見出し画像

小さな学校の大きな役割

前回は私が語学学校を見つけ、現地に到着するまでを書きました。
今回は到着してからのことを書きます。少し長いですが最後まで読んでいただけたら嬉しいです。

私はコスタリカに行くのはこの時が初めてでした。なのでできるだけ活動しやすい「乾季」に行こうと、1月1週目の月曜日(2020年1月6日)から授業を申し込みました。逆算して出発予定日を決めます。15時間の時差を考慮すると、体を慣らすのに3日前には着いていたい。フライトは乗り継ぎ時間も含めて34時間(チケット代をケチってフランス乗り継ぎにしたため)。結果、出発日はなんと元日になりました。当時の授業1週目までの日程は下記の通りです。

1月1日(水)夜の便で日本を出発
1月2日(木)フライト→乗り継ぎ→フライト
1月2日(木)深夜にコスタリカ到着 ※時差のため同日

1月3日(金)
午前2時から午後の4時までひたすら眠る。
学校のディレクターから電話で「スペイン語のレベルチェックのテストをしたいけど、今日来られる?」とのこと。
ホストマザーに連れられて徒歩7分ほどの学校でテストを受ける(筆記のみ)。

1月4日(土)町歩き
1月5日(日)ホストファミリーとハイキング

1月6日(月)~1月10日(金)
授業1週目。午後1時~5時まで授業。
午前中は宿題をしたり町を探索したりして過ごす。
授業の途中でmeriendaと呼ばれる軽食タイムがあり、学校1階のレストランで他の留学生たちと共に小腹を満たす。(軽食どころか食べ応えのあるものが出ることもあった)

2週目以降は午前授業(8時~12時)でした。
午前・午後かはその時々の生徒の人数などで調節しているそうです。
留学生は私のように個人で来ている学生と、アメリカから大学の授業の一環で来ているグループの学生がいました。
私はたまたま同レベルの学生が他にいないということで、ラッキーにもマンツーマンで授業を受けられました(最初からマンツーマン希望の場合は割増料金が必要)。
多くても1クラス4人までなので発言するチャンスも質問する時間も安心して取れると思います。

授業はテキストに沿って文法の説明を受ける時間、練習問題を解く時間、語学学習教材を使ったゲーム、フリートーク、が基本ですが、先生によっては自宅に招いてくれてロンポペ(南米のエッグノッグ)作りを教えてくれたり、町を案内してくれたり、私の疑問に対して手作りの教材を用意して説明してくれる場合もありました。
学校としては決して規模は大きくありませんが、その分臨機応変に対応することができるのだと思います。小規模、少人数制ではありますが、学費にはコスタリカの伝統料理教室とダンスレッスン体験も含まれているので、マンツーマンクラスだとしても他の留学生と交流もできるし、自分から必死に探さなくても文化を知る機会は十分用意されています。

ネットでたまたま見つけた学校、日本語の口コミもない学校と、事前情報がなかったにも関わらずとてもいい学校に巡り合えたのは幸運でした。(その後学校のディレクターとの面談で「どうやって当校を見つけたの??よく申し込む決心できたね?!」と学校サイドも驚いたことを伝えられました)

最後に、学校での滞在中で一番印象に残った出来事を載せて学校紹介を締めくくりたいと思います。

ある日の授業の終わり際、教室を通りかかった一人の先生が、私を教えていた先生にこう声をかけました。
「今、〇〇が来ているわよ」と。
私を教えていた先生は、「そう」とだけ返事を返していました。先生に〇〇のことを尋ねると、〇〇はアメリカ人で5年ほど前にこの語学学校に留学していた元生徒でした。両親がメキシコ人のため、スペイン語はすでに話せるとのこと。恐らく大学で選択したコースの単位のための留学だったのでしょう(実際そういう生徒は多数いる)。

スペイン語には不自由しないが、〇〇には一つ問題があった。それは、授業で作文や例文作成をさせると必ず残虐な描写を入れるということ。グループレッスン中で他の生徒がいても関係なく、そういった場面の説明を話し続ける。聞くに堪えない描写に他の生徒が怖がり、たびたび先生が注意したり、話の流れを変えたりしなければならなかったそうです。

〇〇はその後も授業に申し込んでいなくても、毎年コスタリカを訪れ、学校のロビーに現れるようになる。町を歩くでもなく、誰かを尋ねるでもなく、学校のWi-Fiを使って、持参したノートパソコンで何かを見ているのでした。

私は一度挨拶しただけで、特に怖い印象は受けませんでしたが、何日か続けて来ていたので、先生に「彼は何をしにここに来てるの?」と聞きました。

「ずっとパソコンで何かを見てるだけだけど、居場所がほしいんだと思う。残酷なことを考えているという点では心配だけど、少なくともここなら私たちの目があるから」先生はそう答えました。
実際に授業で〇〇と接した先生の中には、この町に来ることに不安に思っている人ももちろんいました。でもそこで「用がないなら長居しないで」と、もし学校から追い出したら〇〇はどこに行くのでしょう。用がなくてもいられる場所の存在は、実はすごく大事なものです。誰かの目の端に入れておいてもらえるというのは、ある種の肯定感を満たされることなのだと思います。厚く構う、構われるのとはまた違う距離感が、間接的にでも人を守ることがあるのではないかと。

先生本人も怖いとは言っていました。それでも教育者としての矜持からなのか、年配者としての覚悟なのか、平和の国コスタリカの国民性の底力か、自分の職場だけが安全ならそれでいいやと突き放さない先生の毅然とした言い方に、Pura Vidaの神髄を見た気がしました。そんな魅力的な先生たちがいる学校です。コスタリカでスペイン語を学びたくなったらぜひこの学校に来てみてください。(私にご連絡くだされば答えられる限りご質問にお答えします)

学校のHPのリンクはこちら↓
ACCE Professional Spanish School in Costa Rica

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?