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アメリカ縦断ぼっち旅 8日目 マウントフッドリベンジ


カーテンの隙間から暖かな朝日が差し込む。
目が覚めて外を見ると…快晴!

急いで荷物をまとめる。
昨日ずぶ濡れになった服やらリュックやらは、すっかり乾いている。

出発前、ロビーで朝食をたっぷり食べる。
せこいけど、ちょっと多めに取った小分けされたジャムや塩を少し頂く。自炊しながら旅をする時に、味を変えられて小さく軽いコイツらが、本当に役立ってありがたいのだ。


ホテルのすぐ近くにtinberline行きのバスが停まる。痛い出費だと思ってたけど、快適な部屋、綺麗なお風呂、朝食付きでリフレッシュできたし、交通の便も良い。なんだ大成功じゃないか。


バスに乗り込む。
次の停留所で、マウンテンバイカーが3人乗ってきた。バイクはバスの外のラックに置ける。何やらハイテンションでとても盛り上がっている。良いトレイルがあるのかな。

終点のtinberlineに着いた。



昨日真っ白で見えなかったお山が、今日は顔を出してくれた〜。
美しい!
俄然ヤル気が出てきた。

相変わらず荷物はとても重い。
このまま登るのもしんどいな。
うーん。
ダメ元でロッジのフロントで聞いてみよ。

-ハイキングしたいんだけど、荷物がとっても重いので、預かってもらうことはできますか?
「良いですよ。二階のレストランの入り口の横に置いて下さい」
-いいの?ありがとう!

言ってみるもんだ。

すぐに一階のフロントから二階へ上がる。
食堂の横、横…どれかな、よくわからない。

その場所と思われるのは、レストランのお客さん用の外套かけしか見当たらない。
ロッカーとか、他の人から見えないとか、そういうんじゃないのね。
観光客で賑わうロビーに、ど放置。

うーん、、、

とりあえず、説明通りならここで間違い無いから置いてみて、写真撮って後でフロントに見せに行こう。



サブザックにハイキングに必要なものを詰め込み、フロントに向かう。写真を見せると、
「ええ、ここで合ってます。わざわざ確認してくれてありがとう。」

やっぱあそこなんだ。
貴重品は全部持ったけど、まあ置き引きとか無い上品な場所なんだろうな。
そもそも、タダで荷物預かってくれるだけでもめちゃくちゃありがたい。
よし、信じよう。大丈夫。


さぁ、天気が良いうちに早く登ろう!
荷物軽いし、天気良いし、足取りも軽い。


ん?なんだか雲行きが……



登り始めて30分もしないうちに、どんより曇ってしまった。
でもまだ雨降ってないし、大丈夫!
登れ登れ!


雲行きが、というかあっという間に一面真っ白なガス。何にも見えねー。
標高2138mにあるロープウェイの中継地点に着いた時には真冬の寒さ。そしてうっすら積雪。
車で下から上がってきた観光客も、ここから上に上がるのを諦めて踵を返す。


お昼近い時間になったので、腹ごしらえ、
とリュックを開けてバナナを頬張る。


お?


おお?

観光客にいつも食べ物貰ってんのかい?
こんなに人懐っこいリスは初めてだ。
でもあげないよ。
野生のものは野生のまま、がお互い幸せだと私は思っているから。


もぐもぐ休憩していると、二人組みの男性がさらに上へと登って行った。
私もしばらくして、リュックを背負い、歩いた跡を見に行く。

踏み跡もあるし、リフトの支柱が上にずっと続いているし、リフトか何かの工事車両も大きな音を立てて動いているし。
これはガスってても迷うことは、無いな。


薄っすら雪の積もっているトレイルを登る。
サク、サク、
工事の音はたちまちに消え、雪を踏みしめる音だけが響く。
サク、サク、
楽しいな。


おっと、雪が降ってきた。

まだ9月の半ばだけど、標高も高いしな。
油断して雪用の装備は持ってきていない。
あぁ、でもまだ登りたい。
もっとサクサクしたい。

標高2400mほどまで登ったところで、雪がさらに降ってきた。


…仕方ない。トボトボと下り始める。
リスのいた中継地点を過ぎると、一旦雪は止んだ。
と思ったら、みぞれが降ってきた。
急いで降りなきゃ!


急ぎ足だとあっという間だ。
なんかちょっともったいない。
すぐにPCT近くまで下って来てしまった。

またPCTつまみ食いでもするか。
このトレイルを歩くと、たくさんの人とすれ違う。
なんだか大きな動物の糞があるぞ。

馬糞?!

写真には撮ってないけど、「乗馬の人はここまで」サインがトレイルにあった。
乗馬、マウンテンバイク、登山の人、
いろんな楽しみ方をみんなで共有しているって、なんだか良いな。


大きな案内板が出てきた。
火の取り扱いのルールは厳しい。
アメリカで山火事が起きやすく、しかも一度起きると、何ヶ月も延焼し続けて大きな被害が出るからだ。

それにしても、とても人気のあるハイキングコースの割りに、ゴミがほとんど落ちていない。(馬糞はある)ハイカーに愛されてるんだなぁ、と思った。

もう少し歩いてみたいな。

地図を拡げると、ポートランド方面に行くバスが止まるgovernment campまで、tinberlineから下れるトレイルを見つけた。
昨日は雨の中ひとり車道を歩いて、途中で拾われたんだっけ。
glade trail約10km。標高差、約650m。
今日はポートランドに帰って泊まる予定だから、夜になる前に帰るとなると…時計を見る。
1時間半で降りねば。


急いでtinberline lodgeに預けたリュックを取りに行く。


同じようにハイキングしてる人がいたんだね。

急いで大きなリュックの方に、全部の荷物をまとめて、フロントにお礼を言い、ロッジを後にする。

地図には、とっても多くのトレイルやキャンプ場が書いてある。このtinberline周辺以外はバスが無いから、レンタカーが必要。
この時はまだ、反対車線を走る勇気が無かった。
滝好きとしてはいろいろ回りたいところがマウントフッド周辺でたくさんあったのだけれど。

次回のお楽しみ、にしておこう。



トレイルを急ぎ足で下る。
奇声が聞こえた。
??
なんだろう??
答えはすぐにわかった。



マウンテンバイクだ。
そういえば、行きのバスで一緒に乗ってたな。
歩きのトレイルと並走?してバイク専用のトレイルがある。
10km、600m下りっぱなしのバイクトレイルって日本ではあるのかな?

楽しそうな奇声を時々聞いていると、私にまで楽しさが伝染してきた。お陰で、60ℓのザックを担いでスキップのようにリズム良く下れた。
ここ一年で10キロ太った割には、膝も痛くならないって、我ながらイケてる。

このトレイルには踏み跡が1つしか無い。景色が良いわけでは無いし、かといって森の中ってわけでもない、距離も長いから、あんまり歩く人がいないのだろう。


後半は半ばやっつけになって、予定より少し早くgovernment campに着いた。


売店にも目もくれず、バス停に一目散に向かう。

鼻ピアスのギャルが、ウォークマン聴きながらバスを待っている。私の大きい荷物に驚いた彼女と目が合ったので、尋ねてみる。

-バスいつ来るか知ってる?
「5分後に来るよ。タイミング良かったね!」
-ほんと?!ありがとー。

すぐにバスが来た。
これで一安心。

バスの中で今晩の宿を探す。
ポートランドには、ユースホステルが2軒ある。
3日前に滞在したところも、ダウンタウンで遊ぶには便利で良かったけど、今日はもう一つのところにしてみよう。


ブッキングドットコムで予約完了。

greshamから今日の宿までは、バスで向かう。
これまた似たようなバス停の名前だらけで、どこで降りるかさっぱりわからない。
今度は運転手を捕まえてGoogleマップの経路検索画面を見せる。

-ここで降りたいの!
「んー、OK。そこに着くときに教えてあげるよ!」

ポートランドの人はみんな親切〜。


無事に目的地最寄りのバス停で降りて、歩く。
ダウンタウンと違い、緑が多く、ゆったりして綺麗な住宅が並ぶ。なんか余裕がある感じ。

目的地のHI Portland Hawthorn district hostelに着いた。


お出迎えありがとう。

ここは、すごくこぢんまりしている分、スタッフや他の宿泊客との距離が近く、アットホームな雰囲気で落ち着く。
バイク盛んなポートランドだけあって、バイク専用のガレージやロッカー、工具のあれこれが整備されている。

バスタオルも無料貸し出しなんだ!ありがたい。

夕飯の買出しついでに街を散策しよう。
街が綺麗だし治安も良さそう、嫌な匂いもしない。
たくさん動いたから、手のひらほどあるチーズケーキも食べてもいいよね。
夕食は外食とか何か奮発しようかとちょっと思ったけど、ちょうど良い店を見つけられなかった。


宿に戻り、汗と雨で汚れた衣類を、ホステルのコインランドリーできれいにリセット。


さて、明日はどうしよう?

もう次行ってもいいかな。

シャスタ山の写真にとても惹かれたので、やっぱり行ってみよう。
山火事がまだ続いているらしいけど、鉄道は運行しているみたい。

greyhoundの長距離バスの方が安いけど…ポートランドのユニオンステーション近くの、治安が良くない場所で待たなきゃいけないんだよな。



よし、朝起きてから決めよ。

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