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金継ぎ

 いつもお読みいただき、ありがとうございます。
 某お題に対し書き始めた本note。
 しかし、筆を進めるうちに想いがじゃぶじゃぶ湧き上がってしまい、深井戸の底の如く仄暗い話になってしまいました。わたしにとって、長い間吐き出せなったこと吐き出せた瞬間。しかし、これを全面公開するのもいかがなものか…。
 悩んだ結果、ひっそりと有料公開にする運びといたしました。
 どうぞご理解のほどよろしくお願いいたします。

「今日も、顔が見られて良かったよ。」
 先生は、静かにそう言った。

 放課後の保健室。カーテンから漏れる淡い金色の光。わたしは、ソファに沈みこむ。天井を見上げ、ため息とともに、目を伏せる。

 先生は、言葉を続ける。

「今すごく大変だよね。皆が皆、経験することじゃないと思う。」

 伏せた目を上げることができない。

「だけど、きっと乗り越えられる。そしてね。この経験を糧に、将来誰かのつらい思いに寄り添える大人になれる。だってあなたは優しいから。」

 わたしは、そんなわけないと思いながら、目を開けた。思いとは別に、「そうだといいな。」とポツリ呟いた。
 壁時計の秒針を眺める。何も見えない将来に、再び目を伏せた。

 あのとき、わたしは、高校生だった。


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