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海日和0522

右手はタンデムバーに、左手は彼の肩に。大きな海を見に出かけた。
空は晴天で雲ひとつない。視界を埋め尽くす大きな背中と、向かい風に煽られて香る優しい匂い、エンジンの振動すらも心地いい。時折コツコツとヘルメット同士が触れるのが嬉しかった。
昔家族で見た海へ今、彼が私を運んでくれる。

彼の背中にへばりつきながら彼のことを沢山考えた。昨日は学校をサボって一日中喧嘩をした。いつもだいたい私が悪くて、また彼を傷つけてしまった。彼が泣いていて、私に小さな声でごめんねと悪くもないのに謝ってくれた。彼は優しくて、でもちゃんと同い年の男の子で、プライドだってあるだろうけど、私のこと愛してるんだって。私の何がそんなにいいのか分からないけど、あなたにふさわしい人間になれるようにもっと色々頑張ろうと思った。

おかしな人が沢山いる浜辺で、私はとっても甘いカフェオレを、彼はブラックコーヒーを買って、トンビに隠れてグミを食べたりした。最近少し美味しいものを食べすぎて顔の丸くなってきた私を見て、あなたは可愛いという話と、一緒に肉体を鍛えようという話をされた。もうメロメロ。彼に可愛いと言われると、自分がとっても素敵な人間になった気持ちになる。そして今日何回目か分からないけどまたかっこいいなって思った。彼のそばに居るだけで心が穏やかになる。
あなたは私の宝物です。


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