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エッセイ「夢日記の話 その1」

眠りが浅くて、起きたときに直前まで見た夢のことをよく記憶しています。

あまりよくないという噂は聞いているのですが、見ている夢があまりに荒唐無稽だったり、印象深かったりするので、一時期毎日のように見ていた夢をスマホのメモ帳につけていました。

昨日、そのメモの文章量が最長を記録したので原文を備忘録として記録しておきたいと思います。以下、昨日の朝起きたときに覚えていた夢になります。

8月28日 朝

仙台駅で着替えて電車を待っていたら、着替え終わらないうちに人の波に押されて、全裸に羽毛布団という珍妙な恰好で移動しなくてはならなくなった。その格好のせいかホームレスと勘違いされ、野宿生活を強いられる羽目になった。震災で家を失ったことをきっかけにホームレスになったおじさんに水辺で顔や身体を洗う方法を教わったりしていたが、その水辺は通信機器の電波をよく拾う場所だったため、他の家のない人たちがこぞってラジオを聞いたり携帯をいじったりしていた。子連れの女性ホームレスと出会い話をしていると、その女性の持っているスマートフォンの画面に僕の父から「せめてお盆くらいは帰ってこられませんか」というメッセージが届いており、実家の隣人の家の知り合いの女性の姉であったことが判明する。「だったら一緒に帰りましょうよ」ということになり、仙台駅へ向かって、「さすがに裸のままじゃまずいのでトイレで着替えます」と言って男子トイレを探していたら、なかなか見つからずまごついていた。
すると家族が仙台駅に現れ、いいからこっちに来いと言われ夜の石川駅でご飯を食べることに(なぜ急に移動したのかはわからない)。6年前に死んだはずの祖母も交えて石川駅で蕎麦を食べていると、最初に提供されたタレは一人分ではなくみんなでわけて蕎麦にかけて使うものだった。それを知らなかった父が「やっぱりこれ一人分やないやないか」と半笑いでキレはじめ。僕の大根おろしを勝手に使ってタレを薄め始めたので僕は少し腹が立った。外を見ると大雪が降っていた。「へえ、こっちじゃこんなに雪が降っても電車は動いているんだな」と感心していると「これじゃ車が動かないじゃないか」と父が怒り出した。
そうこうしていると僕は大金持ちの家の子供だったので、いいスーツを着て髭をはやしたもう一人の父がヘリに乗って登場し、僕のことを追いかけ回し始めた。僕はそのもう一人の父のスポーツカーを壊したことでその父に追われていたのだった。父の乗ったヘリに捕まりそうになり、「家に強制連行するか、壊した父のスポーツカーの修理代金5,800万円を小遣いから差っ引くか」という選択肢を迫られ、選びきれなかった僕は自分の足で家に帰りたいと思い、紅葉の生い茂る沢を越えて横浜へと逃げた。
知る人ぞ知る、屋上に水の張った、それはそれは絶景の美しい青い外観の隠れ家的な修道院にたどり着いた。TVの取材ということで特別な許可を得て、本来は男性が入ることは禁忌とされる地下の女性用参拝エリアに入ったが、薄暗くて本能的にヤバい場所だと悟り、この先に進んだら二度と戻ってこれないことがわかった僕は恐怖に駆られ、仕事を放っぽり出して大粒の涙を流しながら泣きわめいて「ごめんなさいごめんなさいと」大声で叫んで自転車で逃げ出した。自転車で砂埃の舞う道を疾駆していたら、バギーに乗ったサークルの後輩に、すれ違いざまに泣きべそかいた写真を取られ、その恥ずかしいデータを消すために彼女を追って行った。
追っていった先の洋風の村では昔見たモノクロ映画のお祭りが完全再現されていた。あまりの再現度に僕はまた薄気味悪くなったが、所詮は人の作ったものだと、たかを括ってどんどん奥へ進んでいった。奥では階段でマイケル・ジャクソンの顔のコラージュをした骸骨がダンスを踊っており、いよいよその場面の再現が原作の映画通りだったので僕はすっかり感心してしまった。道端でカエルの骨とワニの骨のカートゥーンが会話をしており、非常にコミカルなカートゥーン的やり取りを繰り広げ、見事な動画でドタバタ劇を繰り広げた。そこで僕は「ああ、これは実際の映画の世界に迷い込んでしまったらしいぞ」と悟った。
そのカエルの骨とワニの骨のドタバタのフィルムを編集し、小さな機械でラッシュを観ていた。我ながら会心の出来だった。僕は実はその映画のディレクターだったのだ。隣では奥さんがいて、「見事な映画ね。また賞を取ることは確実ね」と何故か不機嫌そうに言っていた。「何が不満なんだ」と僕が苛立ちながら聞くと、彼女は「こういう賞映画を撮ることもけっこうだけど、私はこのように頭蓋骨を足蹴にするようなあなたの映画も観てみたいのよ」と、そこに置いてあった頭蓋骨をハイヒールで踏みつけて見せ、怒ってどこかへ行ってしまった。その様子を出演者であるカエルの骨のアニメ(老人で顎が外れがちなので、顎をゴム紐で矯正している)が見ており、僕は機嫌をとるために「気にすることはない。最高の演技だったよ」と言った。彼がなんと言ったのかはわからなかったが、フガフガと何か台詞をしゃべって、「ケ、ケ、ケ」と引き笑いをするものだから「おじいさん、あんた顎が悪いんだから引き笑いするクセを直さなきゃ駄目だよ」と注意した。そこへワニの骨のアニメが登場し、「いつまで待たせるんだ。いつになったら帰っていいんだ」的なことを言ってきた拍子に、カエルの骨のおじいさんを飲み込んでしまった。しかし骨なのでカエルのおじいさんの骨はワニの骨の外側から無事なのが丸見えだった。それに、こういうことは撮影中に何度もよくあることだった。「おいおい、そのコントはもういいから」と僕が呆れると、カエルのおじいさんが「ケ、ケ、ケ」と笑いながら閉じたワニの口の隙間からぬるりと這い出てきた。(終)

ここで目が覚めました。我ながら、なんのことやらですが、躍動感がありビジュアルがきれいな夢だったことはすごく記憶に残っています。

2020年8月29日

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