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敬語の使えない素敵な子

昨日美容院の予約をしたら若い女の子が電話に出て、こんなやりとりをした。

私 「Aさんにお願いしたいのですが、この日予約ができますか?」

スタッフ
「えっと、Aさんは今いらっしゃらなくて、すぐに電話をして確認します!」

私 「お手数をおかけしてすみません」

スタッフ 「全然です!!」

なかなか最近若い人と話をすることもないので、若い子の声ってハキハキしてるんだなぁと関心した。

敬語の使い方がちょっとおかしかったけど、でもこの子、とてもいい子、と思った。

そんなことを今朝自分の髪をとかしながら思い出していたら、
私が24歳の時の出来事がフラッシュバックした。

取引先の人に「つまらないものですが」って手土産を渡したら、
上司に「恥をかかすな」と、ものすごく、怒られた。
当時女性の上司で、今の私と同じくらいの歳だったのではないかと記憶する。
あの時の上司のがっかりした顔は忘れられない。

私は今回、「お客さん」という立場ではあったけど、
その電話に出た子に対して、「失礼な子だな、教育がなっていないな、全く今の若者は、社会人として・・・。」なーんて考えは全く浮かばなかった。

むしろ、この子はまだまだ伸び代が無限にあって、
いわゆる社会人としての鎧に身を包んでいない、
ダイヤモンドの原石みたいなイメージが残った。

「全然です!!」なんて電話口で言われて一瞬びっくりしたけど。
「とんでもございません。すぐに回答ができずに申し訳ありません」よりも、

なんてストレートに真摯な心を伝えてくるんだろう、なんかいい。

とさえ、思った。


敬語を使えば、相手に対する敬意や誠実さを伝えられると思っていたし、
そう習ってきたけど、本当にそうと言い切れるかな。

なーんて、コーヒーを淹れながら今朝の私は思う。


24歳の時の私は、社会人の鎧をガチガチに背負って、「つまらないものですが」なんてとっさに出た「社会人らしい」言葉に心打ち砕かれたけれど、相手に対する敬意や感謝の気持ちは、きちんとあの時持ち合わせていた。それが私の一言で台無しになってしまっていたならとても申し訳ないのだけど、きっとあの時、相手の方はとても優しく笑っていたような気がする。(上司の顔が怖すぎて忘れてしまっていたけど)


「全然です!!」」も「つまらないものですが」も
どちらも相手のことを一生懸命考えてとっさに出した言葉。

ええやんええやん。

余計なジャッジは要らない。

その子は素敵な子。


おわり


※「つまらないものですが」は、日本人の奥ゆかしさや謙遜から生まれた言葉のようですが、特にビジネスシーンではなかなかその意図が伝わりにくかったり、謙遜自体、時代にそぐわなかったりするようです。TPOによるとは思うのですが、当時の私の場合、広報という立場でありながら言葉の選び方など勉強不足だったのかもしれません。「相手につまらない物を渡すな!」とめちゃくちゃ怒られましたなぁ。ワハハ。良き思い出。

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