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【料理は勉強じゃなくて楽しむもんだ、と踊りだす】CROSS STAY Program|古平賢治(Teshigoto) バンガロール滞在日記+スタッフとのやりとり

PARADISE AIRではインド・バンガロールのアーティスト・イン・レジデンス「1Shanthiroad(ワンシャンティロード)」と提携し、バンガロールと松戸でアーティストの交換招へいを行なっています。

2020年1〜2月にはバンガロールを拠点にアーティストとして活動し、1Shanthiroadスタッフとしても勤めるアイシュワリヤン・Kを招へいしました。

そして2020年3月、松戸を拠点に活動するフードアーティスト古平賢治さん(Teshigoto)をバンガロールへ派遣しました。世界中でコロナウイルス感染症の危機感が高まる時期と重なった派遣でしたが、帰国後何事もなく14日間以上が経ちました。

ということで、Teshigotoのおふたり・PARADISE AIR・1Shanthiroadスタッフとのリアルタイムなやり取りを交えた、バンガロール滞在日記を公開します。
今後、状況が落ち着けば、インド滞在でインスピレーションを得た古平さんとともにプロジェクトやイベントも行なっていこうと思います。ぜひ楽しみにお待ち下さい!

アーティスト・プロフィール

3月1日 出発

今日の23時に日本からバンガロールに旅出つ。今回自分の中のテーマは南インド料理の現地調査とレシピの入手、あわよくば現地の料理人に教えてもらう事ができたら上出来。コロナ騒動で慌ただしい羽田。久々の海外そして約10年ぶりのインド。不十分な準備のままだが、行けばなんとかなるだろう。無事入国できますように。

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3月2日 滞在1日目

イミグレで一悶着。「フードアーティストって何?」から説明に1時間強。担当の女性に泣きついてなんとか無事入国。バンガロール空港の外は思っているよりもコロナの影響はないのかマスク人口は皆無。
というか、ゴミと牛とバイクでそれどころではない様子。そして人、人、人。懐かしい鳴り止まぬクラクション、どこかスパイスまじりの埃臭い空気。圧倒される色彩。行きのバスではちゃっかりおつりを誤魔化された。バスのおりる場所がわからずGoogleマップをたよりに滞在先を探し、現地時間13時頃に無事到着。夕食してはじめて南インド料理をいただく。さすがに疲れたので今日は早く寝ます。

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3月3日 滞在2日目

少しずつ街を歩き始める。日常で封印していた英語脳を久々に使い、いかに退化しているかを痛感。とにかく文法がわからなくてもしゃべる&ジェスチャーで乗り切る。1杯15ルピーのチャイ、60ルピーのビリヤニ。食が至る所にあるのは台北を彷彿させる。
インド人の若者はみんな同じ髪型だということに夕方気がつく。
それにしても南インドはどれも飯が旨いなあ。
(編注:この日、日本国籍者に対するすべてのビザ発給を一時停止するとインド政府が発表しました)

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3月4日 滞在3日目

今日はレジデンスのサンディープに野菜市場を案内してもらう。見た事もない野菜にフルーツ、山盛りのスパイスにハーブ、そしてお香、犬、牛。喧噪とゴミと人からは日本にはない強い生命力を感じる。レジデンスに滞在しているドイツ人アーティストと周辺散策。ヒンドゥー教寺院訪問、買い物。圧倒的な寺院は異なる宗教でも強いエネルギーを感じる。
ランチ、夕食ともにレクチャー受けながら食べるあらたなる南インド料理。そういえば一日4回のチャイが習慣化し始めてきた。

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3月5日 滞在4日目

シャワーの水が出ない。今日はバンガロールよりさらに南のケララから来た南インド料理レストランのシェフにキッチンにてレクチャーを受ける。といっても日本のそれではなく、「こんな感じ」という軽いノリ。メモをとっていると「ケンジ、料理は勉強じゃなくて楽しむもんだ」と踊りだす。そりゃそうだった、だれでも飯は食うし、食う為には作る。
それが楽しくなかったら、飯を食う事がつらくなる。これは大事な事だ、特に日本人にとって。

「明日13人位友人を呼ぶからなんか日本食2品作って。行けるっしょ?」的な注文が突然オーナーから入る。日本の食材が手に入らない環境にての無茶ぶり。快諾したが、果たして何ができるんでしょうか?乞うご期待。

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3月6日 滞在5日目

朝から買い出しの為に市場をハシゴ。そしてほしかった日本の調味料(醤油、ソースなど)は手にはいらず。日本から持参した鰹節とお吸い物の素(永谷園)と現地の食材を駆使してかろうじてお好み焼き(もどき)、汁物を用意。そしてこれがローカルフードだと言いきる。オーナーのゲストには日本滞在経験がある人も数人いたので出汁は意外と好評。(会席料理が食べたいから次回つくってくれとオファーをうける)
初めてバンガロールのクラフトビールを呑む。ライトで美味しい。これだけのインド富豪に合う機会があるならもっとちゃんとした料理を出したい。
意外と疲れたので早めに寝ます。

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3月7日 滞在6日目

地元の学生が通い詰める安食堂に案内してもらう。
初めて食べた「ドーサ」。ウラル豆+コメの粉を水でのばし発酵させた生地を焼いたインド式クレープ。旨いし、コーヒーも旨い。昼はとにかく街中を歩きまくった。夜イスラムのモスク近くでのラップサンドが美味しすぎてお替わりをする。異文化の深くミックスされた街は日本にはないカオスがあり魅力に溢れる。そういえば今回のインドは一度もお腹を壊してないことにきがつく。

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3月8日 滞在7日目

インドでもコロナの影響がちらほらではじめていて、滞在初日に比べるとマスク人口も若干だが増えた感じ。ここにきてシンガポールエアの欠便が相次ぎ、大事をとって帰国を早める。昼に3人でスーパーに買い出し。旅先のスーパーマーケットはやっぱり面白い。怪しい食材と大量のお香を購入。夜モスクに行きお祈りの音を録音する。

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3月9日 滞在8日目

いよいよコロナの影響が顕著なのかレジデンス正面のチャイ屋の隣の薬局がマスクを販売し始める。1枚100ルピー。結構高いのかなかなかみんな買おうとしない。昼は野菜市場ちかくの市民市場にて買い物。前日の雨の影響からか道は泥(というかウンコ)だらけ。そして30度近い気温で水分は気化して町中がウンコ臭い。お土産でサリーを2つ買う。1つ500ルピー(約750円)なんだかこんなに安くて大丈夫なんだろうか。帰りにイスラムのモスクにて帽子(モスクに巡礼した人だけがかぶるやつ)を2つ買う。モスクでパキスタン人に間違えられる。その前は市場にてネパール人に間違えられる。

3月10日 滞在9日目

帰りのバスターミナルチェック。ついに近くのチャイ屋のなじみになる。そして今日は1年に1度のお祭り「HOLI」だった。日本にいるときから「観光客も被害にあうから気をつけて」と言われたので警戒してたが、結局は地元の若者に色水をかけられはしゃぐ。夕方にみんなで食事をしながら日本について話す。内容は「なんでそんなにお金あるのに日本人はつらそうなの?」「東京は建物や文化はおもしろいけど、人は冷たいよね」的なこと。その通りだよな、だってインド人やさしいもん。

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3月11日 滞在10日目・最終日

緊急帰国的展開だったのでリベンジしたい。そして初回にしてはわりと十分な情報収集はできたと思う。日本で何ができるか考えるのが楽しみでもある。そして初めて滞在した未知の日本人に丁寧にレクチャーしてくれたみんなには本当に感謝したい。バンガロール市内は物価も安く、まあまあ快適で最後に空港で食べたハーゲンダッツが今回の旅で最も高い食べ物だった。(2玉で430ルピー。普通一食で100ルピーくらい)

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3月12日 帰国

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バンガロール滞在日記:古平賢治(Teshigoto)
Messengerグループにいた人:古平賢治+万歳夏恵(Teshigoto)、アイシュワリヤン・K+サンディープ・T・K(1Shanthiroad)、PARADISE AIRチーム

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