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亀の気持ちがわからない

なんで亀なの?

なんで亀なの?
亀を飼い始めた頃、よくそう聞かれました。犬や猫が大流行していましたし、ウサギかハムスターなら一般的でした。

子どもはふたりとも女の子なのに、どうして爬虫類なのというわけです。それは女の子でも爬虫類を欲しがる子はいるからで、我が家の場合は下の子でした。

何よりも私自身、亀は嫌いじゃありませんでした。亀を飼っている人、飼ったことがある人もたくさん知っていました。亀になんとなく親しみを感じていたのです。

でも、改めて考えてみると、亀の経験者が多い原因はたぶん縁日でしょう。子どもがミドリガメを連れてきたから仕方なく飼った(派)じゃないかしら?捨てたら可哀想ですもんね。

亀が好きと言っても、じっさいには飼ったことがなくて、だからそれはただの『イメージ』でした。水棲とか、リクガメとか、何も考えていませんでした。それよりも、亀が世界中に分布していることに気付きませんでした。亀は冬眠すると決めつけていました。

みなさんは、砂漠に住んでいる亀は冬眠すると思いますか?冬でも温暖な地域に生息する亀はどうでしょう?

どのような条件下で育ったのか知る由もない亀を飼う。この先、さまざまな試練が待ち構えていたのです。

そんなこともつゆ知らず、ギリシャリクガメの「つがい」が我が家にやってくることになりました。

ところでギリシャリクガメは、リクガメです。
リクガメといえば、ゾウガメが有名です。小さくても体長60cmくらいにはなるそうです。種だけでなく、環境も大きさの要因となるそうです。
いちばん大きいのが『ガラパゴスゾウガメ』、成長すると体長150cm、体重250kg、もしくはそれ以上とも考えられています。寿命も100年以上が有力です。

 ガラパゴスゾウガメ(IZOOにて)


他にも『ケヅメリクガメ』という、小柄なゾウガメくらいの大きさになるリクガメがいます。

それでは、ギリシャリクガメはどうなのかと申しますと、ペットショップの説明によると20~40㎝とのことでした。

このペットショップ、正確には店員さんの説明となりますが、あとあとインチキ臭いと思うことがありまして、その上、友人からゾウガメのように大きくなったらどうするのと脅されまして、改めていろいろネットで調べました。

結論から言いますと、成長しても15cm~30cmくらいで、そんなに大きくならない種類だとわかりました。一安心です。

ギリシャリクガメの他にも、ロシアリクガメやヘルマンリクガメの成体はほぼ同じサイズの15cm~30cmです。
もうちょっと大きいのがよければ、アカアシリクガメがいます。45cmくらいになるそうです。
  
ギリシャリクガメにした理由は、ペットショップの店員さんの説明でした。この亀は、時間はかかるけど飼い主の顔を覚えますよ、名前を呼ぶとこっちへ来ますよと聞いたのです。
「人に懐く」
これが決め手でした。

このとき私は、犬や猫を思い浮かべていました。それで漠然と、犬や猫みたいに懐くと思い込んだのです。ご存じだと思いますが、犬は特定の人に懐きます。猫も人間が好きです。どちらも感情表現が豊かで、自ずと気持ちが伝わります。

でも、亀はそうじゃありませんでした。居心地の良い環境づくりに精を出したのに気に入らず、餌もなかなか食べてくれず、ペットショップの説明通りにやっているはずなのに、どうしたらいいかわからなくて、困り果てました。

来たばかりの頃、ラシャは偏食で気性も荒くて手を焼きました


亀の気持ちがわからないまま、試行錯誤で飼育して、それから4年経ちます。なんとなく亀のことがわかってきたような気がします。ですが、少なくとも、我が家の亀に限っては、人間に親しみを感じている気配はありません。

まず、パシャという亀は、名前を呼んでも鋭い目つきでこちらを見ているだけです。ただし、すごい食いしん坊なので、餌を手に持ってそれを振りながら名前を呼ぶと、突進してきてガブリ、そしてガブリ、ガブリ・・・前足を使って食べ物を押さえ、一心不乱で怪獣みたいに食べます。

リクガメは、食べているところが可愛いといわれています。パシャも、小さいころはそうでした。でも今は違いますね、まったく可愛くありません。正直、不細工です。また、その姿からは、とても人間に懐いているとも思えません。そもそも人間を認識しているようには見えません。

もう一匹のラシャは、来たばかりの頃はひどい偏食で、草食なのに野菜嫌いで、ずいぶん手を焼きました。加えて気性が荒くて、ぜんぜん可愛くありませんでした。

面白いのが、名前を呼ぶとくるりとターンして逃げていくようになったことです。なぜだか、そういう条件反射が身に付きました。それが可愛いです。亀は、全速力で逃げてもすぐ捕まっちゃいますからね、危険を感じると甲羅に閉じ籠ります。逃げるのは、余裕がある証拠だと思うわけです。

そしていまはキャベツや小松菜が大好きです。ラシャの目の前で葉を振ると、首を曲げてパクリ、パクリと食べようとします。不器用なのでその半分、ときにはそれ以上も空振りします。なんどやっても口に入らないから、見ているほうはちょっとイラっとしますが、ラシャは健気に同じ動きを繰り返します。

空中でもよく食べます。顔の高さまで持ち上げても、葉を振ると食べ始めます。眼前で観察できます。食べているところがメチャ可愛いです。目の可愛い美亀です。

アレルギーなのか鼻炎があって、それで「フンン」っていう可愛い音も出します。「あ~」って可愛い音もします。

それでも人に懐いているとは思えません。

懐かなくてもラシャは可愛いです。可愛くないパシャがいて2匹なのが良いです。それぞれ好き勝手に歩いている姿が良いです。

庭にリクガメがいるの本当に良いですよ。





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