【風紋 35】言葉の周りに漂うそれ
『違国日記』を映画で観た。漫画が話題になっていたときから、頭の片隅に常に存在していた作品。鑑賞した今は、心のど真ん中に居座っている。自分にとって、びっくりするほど大切な作品になった。この作品を観て感じたことは、簡単に言葉にしたくないという確かな手ごたえを感じる程に。
『正欲』を観てから、ガッキーの演技に首っ丈になってしまっていたが今回も凄まじかった。ガッキーにしか出来ない役柄がこの世にはある。原作は未読だけど、槙生も間違いなくその1人なんだろうな。えげつないってぇの。
朝役の早瀬憩さんも素晴らしかった。今後も出演作は追いかけたい。"いこい"っていい名前だ。
あの作品の中の人達には、過不足や脚色がなく、その世界で本当に感じていることがただ真摯に描かれているように思う。柔らかさと鋭さが同居している。
自分は槙生に惹かれた。近いものを受け取った。人と共に生きるということは、少なくとも自分にとってはとてもとても難しいことだから、急がずに向き合い続けたい。自分から出てくる強く逞しい叫びを言葉として掬いあげ、魂の拠り所にしてあげたい。何気ない日常を送る中で、ふと柔らかくて温かな気持ちを思い出し、ゆっくり浸透させていきたい。不確かさを受け入れることを諦めない。分かった気になることに警鐘を鳴らし続ける。
次の休みは、原作を読む。
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