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私なら局部とか晒しててもおかしくないから

 回転寿司チェーン「スシロー」において男性客が、湯呑みを舐める、醤油さしの注ぎ口を舐めるなどの迷惑行為を行い、その様子を撮影した動画がSNS上に投稿され、物議を醸している。男性の氏名や出身校を特定する動きが広がり、動画に映る男性は自主退学したとNewsポストセブンが報じた。

 ザッと見渡す限り、「絶対に許すな」みたいな論調の大人が大半で、まあそりゃそうですよねと思う反面、揺るぎない、よどみない、絶対的な確信を持って彼らの行いを非難し、否定する自信が私にはない。だって、同じくらいの歳のころ、同じくらい軽率で愚かで迂闊でしたもん。高校生の頃なんて、校則破ったら、タバコ吸ったら、スカート短かったらかっこいいという風潮だったでしょう。援◯してたり、ブルセラしてる女の子のことを、一種の憧れを込めた眼差しで見つめていたくらい。

 私が女子高校生だったのはガラケー全盛期時代で、当時は多くのクラスメイトが「ホムペ」「サイト」と呼ばれる個人の掲示板を持っていて、そこへ日記などを投稿していた。年上の彼氏や、飲酒などをチラつかせるのがかっこいいという風潮だったのだけれど、投稿されるのはせいぜいガチャガチャの画質の自撮りと、大人になってから読むとかなり恥ずかしい自分語りとかなので無害。ガラケーでしかアクセスできない上、クラスメイトくらいしか見ていなかったし。

 大学生になると、サイトに代わり「mixi」が台頭する。こちらは日本初のSNSと言える存在であり、mixi内ではユーザー同士のコミニケーションが顕著に見られた。お前もお前も誰?みたいなただの一般人が「まゆまゆは私の妹みたいな存在です」など、互いにプロフィールを書きあったり、「Q.初彼氏ができたのは? A.中学2年の夏休みです」と、どこに需要があるのかよくわからないQ&Aなどを公開したりしていた。私もしていた。とはいえ、やはり投稿されるのはせいぜいタバコ自慢飲酒自慢SEX自慢、あとは死ぬほど恥ずかしい自分語りなので無害。せいぜい国内でしか閲覧されないのと、完全招待制&リア友とかマイミク(懐かしい)にしか見られないように設定できるからセーフ。

 若いって、軽率で愚かで迂闊であることとセットじゃないですか。ワルでちょい迷惑なやつこそがかっこいいとされるあのコミュニティにおいて、1ミリも道を踏み外さない自信なんて私にはこれっぽっちもないんだけど、幸い私たちにはガラケーでしか見れないサイトとmixiしかなかった。

 でも、令和5年にはTikTokもInstagramも Twitterもあって、かっこよくなりたいものたちがこぞって迷惑行為を収めた動画などを配信できてしまう。恐ろしい。

 「Chu!可愛くてごめん」と、絶妙なウインクと上目遣いで口パクを披露する女の子たちを眺めながら、黒歴史が未来永劫このネットの海を漂う不幸に震えた。南無阿弥陀仏。


終わり

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