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木に括られた仔象

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90年代から2000年から少し経ってからまでの実話。 酒、SEX、ドラッグ、暴力の実話。14からの快楽に溺れた少年の話。
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木に括られた仔象9.5(ジャングルジュース)

木に括られた仔象9.5(ジャングルジュース)

Part Ⅰ < 森 >

蒸し暑い森を抜け出すために、盲楼とする意識の中で堪を頼りに抜け道を探している。

一人の少女を背負いながら、頼りない足取りで。

森のなかのすべてのものが、金属を思わせる材質だ。

樹木のひとつひとつはまるで重金属の様で、アルミニウムみたいだ。

葉脈や年輪の模様は基盤の回路図様であたかも電気を通している様にキラキラと光っている。

この熱気は機械が発熱する時のものと似

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木に括られた仔象9

あれは、あれこそが第一の青春だったのかも知れないな……。

未だ皆が生きていた時の事だったな。

そういえば、皆が酔っぱらってラリってマンションで雑魚寝してる時だったな。皆が各々の小宇宙を体感してラリってる時に、おれとヒロシは不思議とシラフでいたなぁ。

そんで、手を付けていないマンバ系のメイクした酔いつぶれた女のメイクをウェットティッシュで全部落としたっけな……。そしたら、まあ、何とも可愛らしい

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木に括られた仔象8

あれは確か16歳の秋だった。

ジーンズ屋のバイトを辞めて、カンフーの道場を辞めてから酔っぱらって家出した時の事だ。

二千円弱を持ってアーリータイムスをラッパ飲みしながら千代田線に乗ってフラフラしてた時だ。

エンジニアブーツにビンテージジーンズの如何にもチーマーっぽい奴二人に声を掛けられたんだ。

「いいもんやるよ」とね。

出された、それは白い錠剤だった。

今、思えばアレはMDMAだったの

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木に括られた仔象7

おれは163cmとチビだが、たくさんの人に美形だと言われた事がある。

事実36歳になった現在に於いても、そこそこ、もてるし二十代前半にも見えるらしいし、色男だとすら言われ恥ずかしいとも思う。

白髪など一本しか生えた覚えは無い。

おれは美しいのかも知れないが、それは被害者及び捕食される側として魅力的なのだと思う。

即ち、いけにえだ。

初体験の女の人にもヤられたという感じがあったし、ゲイのお

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木に括られた仔象6

高校を辞めたとか、そういうものの前からアタマがおかしくなり始めていたんだ。

身体と心を分離して考え始めた頃からかも知れない。

其れは初めて自分の部屋たる僅かなプライベート空間が出来始めた頃からなのだろう。

夢精はしていたけれど、射精というものが出来なくて、もどかしく感じていた中学二年生の初夏。風呂場にエッチな本を隠し持ってボディーソープの潤滑を使って自慰した時に、体幹を揺らす信じられないゾク

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木に括られた小象5

そう、1995だ。

おれは絶望と、諦めに似た僅かな甘ったれた望みを抱いて高校に通いだした。

本願校を実に三回変えての入試をし、滑り止めには落ちるという大失態をしての高校だったから。

こんだけバカな学校だったら、きっと楽しい事で一杯なんじゃないのか?大勢のバカ共が必死になって通いたがる”マトモ”な高校な訳だしな。と、思っていた。

折しも世間はギャル、コギャル、ギャル男、援助交際、ブランド品、

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木に括られた小象4

それは、もう何時だったかわからないよ・・・・。

多分、中学校一年生くらいからだ。

気が付けば、おれは幻覚を見たり、金縛りにあったりして沢山、たくさん疲れてしまって、よく学校の午後は保健室のベッドでうなされる日々が続いた。

酷いときは担任の先生などの車で家まで送ってもらったほどだ。

おれは無理矢理に学級委員をやらされて緊張の極限までに立たされて詰られたり、教師からの激しい体罰(体をほうきの柄

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木に括られた仔象2

酩酊

・・・・

1997年の何時だったか?

おれは17歳の時にヤクから一先ず足を洗った。

やめたくてやめた訳じゃない。手に入らなくなったからだ。

シッカリ覚えていないのは、もう常に何かにラリっていたから。

・・・・

よく酒を飲りながらゲームをやったものだ。

一晩にアーリータイムスなんかのハードリカーを1,2本空けるなんてザラだった。

未だ酒の規制が緩かった時代。制服を着ていても酒

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木に括られた仔象 ~登場人物~

木に括られた仔象 ~登場人物~

・あずみ

本作品の主人公。

14歳で人生に絶望し、酒とSEXとドラッグに溺れていく少年。

身長163cm。

・杏子

あずみのパトロン。

身長173cm。

切れ長の目に白に近い金髪。スリムな身体、浅黒い肌、

水に浮くGカップの巨乳。

あずみの初体験の相手。

あずみにカネと性の快楽を余す事無く与える。

ヤサと車を二つ持っている(白いスポーツカーと

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木に括られた仔象3

~告白~

・・・・ピンクの塀の向こうに見える団地の建物。

あの屋根に上れば、あの青い空に触れるんじゃないかと思った。

炒められたケチャップとピーマンの混ざった昼のチキンライスの匂いが、

ゴミ捨て場の前にある、おれの家の中から漂ってきた。

あれこそが、おれの初めての感覚というか物心の様な気がする。

・・・・

おれん家は貧しかったらしいが、それを感じさせない明らかな豊かさがあった。

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木に括られた仔像

像使いに従えられる像は何故に強大な力を持っているのに人間に従うか?

それは生まれたばかりの力無き仔象は木に括り付けられるからだ。

仔象は自らの力で木から離れられない。

気付いた時には既に何かに屈服させられているのだ。

そしてやがて強大な力を得ても尚、木から離れられない錯覚に支配され続け、

ひいては人間に屈服する事を当然の事の様に受け入れているのだ。