見出し画像

僕、野尻湖に戻ります

ヘルパーとして約4ヶ月過ごしたLAMPを卒業して早2ヶ月。今度は正社員としてLAMPに、野尻湖に、舞い戻ります。

.

今年の3月に、東京を離れ長野県信濃町にあるゲストハウス「LAMP野尻湖」で居候生活を始めた。きっかけは、野田クラクションべべー(通称:べべさん)の偏愛から始まった日本で随一のフィンランドサウナ「The Sauna」へサウナ修行に出かけるためだ。

(写真)

決して行きやすいとは言えない信濃町という長野の辺境に、県内外からさまざまな人が訪れてゆるやかに交差する。それがLAMPという場所の魅力を物語っている。母のような生命力と包容力を感じる野尻湖と逞しく連なる北アルプスに囲まれており、そんな雄大な自然の中で育った食材を口にすれば、本当の豊さに気づかされてしまう。

泣けるほど大きすぎてある意味怖さも覚える自然に身を置くと、不思議と「もう、こりゃ勝てねぇや。どうでもいいなぁ。」と色んなしがらみやモヤモヤした感情から脱却することができる。サウナに入ってととのっているとより一層。

何よりも、そこで働く人たちがどうしようもないくらい魅力的だ。エネルギッシュでユーモラスでクレイジーでハートフル。どこの馬の骨とも知れない僕のことを、家族のように受け入れてくれた(と、僕は思っている。)一緒に過ごす時間が長く濃くなっていくにつれて、「ここにいてもいいんだ、嬉しいなぁ」と素直に思うようになっていった。

元々何も決めずに流れ着いた愛くるしい場所。居座ってしまおうかとも思ったけども、有難いことに次のステップのことも決まっていたため、いつか2拠点生活ができたらいいな、年に1回くらい第2の里帰りができればいいな、くらいに思っていた。

.

「おゆうのやりたいことって、LAMPにいてもできそうじゃない?」

ヘルパーの卒業まで残り1ヶ月を切った6月始め。べべさんとLAMPの支配人マメさんに呼び出され、そんな言葉と共に一緒に働こうという話を頂いた。まさに青天の霹靂。

そこではべべさんとマメさんから色んな想いを聞いた。LAMPの目指す場所、LAMPが大事にしていること、ヘルパー生活で何をみていたか、なんでおゆうに声をかけたか。鳥取に戻って、本腰を入れてサウナを仕事にしていくぞ、と意気込んでいた自分の心を揺さぶるには充分な想いだった。確かに自分のやりたいことはLAMPを通じて、The Saunaを通じて、信濃町を通じてできることなのかもしれない。もしかすると、それが1番面白い選択肢なのかも知れない。1日だけじっくり考えることにした。

鳥取に戻ってどうしたいのか。
LAMPに居続けてどうなりそうか。
「鳥取に戻って頑張ります!」ってめちゃくちゃ言っちゃってるけどどうしよう。

色々巡る思考で熱が出そうだったけど、一晩寝かせて粗熱を取ると、あっけない程に自分の中で答えは決まっていた。

話を受けた次の日には、べべさんとマメさんに「一緒に働かせてください」と伝えていた。べべさんは流石に返事が早すぎたので、断られると思っていたようだ。

サウナ運営、ひいては"場"の運営をしてカルチャーを醸成していくことを深く実践できること、お客さんの最高の表情を生み出せること、魅力的なメンバーと一緒の目線で仕事ができること。たくさんこの選択を決めた理由はある。でも何より、おゆう自身の"人柄"を受け入れてくれたことが泣きそうになるくらい嬉しくて、1番の決め手だった。もうそれ以上に必要な条件はないくらいに。

まあ実際には、決まっていた鳥取での滞在は行かせてもらうというわがままは貫き通しているので、これまた頭が上がらないわけだが。

というわけで、"ヘルパー"としてはLAMPを卒業し、舞い戻ることを前提とした3ヶ月のお暇を頂くという状況が出来上がったわけである。

(SNS上では公表するタイミングを逃して、変な含みをもたせてしまっておいた。謎。)


.

僕は自分の人生に「目的」を見出すことが苦手だ。それっぽい「理由」を取り繕うことはできるが、本当に自分の中で腹落ちした目的を据えて、何かを選択したことはなかった。

部活を選ぶ時もなんとなく友達が入るから、
大学を選ぶ時もなんとなく身の丈に合ってる気がしたから、
就職先もたまたま友達に「こんな会社あるよ」と言われたから、
仕事を辞めた時も精神的にキツすぎたから、
サウナにハマったのもなんとなく流行ってるっぽかったから。

これまでの僕の選択は、たまたま転がっているご縁に引っかかり、抗わず、流されるように辿り着いたものに過ぎない。

でも、僕はそれでいいと思っている。そのご縁に巡り合えたのは、「たまたま」だけでは片付けることのできない、自分の小さな行動と些細な思考の蓄積があったからこそだと思うからだ。少しずつ、じんわり、自分にとって良い方向に流れていけるように。無意識で懸命に生きてきた、自分の人生そのものがご縁なのかもしれない。

そのことに気付くことができてから、僕は主体的に、自覚的に、流されるように生きている。

流されて、引っかかって、気づいて、突き動かされて、また流されていく。

この流されるように生きていくことを体現し続けることが、唯一自分のやりたいことなのかもしれないと、ここ最近は思っているから。

だから僕は、流れるように野尻湖に戻る。

.

LAMPに戻ってからは、サウナチームとしてヘルパーの時よりも深くLAMPという場所に関わっていく予定だ。

具体的にやってみたいことはたくさんあるが、大前提として来た人たちやか関わる人たちの「目的のなさ」を許容できる場所にしていきたい。

ただ気持ちよくなったり、話すことはないけど人の気配を感じにきたり、ちょっと逃げ出したくなったり。どんな理由で辿り着いた人でも、LAMPにいる間に「生きててよかった」と思える瞬間を増やしていく。あわよくば、何か大切なことに気づいたり、ご縁に恵まれたり、人生を少し前に進めるきっかけとなったら、流れ着いた甲斐があるだろう。

そんなことを考えながら、日々の小さな積み重ねを愛でて、いい流れに身を任せられるような時間を過ごしたいと思う。

10月6日〜 またLAMPでお待ちしております。








この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?