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おくりもの。

ボクの親族の
言いつけ

ひとから
「もの」を貰うな

理由を
おばあちゃまに
きいた

「いただいたら
お返しするのよ」

そう云うだけ
イマイチわからない

そして
その逆で

ひとに
「もの」をプレゼント
する時は

相手が親族でも

自分の欲しいもの

誰からみても
「高額」
「新品」

手作りはNG


親が子供に
「手作り」も?

それは
プレゼントではなく
生活の中での
暮らしの一部

親子で食事や
オヤツや小物を手作り
これは
生活の中の
お楽しみであり

他人とは共有しない

もし欲しいと言われたら
すぐ差し上げてしまいなさい

手作りは売り買い
そもそもするためじゃなく
暮らしの中の支度だから

端切れや余り布
解いたセーターの毛糸
浴衣の打ち直し

プレゼントにはしない

相手を祝う
プレゼントは
常に新品であり
自身が欲しいと思う
高級品であること

これが礼儀で
「祝う」キモチだ


だから
うちの親族は
あまりプレゼント
交換しない

ホームパーティでは
叔母さまたちが
手作りのパイや
手料理を持ち寄るが
プレゼントではない

また
友人のお宅を訪問するときに
「手土産」は「飾り」として
「お持たせ」するが

訪問マナーとしてのもので
プレゼントでもない

ミニブーケや
小さなケーキ、
果物と
マフィンを少し
などなど

そこで。

おばあちゃまの
知り合いに
ちょっとガラの悪い
怖い人がいて

喫茶店の常連さんで
声をかけられた
というか
目をつけられた

同世代のおばあちゃま
話しやすかったのか

おばあちゃまは
お付き合いする気は
さらさらないようだが

おばあちゃまの
ご自宅まで
ついてきたりする

頭をさげ
「さようなら」と
別れを告げても

「トイレ借りれる?」
などと何かと家へ
入ろうとする

おじいちゃまや
他の人達で
上手に何やかんやで
追い返すと

翌日大きな紙袋で
やってきた

おばあちゃまが
慌てて表に出ると

「迷惑かけたから」

そう云って
大きな紙袋から
包装された
大きな重い箱を出して
渡そうとする

中を見なくても
想像つく

箱だけ大きな
ジュースの詰め合わせ

中古ショップでも
頂き物で
最も要らなかった品として
売りに出されてるヤツだ

もちろん
ボクの親族で
それを飲む人はいない

またもや
おばあちゃまは
おじいちゃまや
その他の人と一緒に
その客人を荷物と共に
自宅前から返した

おばあちゃま
もう面倒くさいから
頂いてしまえば
いいんじゃないの?

パコちゃん
それはダメよ

やり取りは
続くのよ

頂いたら
半額ぐらいのものを
お返しするの

え?そうなの?

相手に頂いたものの
「上」に出ないように
お返しするの

そうなんだ

たとえば
あのジュースなら
1箱5千円ぐらい
すると
2500円のものを
お返しになってしまうの

すると
選択肢が無いでしょ?

世代が子供なら
2500円のケーキ菓子を
渡すことはできても

オトナになると
難しいのよ

いただかないのが
いちばんなの

そうしてるうちに
1週間過ぎ

またある日
たくさんの「もの」を
片手にさげて
やってきた

今度は
「頂き物なんだけど
うちはいらないから
食べて!」

インターホン越し
聞こえてくる
ガラの悪さに

家のなかが
静まり返る

おじいちゃまは
ソファーに座ったまま
大きな声で
ひとりごと

「自分が貰った
いらないものを
うちに持ってくるって
ウチはゴミ箱か」

誰も何も言わない

「あなたがいらんもの
わたしもいらんって返せ」

おじいちゃまは
笑ながら新聞のページを
めくる

叔母も鏡の前で
「食べて」は無いわよね
私達、シモベじゃないんだから

居留守を使う気はないが
門のインターフォン
しつこく叩く
繰り返し何度も押すので

家内で響く
セコムさんから
連絡が入り
お困りか尋ねられる

あぁすみません
対応します

叔父が笑いながら
首をかきながら
インターフォンに出る

「お待たせしました
すみません
あいにく手が
離せないので
また次回
お願いします」

やんわりやんわり

すると
マシンガンのように
息つかぬほど早口で

「なら玄関置いときます
賞味期限あるんだわ
あと2日ぐらいだから」

ボクは居間で
やりとりを
見聞きしながら
「最強」
「こわっ」
連呼しながら
様子を伺ってた


玄関に置かれた
その方の「ゴミ」は

我が家で
フードドライブへ
持ち込んだ

おばあちゃま?
お返しするの?

したら
お付き合いしなきゃ
ならないから
しないよー

ならどうするの?

そうねどうしようね

そして
モーニングでまた
合ってしまう

おばあちゃまは
ニコニコしながら

「先日は
ありがとうございました
留守ですみませんでした
いいものいただいて
お返しも見つからなくて」

ペコペコしながら
座る場所を奥の方へ

「いいよいいよ
ウチはいらんのだわ
賞味期限近いし
食べきれんし
高級らしいから
気に入ったんじゃない?
遠慮せんでも
また上げるでね」

席を離しても
近寄ってくる

珈琲チケットを
ちぎって
ボクと
おばあちゃまの分
といって
テーブルに置いて行く

おばあちゃまは
ムリに返却もせず
頭を下げる

そして切り出される
「電話番号何番?」
おばあちゃまは逆らわず
すぐ教える


お会計時に
オーナーにわけを話し
ご本人にまたいつか
忘れたころに
こっそり
お返しして欲しい
そういって
置いて行った

そこのモーニングは
オーナーさんに
席を確認しないと
行かないことにした

おばあちゃまは
自分の息子である
おじさまにすぐ連絡とり
携帯ショップへ

その日のうちに
番号を変更してしまった

もちろん
スマホは落としたと
いう予定だそうだ

それでもまた
聞かれたら
どうするの?

その時に考えるわね

そうこうするうち
そのひとは
地域で有名な迷惑人になる

「どこのひと?」

町内地域で見かけないので
遠くから
この地域の喫茶店に
わざわざきている

常連の電話番号を
収集したり
自宅訪問したり

地域の組合では
防犯のために
警察での相談をした

町内防犯カメラに
そのひとは
数時間歩き回り
映り込む

そこから
見回りや職務質問などで
相手の状況が
わかってきた

お金持ちの
友人を作りたい
老後お金に困ったら
借りたいから
元気なうちに
かしを作っておきたい
などという
なんとも
お粗末な話だ

親族が推察した通り
油断してたら
高くつくところだった

亡き母の日記にも
贈り物について
書かれてる
ページがある

贈り物をする時は
自分がどうしても
欲しいものにする

値段ではなく
真心から誠意で贈る

だからこそ
「高級品」そう思う
「一流の」
「貴重な品」を
相手に贈る

何を差し上げたか
覚えてない物を
贈るな

○○円ぐらいの
というような
値段で決めない

贈りたいものを
予算内におさめる
努力は必要だ

そして最後に


お釈迦様に
贈り物した
そのお話し

長者などが
灯明をお布施し
精舎が照らされている

貧しい女の子は
何もお供えできなくて
自身の髪を断つ
それを売った
わずかなお金で
皿に油を載せ灯す


風でたくさん
灯りが消える中
彼女の灯明は消えない

この説話が
云わんとするのは

贈り物がカタチではなく
「真心」「誠実」だという
大切なことを
感じさせてくれる












































読了ありがとうございます 世界の片隅にいるキミに届くよう ボクの想いが次から次へと伝播していくこと願う 昨年のサポートは書籍と寄付に使用しています 心から感謝いたします たくさんのサポートありがとうございました