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学校における一人一台端末の公立高校での現状(令和3年2月)

 私の高校の現状をお伝えします。私の視野に入っている程度の狭い範囲の話ですが、何かの参考になればと思います。

 端末自体や通信料金や通信速度などのハード的・物理的・経済的な課題も多くありますが、ここでは詳しく書かず、どちらかというと、ソフト面、先生方の意識、校内の組織的な課題点などを中心に書こうと思います。

コロナ禍で、数年かかるだろうと思っていたことが一気に進んだ

 まず端末を利用するにあたっての、端末の土台・システムというか、プラットフォームの話です。

 コロナ以前から、学習に有効な授業のあり方を模索していました。私は情報が専門ではないのですが、不得意ということもないので、ICT機器も上手に活用できないかなといろいろ試していました。最終的には、G Suite(今は、Google Workspace?)が良さそうだと思って、お試しで使ってみていたところでした。

 公立高校でG Suiteを利用しようと思った場合、ドメインの関係で学校単独で運用していくのはいろいろハードルが高いのですが、偶然にも教育委員会の情報系の実務担当の方と相談でき、ちょうどタイミングよく使えました。そうしていたら、一斉休校などになり、私のところではG Suite導入が一気に進みました。

 本来ならG Suiteの導入にあたっては、【試しに使う→有効性の実証→管理職の認識UP→教育委員会へ導入の打診→教育委員会内での調査・審議・ルール作成→学校へフィードバック・利用】という数年がかりの長期戦だと思っていました。またコロナ関連の予算がつき、端末や機器類の購入なども進みました。ピンチはチャンスとはこのことだと思いました。

 ちなみに私が、Google のG Suiteが良さそうだと思った理由の一つは、管理の便利さとコストです。もちろん万能ではないと思います。どのシステムも得意・不得意があります。しかしながら、ICTがらみのことは、ファイルの管理や端末の管理だけ考えても、時間を相当使います。教員の勤務時間と学校や授業で使えることのバランスを考えると、G Suiteかなと。GAFAに頼りたくない気持ちはありますが、やはりよく考えられています。前置きが長くなりました。

コロナ禍での、この一年の学校の動き

 まずは、教育委員会が動き、生徒・職員のG Suiteのユーザアカウントができました。その後、本校では主に休校における健康観察に利用しました。リアルタイムのオンライン授業までは至らなかったです。わずかの先生が、Google Classroomを使って課題を出しました。その他の多くの先生は、従来通りのペーパーの課題でした。

 その後、学校がはじまり生徒が登校し始め、結局ほぼ従来通りの形に戻りました。ごく一部の前向きな先生方は、継続してG Suiteを何らかの形で使っています。またコロナの予算で、端末(具体的にはChromebookとiPad)を購入し、かなり多くの先生方に端末が行き渡りましたが、ほとんどはインターネットでの調べものに使われている気がします。しかし、端末がないと何も始まりませんし、先生方が使わないともちろん生徒も使えないので、意味のあることだと思います。

 最近の首都圏におけるコロナ感染者数や緊急事態宣言により、学校がいつ休校になってもおかしくない状況だということで、生徒への連絡手段としてG Suiteの利用を促され、担任を中心にしぶしぶ使っているという感じです。
 しかしながら、少しずつではありますが、G Suiteを使うと実は便利だという認識が先生方に広がってきていると感じています。

一人一台端末導入に向けての課題点(ハード面以外)

1 日常的に利用しておかないと忘れる
2 スマホを利用は相変わらず校内で禁止
3 コンピューターや機械が苦手な先生が多い
4 校内の組織的なこと

 日常的に利用していないと、操作方法を忘れます。また何ができるか、こんなことができそうだという発想につながりません。また、ユーザー名やパスワードを忘れる生徒も多いです(ときどき先生も)。情報におけるセキュリティに対する意識というかの力というのでしょうか、授業や知識で知っていても実社会の生きた力になっていません。

 学校でのスマホの利用は禁止されています。また全校で利用できる共用の端末(iPad)もあります。現時点では、一人一台端末は準備できていないので、スマホか共用端末を使うしかないのですが、スマホの利用は禁止されていますし、共用の端末は、いちいち教室まで運んでくる必要もあり(けっこう重い)、利用する授業が重なれば利用できません。コロナの最初のあたりに、授業でスマホを利用していく形にしていきましょうと提案はしてみたのですが、なかなか難しそうな空気で、そのまま現在に至ります。
 スマホの使い方が良くないから禁止するのではなく、今後の人生においてもずっと付き合っていく便利なモノなので、使いながら使い方も学んでいくという発想に転換していきたいものです。

 コンピューターや機械が苦手な先生が多いです。先生のプライドというんでしょうか、自分自身がそれほど得意でないことを生徒と利用していくのは抵抗があるようです。時間がかかっても一緒に学びながら使っていけばいいじゃないと個人的には思います。先生方は話すのが得意な方が多いですから、できない理由を必死に探します。また学ぶ時間もありませんね。
 でも、コンピューターや機械が苦手な人というのは、マニュアルがあればよいというものではないと思うんですよね。日々アップデートで見た目や操作方法も変わることもありますし、マニュアルに書いてあることだけに頼っていては対応できなくなってしまいます。マニュアルがなくても、こうしたらできそうだというような予測ができる生きた力が必要です。
 先生も生徒もそうですが、コンピューターや機械のこのあたりの力を伸ばすにはどうしたら良いのか、現時点で良い方法が思い浮かびません。

 校内の組織的な課題も見えてきました。パソコンや情報分野の仕事をしている人に過度な負担がかかります。そうかといって、単純にICT支援員みたいな形で外部の方を入れれば解決するかといえばそうでもない気がします。ICT支援員は、操作方法だけ熟知しているだけでなく、学校や授業の目的をしっかり理解したうえで、どのような使い方ができるかを提案できたりするほうが望ましいと思います。それは、学校の先生のほうがいいんじゃない?と現時点では私は思っています。先生方は一律に授業時間が決まっています。GIGAスクール構想対応の先生は授業時間を少なくして準備に全力を尽くすくらいの制度ができたらよいと思っています。ICTがらみは準備にとても時間がかかります。

 令和4年度からは、一人一台端末で育ってきた生徒が高校に入学してきます。本年度と令和3年度はしっかり準備しないといけないと思っていますが、今のままだと、おそらく自転車操業になりそうで、良い学びは生まれないと思っていますが、自分なりにできることはしていこうと思っています。

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