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娘、心のトビラが閉じる

娘は社交不安である。
バレエを初めて約4ヶ月。これまでにない大きな壁にぶち当たっている。
発表会である。
100名程度のバレリーナ達が集まって、プログラムを踊る。先生からは2つのプログラムで出番をもらったが、娘が1つだけで十分だと申告があったので、1つ減らしてもらった。
最近は毎週のように合わせ稽古、リハーサル、初参加なので、シニヨン(ヘアセット)やメイク講座が開催される。今まで5、6名でやっていたレッスンとは違い、大勢で集まる、演技を合わせる、社交不安な子にとっては相当なストレスだと思う。

先週末、合わせ稽古があった。
当日の朝から娘は「嫌だなあ〜」を連発していた。私が「何が?」と聞くと、「バで始まって、エで終わるやつ」と。
ぶつぶつ言いながらも、着替えた。娘行く気になったのかなと思い、車で合わせ稽古の会場に連れて行った。
しかし、会場に着くと、もともと気分が乗らなかった上に、人の多さと、熱気にやられたのか、娘は固まってしまった。膝をかかえて、座り込んだまま起き上がらないのである。いつも一緒にやってる子達がいくら励ましても、駄目だった。

しばらく見学することにしたが、娘の表情は険しいので、「帰ろうか?」と言うと、娘は小さく頷いた。

帰りの車でも、娘の表情は険しく、しんどそう。まだ不登校になりかけの頃、私が無理矢理学校に連れて行く時も、こんな表情してたことを思い出す。私はこう娘にアドバイスをした。
「自分の気持ちに正直に行動してね。じゃないと、自分が一番しんどいし、好きなものも嫌いになるよ。」

家に着くと、娘は険しい表情のまま、自室に閉じこもった。しばらく落ち着くまで、放っておくことにした。

私は、少し言い過ぎたかなと反省していた。
ある心理学の本に「心の開きと心の閉ざし」について書いてあったのを思い出した。
娘は行きたいけど、実際行ったら、心のトビラ閉まったんだろうし、この歳で自分で心のトビラをコントロールするのは難しいだろうなあと思う。私も思春期くらいの時は、他人の目を気にし過ぎて、思うように動けないことはよくあった。

息子の習い事の迎えで外出し、戻ってくると、娘がソファーに座っていた。目を合わせると、ニコッと笑って、抱きついてきた。
「良かった、元気になって」
私もぎゅーと抱きしめた。
「さっき気持ちに正直に行動してって言ったけど、難しいね。心のトビラって、開いたり閉じたり、コントロールはまだ難しいもんね。今は、Uちゃん(娘)の心のトビラ開いてるね」と心のトビラ理論を話してみる。
「心のトビラ?」
娘と息子(弟)と、心のトビラについて、いろいろ話し合う。そうやって自分の心の状態を可視化できるといいかなと思ったのである。
「私のトビラは壊れてるのかな」
と娘が言う。
「壊れてないよ、お母さんだって嫌な気持ちの時は閉めちゃうよ、でもいろいろ経験すると、割と自由に開け閉めできるようになるかもね」

自分の心のトビラが閉まったら、無理矢理開けなくていいし、開くまで待てばいい。そして、時間をかけてもよいので、トビラがあく、新しいカギを見つけて欲しい。
娘も少しずつ、自分のトビラの状態を見つめ、行動できるようになるかな。今日の経験から教訓を得られたので、良かった。
いじょう!

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