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第10回目「パーパス経営ラボ」開催報告レポートです!

 11月28日(火)、今年1月の初開催から数えて第10回目となる「パーパス経営ラボ」を開催しました。このラボは、持続可能な社会の創造にむけた完全無料のオープンソースコミュニティで、月1回、奇数月は「インプット(蓄積)」偶数月は「アウトプット(実践)」という順番で開催しています。個人的なことですが、前回第9回(合宿)での気づきから、この1カ月余りで僕の生活様式に変化が2つほどありました。
 
 さて、インプット月である今回のテーマは「パーパスとPR~パーパスを使ったPR目線での問題解決~」です。当ラボ発起人の一人である株式会社three jobsの矢間あやさんが、かねてより「パーパスとPRの密接な関係」についてお話しされていました。それがどういうことなのか、がまさに今回のテーマです。では、矢間さんのお話をまとめてみましょう。
 
 理学療法士、睡眠の専門家と転身を遂げる中で、自らPRを学び、それも専門とされるようになった矢間さんですが、企業へのコンサルティングをされる中で「経営者がPRをうまく使いこなせていない」と感じることが多々あるそうです。その原因は、我が国においてPRが「メディアに露出すること」と受け止められていることにあります。そのために多くの場合PRが本来持つ機能を果たせずにいるのです。では、まず本来のPRとは何なのでしょうか?
 
1.    PRとは何か?
 
 PRが”Public Relations”の略であることはご存知の方も多いと思います。”Relations”と複数形になっているところからも分かるように、直訳すれば「大衆との相互関係」、すなわち、「組織と社会や公衆との良好な関係づくりのためのあらゆる施策のこと」を言います。
 
 Public Relationsには、「広報」という訳語が当てられています。しかし、広報とは「広く知らせること」ですから、やや一方通行的なニュアンスがあります。本来のPRが上記のように関係作りのための「あらゆる施策」を含むのに対し、とかく広報が「情報発信を通じて企業(または組織)とステークホルダーとの望ましい関係を構築すること」というように、どちらかと言えば「情報発信」に限定されがちであるのは、この訳語に起因するのかもしれません。例えば、就活などで「自己PR」という時、やはり私たちは「広報」の意味で捉えているのではないでしょうか?
 
 とはいえ、広報はPublic Relationsの訳語として一般化しているので、以降ではPRを「広報PR」として併記することとします。

2.広告との違い
 
 では、広報PRとしばしば混同されがちな、「広告」とはどう違うのでしょうか?広告とは「企業の情報や商品・サービスをビジネス目的で世間に周知させること」です。ビジネス目的ですからより限定的ですし、企業が自ら情報を発信するので主観的であり、広報と比べ情報の信頼度が劣ります。これに対して広報PRは、発信された情報を受け止めた側(例えばメディアなど)に掲載の決定権がありますから、より客観的です。そういう意味で広報PRは確かにメディアに露出することではありますが、それ自体は手段の一つであり、目的ではありません。
 
3.マーケティングとの違い
 
 次に、広報PRと「マーケティング」とはどう違うのでしょうか?端的に言って、マーケティングとは「売れる仕組みを作ること」であり、「売れるかどうか」に焦点があります。これに対し、広報PRは、結果として売上が上がることはあるかもしれませんが、その焦点は前述の通りあくまで「パブリックとの良好な関係を築くこと」にあります。
 
 以上のように、広報PRは、広告ともマーケティングとも本質的に異なるものです。しかしながら、少なくとも我が国においてはこれらが認識の上で混同されていることが多く、そのために本来の意味との乖離が起き、広報PRの果たすべき役割が果たし切れていないということがしばしば起こっているようなのです。
 
4.企業にとっての広報PRの役割
 
 では、企業にとって広報PRの果たすべき役割とは何でしょう?それは、「社会や公衆との良好な関係づくりのためのあらゆる施策」を通じて、「企業の存在意義を周知し、経営を持続させ企業価値を高めていくこと」にあります。具体的には以下の5つがあり、それらは下に行くほど重要になってきます。
 
1. 伝える役割(社会に対して情報発信する)
2. 対話する役割(ステークホルダーとのコミュニケーションを図る)
3. フィードバックの役割(事業活動に役立つ情報を社内に共有する)
4. 自社変革の役割(経営者に課題を伝えて変革を促す)
5. 信頼関係をつくる役割(ブランディングに即した企業文化を醸成する)
 
 特に3つ目以降の「経営を持続させ企業価値を高めていく」役割が見落とされがちなのではないかと思います。このように、広報PRは社外にとどまらず社内に対しても行われるものであり、その果たすべき役割は非常に大なものがあります。ゆえに広報PRは、企業戦略として取り組まなければならないものであることが分かります。
 
 また、ここで広報PRと「パーパス」との密接な関係も明らかとなります。なぜなら、パーパスとは「社会における企業の存在意義」のことだからです。逆に言えば、広報PRとは須らくパーパスを起点として行われるべきものなのです。
 
5.広報PRの効果
 
 広報PRが本来の役割を果たす時、企業には以下のような効果が期待できます。
 
1.リスクマネジメントになる
2.営業が効率的になる
3.人材採用コストが下がる
4.企業ブランディングになる
 
とりわけ社内に対する効果として、
 
1.企業理念やパーパスやMVVの浸透
2.他部署との交流のきっかけ
3.従業員のエンゲージメント向上
4.企業全文化の構築
 
などが挙げられます。さらに、広報PRを担当する社員は、曖昧なことの言語化とその浸透を通じて、営業力や現場指導力など付帯的なスキルが高まることでしょう。
 
 その事例として、お金をかけることなく、広報PRを通じて社外および社内における関係を大きく変え、ひいては売り上げも大きく伸ばした、従業員わずか10名の会社のお話がありました。
 
 パーパス経営とは、「パーパス(社会における存在意義)を定め、体現することで社会の持続可能性を高めながら自社固有の価値も高め、持続可能な経営をおこなう経営手法のこと」と当ラボでは定義していますが、まさに「パーパス」を「パーパス経営」とするため、パーパスを「体現する」手段として広報PRがあることが良く分かりました。

それぞれが「PR」っぽいポーズで集合写真を撮りました(笑)

 資料のダウンロードはこちら!
①オリエンテーション:https://drive.google.com/file/d/1MiKo8HvlNwhsVx5qEp1rZ75GMYT_pQaq/view?usp=sharing
②パーパスとPR:https://drive.google.com/file/d/1Thwd0D1_nCEnce6d5T1OpZx6Iy7IlpFO/view?usp=sharing

 第11回パーパス経営ラボは、12月26日(火)の開催です。次回も奮ってのご参加をお待ちしております!
【URL】https://note.com/p_pml/n/nf39624abc417

 
(文責:実践型パーパス経営ラボ 窪田恭史)


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