見出し画像

新入社員だけど、上司に【楽しんでる?】と聞かれると困る 

今日は筆が乗っている。書きたい気分だから、というのもある。

最近、研修の端々で上司に呼び出されて、○○くん仕事楽しんでる?と聞かれる。

正直に言うと楽しくないし、楽しいわけがない。が、楽しいです!と答えるようにしている。というか、こうゆう場面で楽しくないです、と答えれる人間がどれぐらいいるんだろうか、とぼんやり考えてしまう。

上司も大変だな、と同情すらする。この時代だ。コンプラコンプラで部下に激を飛ばすこともできない。周囲を見渡すと、明らかに労働につかれているおじさんもいる一方で、目がキマってて労働を全力で楽しんでいる人もいる。(後者はだいたい偉い立場にいるし、意外とやさしい)

会社に入って驚いたのが、なんというか、仕事で自己実現しようとしている人が多い、ということ。これは僕がソフトウェアエンジニアという職についているからかもしれない。好きと仕事が一致しているのだ。

正直羨ましい。好きを仕事にすることほど幸せなことはない。多かれ少なかれ、一日の八時間を労働に使うのだから、その八時間が楽しいに越したことはない。

僕は別に仕事で自己実現したいわけではない。家で細々と音楽を創ったり短歌を書いたり小説を書いたり、そうゆう生き方で良いのだけど……

僕は労働が嫌いなのだろうか。嫌い……うーん、よくわからん。とりあえず無くても良いけど、社会とのつながりを絶たれるのはそれはそれでキツイ。

いまは友達がいるし、いい感じに趣味にも時間を割けているけど、ライフステージが進んでしまえば友達も趣味も遠のいてしまう。

四十、五十歳になるそのときに『労働で自己実現する』という選択肢しかなくなってしまうのが嫌なのだ。男は仕事をやめると急激に老け込む、という話を聞いたことがあるし、事実そうだと思う。

僕の父は仕事一筋の人間で、朝は早く出て、夜は遅く帰って来た。決して僕の前では泣き言を言わなかったが、ニ十歳を超えて母に尋ねてみると、案外母には泣き言を漏らしていたらしい。父が仕事サイボーグではなく、まっとうな人間であることを僕は二十歳を超えて初めて知った。

僕は学費を稼ぐために学生時代は何個かアルバイトをしていて、そこでヤバいなって人を何人も見て、労働に対する興味を早々に失っていたから、ともかく就活のときは優しい人間が多そうな会社を選んだ。その選択は間違ってなかったと思う。父の会社は、灰皿でぶん殴られる人がいたらしい。昭和ってすごい時代だ。僕の会社は優しい人が多いから、新人の僕を機にかける意味で、仕事が楽しいかどうか聞いてくれるのだと思う。

こうやって文字に起こしていると、大変ありがたいことのように感じるが、僕は正直に上司に言いたい。

別に楽しくないです。でも楽しくなくても良いです。楽しいことをするために仕事をしているわけではないので。お金が欲しくて仕事してるので。

しかし、そんなこと言えるわけもなく、月曜からの面談も笑顔で『楽しいです!』と答えるんだろうな、僕は。

fin.!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?