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主食はスズメバチ!? 優雅に発電所上空を舞う森の王者ハチクマの生態【パシフィコ動植物図鑑】

パシフィコ・エナジーは、地域の環境や生態系との共生を大事にしながら、全国各地で環境配慮型の太陽光発電所を開発・運営しています。

パシフィコ動植物図鑑では、そんな発電所のまわりに生息するさまざまな動植物をピックアップ。第4回目は、岡山県美作市にある日本最大面積を誇る作東太陽光発電所に棲む「ハチクマ(蜂熊)」についてご紹介します。太陽光パネルの代わりに設けられた保全区域で巣を作り、発電所を見守るかのように悠々と羽ばたく森の王者です。

スズメバチの攻撃もなんのその、ユニークな猛禽類の生態

夏を迎えるころ、パシフィコ・エナジーの作東太陽光発電所では、上空を優雅に旋回するハチクマが見られます。ハチクマは、環境省と岡山県で絶滅の恐れがある種に指定されているめずらしい生き物。名前だけ聞くと“ハチ”や“クマ”を連想してしまいそうですが、実は猛禽類のタカの一種で、ハチを好んで食べることと、同じく猛禽類のクマタカに似ていることから、この名前で呼ばれています。

ハチを食べるという特徴的な食性をもつ理由は諸説ありますが、「成長の早いハチクマにとって栄養満点のハチは好都合だから」「他のタカとは違うものを食べることで争いを避けることができるから」といった説が有力なようです。

ハチクマが特に好むのはスズメバチで、巣に尖ったくちばしを突っ込み、中から幼虫やさなぎをほじくり出して食べます。また、もっとも好むと言われているクロスズメバチの巣は地中にあるため、足の先についている大きな爪で地面から掘り起こす、とても器用な鳥です。

「スズメバチから反撃されないの……?」と気になる人もいるかもしれませんが、もちろん、巣を壊されたハチは怒ってハチクマを猛攻撃。しかし、一方のハチクマはスズメバチの襲撃をまったく気にせず、マイペースに食事を続けます。平気な理由は「スズメバチの攻撃が届かないほど分厚いうろこ状の羽毛で覆われているから」「スズメバチが嫌がる匂いやフェロモンを出しているから」「スズメバチの毒に耐性があるから」など、これも諸説ありますが、明確な理由はまだわかっていないようです。

希少なハチクマたちを守っていくために

渡り鳥であるハチクマは、産卵期を迎える5月ごろに北海道から九州にかけて渡来し、秋には越冬のために東南アジアなどへ飛んでいきます。

産卵の際は、アカマツやカラマツといった背の高い落葉針葉樹に、木の枝を束ねた産座と、マツの葉を敷いたお椀型の巣を作ります。前年に作った巣や、他の猛禽類が作った古い巣を再利用する場合も多く、その上に毎年新しい巣材を補充していくため、サイズは直径2mほどになることも。

作東太陽光発電所では、ハチクマより一回りほど小さい「サシバ」というタカの仲間も確認されていて、こちらも準絶滅危惧種に指定されています。

作東で確認されたハチクマと営巣地

そんな非常にめずらしいハチクマとサシバですが、実は発電所建設前に調査をしていた際、この2種の巣が工事予定地にあることが発覚。巣がある場所は太陽光パネルの設置予定場所だったため、当初の工事計画を変更し、巣の周囲に保全区域を設けることで、彼らの生息地を守りました。

発電所内上空を自由に飛び回っている様子

こうした活動の甲斐あってか、工事中も、そして工事完了後も作東太陽光発電所ではハチクマたちの生育や営巣が確認できています。今後もこの地でのびのびと夏を過ごせるよう、発電所では引き続き保全区域での繁殖調査と、より棲みやすい環境にするための取り組みを行なっていく予定です。

発電所内で確認できた動植物については、「ソーラーファームの動植物園」にまとめています。こちらもご覧ください。

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