私たちの家計も大きく助けてくれる? 「グリッドパリティ」とは
環境やエネルギーに関連する用語には、普段の生活では聞きなれない言葉も多いかもしれません。「地球環境トピック」では、そんな言葉の意味や誕生したきっかけ、背景にある社会問題をわかりやすく解説していきます。
第3回目のテーマは「グリッドパリティ」。再エネを利用することが当たり前になる社会を目指して、消費者にとってのメリットや事業者側の姿勢について取り上げます。
「グリッドパリティ」とは?
再エネ利用のハードルが大きく下がるグリッドパリティ
送電網を意味する「Grid」と、同等を意味する「Parity」が組み合わさった「グリッドパリティ」。これからの再エネ普及を語る上で、ぜひ知っておきたいワードです。
現在、世界的な地球温暖化の進行、それに伴い日本政府が発表した2050年カーボンニュートラル達成の指針、さらには原油輸入コストの不安定化などのさまざまな理由から、再エネを主力電源の一つにしようとする機運が高まっています。
しかし、再エネは従来のエネルギーより発電にコストがかかってしまうため、政府の補助金やFIT(電力の固定価格買取)制度なしには、なかなか普及しづらいという側面がありました。
一方、近年ではさまざまな技術革新によってソーラーパネルの低価格化が進んでいて、再エネ、特に太陽光発電へのハードルは徐々に低くなっている傾向が見られます。もしも、グリッドパリティが達成されれば、再エネの経済的デメリットはなくなり、場合によっては再エネの方が電気代が安くなる可能性もあるのです。
そうなれば、環境に特に強い関心を持っていない人でも、自然と再エネを電力の選択肢として考えるようになるかもしれません。
グリッドパリティを達成した後の社会
では今後、再エネが普及し、主力電源として扱われるようになると、社会はどのように変化していくのでしょうか?
まず、価格が従来の電力と同等またはそれ以下になるため、市場は買い手優位となり、公正な競争原理が働きます。そうすると事業者側も、少しでも自社の再エネを選んでもらえるよう、より高性能な電力供給システムの開発や、大規模施設の設立に力を入れることになるでしょう。結果として、再エネの発電技術が向上し、普及率も高まっていくことが予想されます。
また、再エネが一般的になった未来では、電気を電力会社から購入せず、自宅に導入した太陽光発電システムから直接まかなう家庭が増えるかもしれません。そうなると、災害時の電力会社の負担などが軽くなるため、停電リスクや二次被害を減らすことにもつながるでしょう。
ちなみに、国によって従来の電気料金や太陽電池パネルの価格、発電量は異なるので、グリッドパリティ達成に向けた“世界共通の目標値”は存在しません。各国が独自に定めるなか、日本における指標は2014年9月に国立研究開発法人のNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)が三段階で示しています。
2022年5月現在、ウクライナ情勢に伴う原油高の影響で、従来の火力発電にかかるコストは上昇しています。そのため、以前は10.7円/kWhほどだった火力発電(液化天然ガス/LNG)のコストは平均20円/kWhを超える水準で推移するようになりました。一方、パシフィコ・エナジーの太陽光発電にかかるコストは、この平均20円/kWhを大きく下回っています。
つまり、相対的に見れば、太陽光発電にかかるコストの方が従来の発電コストより低くなっているのです。これは、第三段階グリッドパリティの数値的な目標の達成には至っていないものの、太陽光発電がもっとも安い電源の一つになった、とも言えるでしょう。
出典:経済産業省 発電コスト検証について
日本卸電力取引所(JPEX)
豊かな未来を共創するために
今後、再エネをより身近なものにしていくためには、普及が進んでいる欧米に倣い、事業者側がソーラーパネルの低価格化と発電技術の向上にさらに力を入れて取り組んでいく必要があるでしょう。
それに加えてパシフィコ・エナジーは、開発地の地元住民の方々と真摯に向き合い、再エネの安全性やメリットについて理解していただくことも、再エネ普及を進めるためには欠かせないと考えています。
“同じ国、同じ未来を生きる”という大きな視点に立てば、再エネを販売する事業者とそれを利用する消費者も立場は同じです。再エネの普及とその先にある豊かな未来を創っていくためにも、お互いに手を取り合いながら、グリッドパリティの達成を実現できればと考えています。
<おさらいポイント>
パシフィコ・エナジーでは、自然に配慮した安心・安全な発電所の建設と運営を行なっており、未来を生きる皆さまにクリーンで安価なエネルギーを地域共生のもと提供すべく日々、努力しています。