察してちゃん
友人に、相談をした。
私「私はほんとうは、毎日のように遊んで帰ってくる彼に、もっと私との時間を作ってほしいと思ってるのに、言えない。
彼にとっては皆大切な友達だって分かっているし、
私に迷惑をかけているわけでもないから。でも、
やっぱり気になってしまって、もやもやだけが残る。
人に強要をしたくない、期待しすぎて縛りたくもない。でも、それを言えないからってもやもやしているのでは、逆に不健康な関係じゃない?」
中学時代からずっと仲が良く、私のことを分かってくれる彼女は、うんうんと私の話をきいたあと、こんな話をした。全然関係ない話のふうに。
友人「私は彼氏と遊ぶとき、必ずあっちからの誘いでしか遊ばないんだ。自分から誘う前にあっちが誘ってくるから。」
私はそれを聞いて、素直にこう言った。
私「え〜〜?!それじゃ、彼氏が可哀想。いつもあっちからだなんて。絶対、彼氏もたまにはあんたから誘ってほしいって思ってるよ。誘ってあげなよ。」
私の非難の声を聞いて、友人は言う。
友人「自分は友達と遊ぶとき、誘われたら、その回数だけ自分が誘い返さないとって気を遣っちゃう性格なんだよね。
でも、彼といるときはそうしなくてもいいってことでしょ?ありのままの自分でいられるし、そのままでいいと思ってる。」
私「ええ〜〜。それは、どうなの?
相手の気持ちを、無視してない?気づかないふり、してるんじゃない?
あなたにとって居心地がいいからって、相手がどうしたいかは、気にしないわけ?」
思ったままを、伝える。
彼女は言う。
友人「違うよ。私は彼から、『君からも遊びに誘ってほしい』の一言をきけば、もちろん、分かった、っていって、定期的に誘う。でも、言わないんだよ。彼は。誘って、って。
だから、私もこのまま何も、言わないの。だってさ、僕が何も言わなくても遊びに誘ってほしい、っていうのは、言い方は悪いけど自己中っていうか、『察してちゃん』なんだよ。言われたらするけど、言わないからしない。それだけ」
私「なるほど…。確かに、そうかもしれない。言わないのに分かって欲しいなんて、言葉を持つ、大人として間違った関係かもしれない。」
友人「だからあんたもさ、言わないでもやもやしてるんなら、ちゃんと言ったほうがいいんだよ。言わなかったけどこうしてほしかったって後から言われたって、都合よすぎ。」
私「で、でもさ、愛してるなら、相手を分かろうとすることも、大切なんじゃないの?本当はこうかなって、推測することも、必要なんじゃないの?」
友人「それが、『察してちゃん』なの!」
私「うう…!」
長い付き合いの友達からの助言は、鋭く刺さった。刺さったあと、優しく溶ける、私のことを想った言葉だった。
友人「でも人に依存しがちなあんたが、相手を縛らないように振る舞おうとしてるのは偉いよ。ただ、ずっと向こうに合わせてると自分が苦しくなる。
全部思い通りっていうのは難しいけど、無理せず楽しむあんたを応援したい。大事なのはバランスじゃない?」
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何も言わないのに一人で不安になったり、勝手に不機嫌になったり。
こういう人とのつきあい方は、確かに彼女のいう「察してちゃん」なのではないだろうか。
そして、「察してちゃん」とはまた少し違うのだが、私はさらに、相手に「こうしてほしい」以上に、「こう思っていてほしい」という願望を持っている。
例えば、「私にしかこの一面は見せられないな、と思っていてほしい」「私になら最後の一口をあげてもいい、と思っていてほしい」こんな具合だ。
これを、なんと呼ぼうか、などと思った。
※事実からアイディアを得たフィクションです( ᴖ_ᴖ )
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