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知恵者とコミュ(1)孤独者との会話

 学問を修めたのみの人間はどこへ向かうべきか。まず、その人に足りないものは人との関係である。ならば、まず知恵者の行うべき行動は会話の修練である。
 会話とは、他者と行うべきものであるが、学問を修めたのみの人間に関係する存在はなんであろうか。有力者であろうか。いや、彼らは学問がなくても生きていける。一般人であろうか。いや、彼らは学問を必要としていない。知恵者は学問という形で会話の一片を知っている存在である。その会話を必要とするのは、会話をしたり、生きていく術や頼る術を持たない孤独者である。知恵者は孤独者に生活の機会を与え、その中で会話の機会を得る。その一方で孤独者は生活の機会を得る。このギブアンドテイクで我々は会話にアプローチする機会を得る。
 よく、知恵者は会話をするとき、関係する対象として一般人や有力者を思い描く。それは間違いである。知恵者は相手にはされていない。知恵者を相手取るのは同じ知恵者でしかない。その機会を待っていても人員は明らかに足りない。だから、知恵者は慈善事業ではないにしても会話の対価を払わなければならない。節約術を用いてお金を稼ぎ(知恵者にはその技術を習得できる力がある)、それを孤独者に賢い方法で分け与えながら会話の相手をしてもらわなければならないし、それは本来善悪を知っている人の行わねばならない行為であろう。

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