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余命一週間【末期ガンの義父の話】

2年前、突然のガン宣告を受けた義父。

余命は、1年。

発見された時にはすでにステージ4。

末期でした。

当時、僕と妻は

「きっと、この人と結婚するんだろうな」

と、ぼんやり将来を意識してるぐらいでした。

義父の余命宣告は、僕たちが腹をくくるには十分すぎる出来事でした。

そこからは、一刻を争う怒涛の日々。

引っ越し。

プロポーズ。

式場選び。

両家顔合わせ。

入籍。

前撮り。

結婚式。

「お父さんに花嫁姿を見せたい」

という、妻の“娘としての最後の孝行”を実現するるために、コロ ナ禍を駆け抜けました。

一緒に本を読んで勉強したりもしました。

あれから1年。

余命宣告された時間よりも長く、義父はこの世に留まり続けてくれました。

義妹は出産し、義父に初孫を抱かせてあげる大仕事を成し遂げました。

「せめて、孫の顔を見るまでは」

命の炎を燃やすというより、消えないように消えないように、そっと生きているようでした。

気がかりだった上の娘は嫁に行った。

下の娘が産んだ初孫も抱いた。

2人の娘に手をさすられながら

「幸せすぎる2年間だった」

と穏やかに義父は語ります。

その弱々しい語り口に、私たちは残された時間が、あともう少しなんだということを感じさせられます。

そして、ついに義父の容体が急速に悪化しはじめました。

いわゆる”最期の一週間”が、ついに来てしまったのかもしれません。


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