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雨、部屋の中にひとり、私は旅に出る。

日々の悦びをつくるのは、所有ではない。
素晴らしいものは、誰のものでもないものだ。
ー 長田弘

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写真集を購入した。


大切なものほど、早くあけたくて
でも忙しない日常の中にまみれさせたく無くて
もったいぶってしまう。

数日前に届いた写真集を開いた。


開けようと思った理由は明確で、今日が雨の日で
雨の日はどこか本を読みたくなってしまうから。

表紙に作者、の名前は書いていない。

真っ白な1枚の世界から
空港のような透明な空気が流れるページへ。
物語が始まった。



写真のことは分からないし
感想なんておこがましくて言えないけれども
今残しておきたい感覚も同時に出てきてしまった。


思わずページを撫でたくなってしまうよな
こんな表現が出来るのだと、
思わず用意していたお茶が冷めきってしまうまで
何度も行ったり来たりした。


表現としてはおかしいのかもしれないけれども

「本当に全部のページに同じ紙を使っているの?」

とさえ思ってしまった。

季節、時間、空気…。


確かにある場所なのに、その人しか見たことのないもの。
もう二度と全く同じ世界は見られない不思議を感じる。
写真は“現実”とも言えるし

嘘ではないかと思う。

でも嘘だからこそ、そのページの奥の世界を想像できる。

当たり前だけれども、何も起こらないことに感動した。
びっくりするでも無くワクワクするでも無く
でも、胸が高揚する。


紙で世界旅行が出来るのだなと思った。


心の隅っこがじんわりする。


追記:

2020年 5月 16日 22時
みんなでページをめくりました。


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