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【完全無料講座】AbletonLiveで電子音楽を作る④~ベースラインの構築~

1.はじめに

前回は、「Beatの作成方法」について学びました。

第4回目は、モードという概念を使いベースラインを作ることを学びます。

具体的にはDドリアンモードを使い、通常の調性音楽とは違うベースラインを作れるようになります。

本講座は、「とにかく1曲作る」事がテーマなので小難しい理論の話をしませんが、簡単な譜例が登場します。楽譜が全く読めない超初心者の方には少し厳しい内容になりますので、次のサイトで基本的な事項は学習してください。

モードについて詳しく勉強したい方は、前にも紹介した下記サイトを参考にしてください。


2.モードとは

めちゃくちゃ雑ですが超簡単にモードを定義すると、

スケール(音階)が持つ固有の響き(明るさ・暗さ)

であり、従来の調性音楽(ハ長調とかイ短調)では表せない音楽ということになります。

まず、調性音楽で定番のスケールを確認しましょう。ハ長調とハ短調の音階です。長調は明るく、短調は暗い響きを持ってます。

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このスケールを使って作曲しても勿論構わないのですが、皆が使っている音階のため、面白みがありません。特に電子音楽の世界では、ポップな志向を嫌う風潮があるため、響きに個性を出そうと競っているのです。

そこで使い始めたのが、ドリアンスケール(モード)です。

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上記のCナチュラル・マイナースケールと比べてください。

マイナースケールの第6音(ラ♭)が半音上がっていることが分かるでしょうか?響きで言うと、マイナースケールより少し明るい響きになります。洗練された(お洒落な)響きを感じ取れればOKです。

しかし、上記のCドリアンスケールは、フラットが2つ付いていて、初心者の方には扱いづらいですね。

そこで「Dドリアンスケール」の登場です。

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Dドリアンに移調すると♭や♯が1個もありません。

ピアノで言うと、白鍵なら何弾いてもOKということになります。

とにかく、

「レミファソラシドレ」だけを使って、ベースラインを作る。

それだけでOKです。

ここでも音楽を頭で考えている人は、「ドレミファソラシド」と「レミファソラシドレ」は何が違うの?と思うかもしれません。

Dドリアンスケールにおいて大事なポイントは、

"第1音 レ"(ルート)と"第6音 シ"(特性音ともいう)が響きを支配する。

すなわち、ベースラインやメロディーでこの音を使うことにより、Dドリアンモードの響きを表現することが可能になります。

んっ!!!??? なりますよね?

分からない方は、忘れても構いませんし、覚える必要はありません。

ただし、実践あるのみなので、下記の動画だけは必ず確認しましょう。

実際の譜例と音で確認してみましょう。

とくに響きに注目して聞いてくださいね。

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上図の3つの例は、それぞれ右手のメロディーは全く同じですが、左手だけが違います。

1番目は、Cメジャースケールの響きになります。これは全然アリですね。


2番目、3番目はDドリアンスケールの響きになります。これをアリだと思えるかがポイントです。

ね?響きの違いが分かりましたか?

モードとは、メジャーやマイナーとは違う響きを持っている音階ということを理解できたでしょうか。

なんかCメジャースケールとは聞こえ方が違うな~

で大丈夫です。次のチャプターからは実践です。

Dドリアンモードを使ってベースラインを作っていきますよ。

3.ベースラインの作り方

これは、前回最後に紹介した動画ですが、ベースラインはDドリアンを使用しています。

使った音色は、ableton liveの「サウンド」→「Bass」→「 Bass Floor Bounce」のプリセットをそのまま使用しています。

譜面にするとこんな感じ。

ベースライン 見本

説明にもあるように、Dドリアンの特性音(シ)が登場しますね。

しかし、先ほど説明したようにDドリアンの響きを確定するためには、他のパートやベースラインでルート(レ)と特性音(シ)を両方鳴らしてやる必要があります。

このフレーズでは動画の後半の方で、ちゃんとルート(レ)の音が登場します。

大事なのは、

Dドリアンでは、ルート(レ)と特性音(シ)を使う。いつ使うか自由である。

最初からルートと特性音を使うのもOKですが、オリジナルティを出すためには、Dドリアンとすぐに判別できないようにするのも手です。少し高度な内容から説明したので、いくつか基本的なパターンを説明します。

何度も言いますが、「レミファソラシドレ」以外の音は使いません。これらの音を自由に組み合わせる練習が必要です。

【リズミックルート】

ルートだけを使ってベースラインを構築する方法。図のようにリズムとオクターブを使い工夫することで、単なるルートでも見違えるベースラインになります。ぜひマスターしましょう。

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オクターブの基本的な使い方としては、Fill-inで説明したように4小節目に入れるとアクセントになって、ベースラインが締まります。

【ルートと特性音を両方使う】

ルートと特性音を使ってベースラインを作ります。実際には、第3音(ファ)を入れることで特性音への流れをスムーズにしています。音程の急激な移行は、目立ちすぎる場合があるので、曲調にあわせて判断していきます。

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余談ですが、各スケールの第3音は、そのモードがメジャーかマイナーかを判断する大切な音です。この場合はルートからみて短3度にあたるのでマイナーモードであることが分かります。長3度にあたる場合(もし第3音が「ファ」ではなく「ファ#」だった場合)メジャーモードになります。

詳しく勉強したい方は↓

【疑似ペンタトニック・ベース】

Dドリアンスケールの1,2,4,5,6音すなわち、「レ・ミ・ソ・ラ・シ」を使います。私の好きな響きなので紹介します。

この音は、Eマイナーペンタトニックスケール「ミ・ソ・ラ・シ・レ」と構成音が全く同じなので、特性音を最期の小節に置くことで独特の個性をベースラインに出すことが可能になります。

ペンタトニックスケールはギタリストやベーシストが好んで使うスケールなので、ベースラインには使いやすいと思います。

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どうでしょうか?

特性音を経過音のように使う(4小節3拍目以降、「ラ」と「ミ」の間に特性音「シ」を挟んでいます)のがポイントです。そうすることで、さりげなくDドリアンを主張することができます。

さて、ここまできてベースフレーズに煮詰まってきてませんか?

フレーズが思いつかないときに試してほしい裏技を紹介します。

【リバース&インバートを活用したベースライン】

先ほど作成した「疑似ペンタニック・ベース」をもとにAbletonLiveのノートボックスにある「Rev」、「Inv」機能を使うと、簡単に新しいベースラインを作成することができます。

使い方は下図を参考にしてください。

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おっと、忘れてた。

必ずFoldボタンを押すようにしてください。Foldボタン押すことで、使用していないMIDIキーを非表示にすることができます。(レミソラシ以外の音が使用できなくなります。よって、反転させてもDドリアンを維持できます。)

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Rev(左右)させた場合

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Revする前のフレーズを、右側から左側に再生するフレーズが簡単にできます。

Inv(上下)させた場合

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Invは少し分かりにくいですね。今回の場合、

「ラ」を中心に

「ソ」は「ミ」に

「ラ」は「レ」に

「シ」は「シ」のまま

「レ」は「ラ」に

「ミ」は「ソ」に 上下に反転します。

この方法は、プロの方もよく使う手法で、とても簡単なので覚えておいて損はありません。

動画では、フレーズが出来る過程と実際の音を確認しましょう。

補足ですが、スケールについて詳しく勉強したい方は↓

【Dドリアンの音を全部使ったベースライン】

最後は、「レミファソラシドレ」を全部使ったベースラインを紹介します。

鍵盤が弾ける人は、実際私がやっている方法を動画で公開するので試してみてください。

鍵盤が弾けない人も、Dドリアンスケールは、白鍵だったらドコを弾いてもOKなので、ひるまずチャレンジしてくださいね。

①「編集」→「録音クオンタイゼーション」→「16分音符でクオンタイズ」

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②クリップ録音ボタンを押して、白鍵を適当に弾く

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最初は、リアルタイム演奏に不安を感じるかもしれませんが、思い切って白鍵を弾き倒しましょう。右手左手1本指でもカッコイイフレーズを作れるようになるまで何度もトライしましょう。

私もリアルタイムで挑戦した動画を公開するので、恥ずかしがらずに頑張ってみてくださいね。

動画前半は、一本指でリアルタイム録音をしています。下手クソでしょ。

でもそれでいいんです。16分音符で勝手にクオンタイズしてくれるので、録音後のクリップを聞くと、ちゃんとしてます。

あとは気に入ったらフレーズを切り取ったり、先ほどのRev&Invなんかを使ったりすれば、簡単にベースラインを増やすことができます。

4.おわりに

これまでの方法を使うと、ベースラインのパターンが最低でも5つはできると思います。

大事なことは、「レミファソラシドレ」だけで色々な組み合わせを試すこと

それ以外にありません。白鍵どれ弾いてもOKということは、失敗なんてないって事なんで、恐れずに行動あるのみです。

最後に、今まで作成したリズムとベースラインをランダムに鳴らして終わりたいと思います。

どうでしょうか?曲になってきたと思いませんか?

曲の長さは、1分10秒くらいありますね。

この調子で展開を工夫すれば、2分20秒の曲が簡単に出来そうですね。

今回はここまで。次回は、コードの構築です。

お楽しみに!!

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