効果的であると考えています。ただ、日本では「偏差値エリート」や「一流企業」と呼ばれる大企業に就職することがエリートと考えられていたりと良いイメージがありません。

しかし、誤解を恐れず言えば、衰退した地域経済は、今までの旧態依然とした価値観の延長では持ち直すことができないと考えています。壊れてしまった原因そのままで壊れてしまったものを元に戻すことはできないでしょう。そうではなく、超越した全体性を考慮できて、損得勘定だけで物を考えない価値観を持った新しい「エリート」が必要とされていると思うのです。

こういうと、上の立場から押し付け的に設計主義的に地域を開発していくのか? と思われるかもしれません。しかし、決してそうではなく、むしろ全く逆です。

僕の考える「ローカルエリート」は、目先の損得勘定だけだけを考えるのではなく、補助金によって依存パラサイト体質となった地域を、いかにして自分達でちゃんと考える自立した地域に変えていくかとう視点があります。そして、ローカルエリートは自立を実現するために高付加価値の高いサービスをつくり、地域内の所得を上げていけるような人でもあります。

▷投資ターゲットとする4つの領域 - TECH

資本の域内循環を実現することがエリアリノベーションファンドの目標であることは述べました。具体的にどの領域に投資するかによって域内循環経済の実現にレバレッジ(テコの原理)の強度が異なります。また、目標の実現までの速度も異なることになります。

具体的に、投資のターゲットとしている領域を4つにまとめました。その頭文字をとってTECH(テック)と読んでいます。

1)Tourism(観光)
2)Energy(エネルギー)
3)Currency(通貨)
4)Healthcare(ヘルスケア)

まず一つ目の観光についてです。地域資源を生かした観光こそが日本の地域の生き残り戦略の大事な軸と考えています。特に一次産業が衰退していく可能性がある場合や、既存産業が斜陽となっている場合などは、観光産業が重要な収入源となります。

二つ目のエネルギーについてです。地域の所得流出の5~10%は光熱費等のエネルギー支出であると言われています。このエネルギー支出のうち、カーボンオフセットの再生可能エルギーに代替していくことや、売電等による収入を域内に残すことで、出来る限りエネルギー支出を減らしいくことが重要であることがわかります。

三つ目の通貨についてです。通貨は域内に限らず域外でも利用することができることから、域内で得た通貨は域外に容易に流出します。そこで地域通貨の仕組みを利用し、地域内でしか流通しない通貨をつくることが考えられます。現代のテクノロジーを利用し、既存のサービスを利用することで地域通貨の作成自体は容易に可能です。

4つ目のヘルスケアについてです。これは観光事業との組み合わせにおいても重要な投資領域となります.

ヘルスケアの市場規模は25兆円、観光の市場規模は11兆円とものすごい巨大マーケットであり、このマーケットに刺さるコンテンツを提供することで域外からの所得を増やすことが可能となります。特にヘルスツーリズム、ウェルスツーリズムといわれるヘルスケアと観光の交点にある領域におけるサービスが重要となります。特に高単価のウェルネスツーリズムのコンテンツを提供するナレッジをいかに蓄積するかが重要となります。

また、ここでヘルスケアを特別に投資領域としている意味があります。それは、地元住民のヘルスケアの充実です。

地元住民のヘルスケアを充実させることは予防医療につながります。また予防医療による域外病院への医療コストを削減することが可能となります。また、地元住民の快適な生活環境を維持していくというエリアリノベーションファンドの大事な視点にも資することとなります。地元住民の健康の維持が地域の大事な土台となることをここでは意識しています。

▷地域をよくする「文化」に投資をする。

僕が運営するエリアリノベーションファンドは、不動産、宿泊施設、飲食店、物産開発などにも投資をするし、そうした経済に直結するようなサービスやモノではないもの、たとえば伝統工芸やお祭りといった「文化」的資産を重要な地域資源として重要視しています。

これは、経済的な利益を追求するはずのファンドして奇異に思う人もいるだかもしれません。確かにそれは正しい側面もあるのですが、それだけでは僕が目指すものは成立しないと思っています。ある地域の持続的な発展のためには、経済的な成功をファンドのステークホルダーに還元するだけで不十分なのです。

僕は地方の魅力を引き出すためには、経済的行動原理だけでは足りないのではと考えています。その土地がもつ歴史、土地の記憶(ゲニウス・ロキ(genius loci))といった普段は意識されないが、その地域をつくりあげてきた無意識的なアーキタイプへの配慮を持ち続けるべきではないかと考えています。

genius lociはラテン語である。geniusuは本来の意味としては「産む人」という意味である父性の意味を帯びているものらしく、人を守護する霊という意味に拡張したようである。lociはlocusで場所・土地という意味である。つまり、genius lociとは土地に対する守護霊ということである。しかし、その守護霊というのは、鎮守様のようなものではなく、その土地に漂う精気のようなものととらえられるものである。

地方の魅力を引き出すためには、経済的行動原理だけでは足りないといいましたが、むしろ、その地域に根ざした伝統や文化へ投資することで地域の魅力が洗練され、ひいては経済的利益につながると思っています。

この点について、芸術文化への造詣が深い大林組の大林剛郎氏はこのように言っています。

日本の地方は、それぞれオリジナリティのある歴史や文化、ユニークなお祭り、食材の宝庫です。これらをどううまく紹介すれば外の人たちに理解してもらえるか、どう保護し発展させたらよいか。このあたりをもう少し工夫すれば、日本の地方はもっともっと輝いてくるに違いありません。・・・彼らに少しでも長く滞在してもらうためには、ほかにはない美術館や博物館、土地の美味しいものを提供してくれる食堂や心地よい宿といった、総合的な「文化」が必要となります。- 「都市は文化でよみがえる」

エリアの発展には、総合的な「文化」が必要だということです。

エリアリノベーションファンドは、文化への投資でもあるということを忘れてはならず、投資する地域の歴史、文化、伝統を学び、その土地にふさわしい資産に投資をしていくべきだと考えています。

▷住民と観光客の共存をかんがえる。

魅力的な地域をつくっていこうとする全国すべての人と協働し連携し投資をしていきます。

そして、そのような地域がたくさんできてくれば、日本の本来の輝きが増し価値の高い日本を世界に売ることができるはずです。

そうなれば私たちのファンドも投資家にちゃんとしたリターンを返すことができ、さらなる投資を行うことができるという好循環が生まれます。

一方で、もともと住んでいる人たちが不自由になったり不快な思いをしたり疲弊したりすることがないように配慮することも必要となります。

「観光客」はその地域に外部から来るものであり、その地域に様々な責任を負う存在ではありません。原理的には観光客の利害と住民の利害が相反する場合というのも少なからずあります。

たとえば、京都に雨後の筍のように乱開発された民泊を想起したらいい。同じ地域に管理なされない民泊に宿泊する様々な観光客が、周辺住民の住環境を隅々まで意識してそれに対応するような生活をするということは原理的にいって考えにくいのです。

そうした原理的な対立構造があるからといって、放置していいはずがなく、こうした軋轢を最小限に抑えるための視点をファンドして維持しなければならないと考えています。

観光客と住民の利害調整という視点をもち、結果を残すことに責任をもつ。ファンドとしてそうした視点にもとづくコミットが必要だと考えています。

▷「役立つもの」も「意味あるもの」も

クリエイティブディレクターの水野学氏と山口周氏との対談で、「役に立つもの」から「意味あるもの」へという議論がありました。

これからは、ただニーズを満たすだけの機能性を持った「役立つもの」ではなく、「意味あるもの」の重要性が注目されるべきだと予測しています。

確かにそうだろうと思います。もはや「役立つもの」は飽和しているのです。しかし、地方によっては「役立つもの」がまだ不足しているケースがあります。もしくは、今はあるが人口減少によって例えば診療所や病院のような「役立つ」インフラが消滅する可能性すらあります。

すでに住んでいる人たちにとって役立つものを維持していくとう視点も僕はファンドにとって重要だと考えており、そうしたインフラを維持するためのアイデアと投資が必要だと考えています。

▷エリアリノベーションファンドは運動

エリアリノベーションファンドは、ファンドと名乗ってはいますが、一種の運動だというのが僕の感覚に近いです。

ただ投資をして終わりというのではなく、日本各地の志を同じくする人たちと連携し、さらに自分たちのまちをよくしていこうという終わりのない動的な運動だと考えています。このファンドはエリアにコミットし続けなければならないのです。

▷お気軽にご連絡ください!

お問い合わせは、ローカルツーリズム社の問い合わせフォームもしくはtwitter(@komehanaya)のDMからお願いいたします!


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