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「Untitled, For Observer」
同じ悲しみを何度も味わっているの。
擦り切れた悲しみは、以前の悲しみと比べると人肌を感じて、
私は自分の弱さすら好きに思えてくるわ。
何故あなたの側にいるのか、私にはわからないの。
きっとそれは不幸なことなのに。
私の青いところをあなたに上げても、あなたは少しも喜ばないのに。
そうして私の心の表面にミミズができるの。
生きる事、なんて言い尽くされた言葉では、
ちくりとも私の人生を刺さない。
こうした弱い言葉がどんな風に見えるか知っているの。
また、こうしてメタ的にマトリョーシカした言葉の心寒さも感じているの。
でも一体私は誰の視点を恐れているの。
そう、私はこんなに弱いのよ。
ナルシスもきっと池のほとりでびっくりしているわ。
一度、私は大きく息をする。
すこしの間、肺に12歳の空気が宿る。
でも吐いてしまうのよね。
”もったいない”は日本の国技ですけれど、息を吐いた後の67歳の私は、
55年分の鼓動を空に投げて、国籍不明のUFOでありたいわ。
そして小さくなったあなたを空から眼差して、
黒い穴へ一人で旅をするの。
黒い黒い宇宙へ
旅をするの。
水鏡に写った、私の弱さに惚れ込みながら。
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