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夢だなんて曖昧なものは、大きな口でイチゴのケーキをほおばる、そんな未来の当たり前のものでありたい。

ついに今日私は、サザエさんより年上になった。

幼い頃描いていた“25歳”は
しっかりしていて
もっと一人で何でもできて
キラキラしているキャリアウーマンだった。


実際は想像していたよりも
どろくさいし
もがいている。

昨日だって自分の未熟さに
まだまだだと
ネットの中の出会えぬ先人と比較をし
落ち込んでいた。




「あなたの夢は何ですか」



サプライズにもほどがあるのだけれども
まさか大人になって
こんなにたくさんの人の前で夢を聞かれるなんて思いもしなかった。

イベントの中盤、歓談中に私にマイクが向けられた。

そんなわけないよと
スポットライトの光はさっき踊っていた綺麗な人にさ、
そんな人たちに向けられるべきだよ
なんて心の中で言い訳をしながらも
他の誰でもない私の目の前に、司会の彼女は立っている。


やりたいこととか、叶えたいことじゃ無くて
“夢”という、そんな言葉で良かったなと思い


「もっとたくさんの人を幸せにできるように、有名になりたいです」


なんて、そんなことを口走っていた。


幸せにするだなんてエゴかもしれなくて
有名の基準だってなくて
いっそ、もっとドリーミーなことだって良かったかもしれないし。
無責任だなって、自分が自分に笑った。


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「せーの」で流れたパッピーバースデーの曲と
ロウソクの立っているケーキ。

今日、私は拍手を送りに来たはずなのに
拍手を送られるなんて思ってもいなかった。




あきるまで口いっぱいにショートケーキを食べる。

そんな、あの頃夢みたいに思っていたことが
今は何でもない日に、コンビニに立ち寄れば
いとも簡単に叶えられてしまう。


でも、もしかしたら
あのジャンケンしていた頃の私は
まさか、本当にケーキをいっぱい食べられて
しかもこんなにたくさんの大切な人たちの中で
食べているだなんて
思っていなかったかもしれない。


こんなに素敵な味方がいて
東京で働いているなんて生活は
描けるほどの夢にもなっていなかった。


夢は、今の自分の
想像の範囲の最大限でいい。



これからもっともっと変化してゆくし
具体的になって結果的には
難なくこなせるくらいの人になれるはずだと思う。
きっとそうだ。


描けるようになるために、
できることと
想像できるものと
勇気とか心とかを少しずつ
増やして行けばいい。




外に出ると雨が、雪に変わっていた。

私の初雪だった。


幼い頃、冬になると決まって“ゆき”という名前が嫌いになっていた。
雪国だったせいもあり、窓の外一面に広がる真っ白な景色に
ため息をついたことがある。

からかわれるのがいやで、みんなの前でメソメソ泣いたこともあった。

小学生のころ、あんなにからかわれていた名前を
今はたくさんの人が笑って呼んでくれている。

夢を話したって、笑わないで拍手してくれる温かい人が
たくさんいた。
そんな場所がある。
この名前を誇らしげに思うのも
想像もしていなかったことかもしれない。



「あなたの夢は、なんですか」


聞いてくれてありがとう。

あなたと語れる時は
大きくて想像の範囲いっぱいの
笑ってしまうくらいのものがいい。


夢はやっぱり、叶えなくちゃね。

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