おやつ庵

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noteでは主に創作小説やドラマのレビューなど。 ブログでは本、マンガ、映画、アニメ、ドラマ(主に海外、ときどき日本)、お笑い、旅行、フィギュアスケート、体操、新体操などなど、大好きなものたちについて綴っています。 ブログはこちら→http://oyatsuan.com

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  • 光の物語

    中近世ヨーロッパの架空の国が舞台。隣国リーヴェニアから嫁いできた王女・アルメリーアと、王子ディアルの物語。政略結婚の相手として出会った二人は、互いの立場を自覚しつつも芽生えた恋を育んでいき・・・。ほんわか甘酸っぱい気持ちになれる、激甘ラブストーリー!

  • コール・ザ・ミッドワイフのレビュー記事

    イギリスドラマ「コール・ザ・ミッドワイフ」のレビュー記事をまとめています。

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小説「光の物語」 目次

小説「光の物語」の目次と、各話の一言あらすじです。 💕があるものはラブいシーンあり😍 先読みはこちら→ブログ「おやつ庵」 1. 婚約 1    王子と王女、初対面 2. 婚約 2💕  思いがけないキス 3. 婚約 3   ばあや、怒る 4. 婚約 4   従兄弟のマティアス登場 5. 婚礼 1   婚礼の日 6. 婚礼 2   祝宴と姫君 7. 婚礼 3   王子の葛藤 8. 婚礼 4💕  婚礼の夜 9. 春 1    新婚の二人 10. 春 2    新婚

    • 小説「光の物語」第122話 〜王都 8 〜

      「ブルゲンフェルトの姉に手紙を送ってみたけれど、まだ返事は来ないようね・・・」 自室で侍女たちを前にアルメリーアはため息をつく。 姉のレナーテがかの国に嫁いで以来、やりとりするのは時候の挨拶状くらいだったが・・・。 「あなたたちの親戚からも何か知らせはない?姉やブルゲンフェルトの様子について」 「申し訳ありませんが・・・」 「私の家からも、特には」 「そう・・・」 他国の王家の内情を知るのはやはり難しいようだ。 せめて姉が一言返事をくれれば・・・アルメリーアは再びため息をつ

      • 小説「光の物語」第121話 〜王都 7 〜

        夜会の翌日、ナターリエは修道院の居間でテレーザと話し込んでいた。 前日にマティアスから言われたとおり、ブリギッテの言動を相談してみたのだ。 「そのご令嬢は少し危ない感じがしますわね」 「危ない?」 テレーザの言葉にナターリエは首を傾げる。 ブリギッテに対して違和感を抱いてはいるナターリエだったが・・・危ないとは? 「時々いるのですわ。お友達顔をしながら掠め取る輩が」 「掠め・・・」ナターリエはぽかんとした。「何を取るというの?」 「いろいろですけど、この場合はあなた様がお付

        • 小説「光の物語」第120話 〜王都 6 〜 

          ディアルはダンスフロアの中央をゆっくりと横切り、ナターリエと踊る若者の肩を軽く叩いた。 「代わってもらえるかな?」 迷惑そうに振り返った青年は王子の姿を見てぎょっとする。 「で、殿下・・・?はい、もちろん」 ディアルは微笑んで頷き、ぽかんとするナターリエの手を取ってなめらかに踊り始めた。 周りで踊る人々も驚きの表情を浮かべている。 部屋の隅から見ていたマティアスは思わぬ展開に目を剥いた。 あいつは何をやっているんだ? アルメリーアの方を見てみても、彼女は女官と話しこんでいる

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        • コール・ザ・ミッドワイフのレビュー記事
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          小説「光の物語」第119話 〜王都 5 〜

          「彼女をどう思います?」 ダンスの開始と共に人々はなんとなく散り散りになり、マティアスはナターリエに尋ねる。 それは少し離れたところで青年と話し込むブリギッテのことだとナターリエにもわかった。 「どう・・・とおっしゃいますと・・・?」 「彼女はあなたのご友人ですかな?あなたはそうお思いに?」 「友人というほどの関係では・・・今年社交界デビューした子で、よく話しかけてきますの。私に憧れていると言ってくれるのですが・・・」 疑問は抱いているらしいナターリエの様子にマティアスはやれ

          小説「光の物語」第119話 〜王都 5 〜

          小説「光の物語」第118話 〜王都 4 〜

          その夜は夜会が開かれ、宴のはじめにはマティアスの功績を讃える場が設けられた。 マティアスは国王と王子夫妻の横に立ち、出席者から送られる拍手に礼をする。 夜会向けのドレスに着替えたナターリエも彼のその姿を少し離れて見つめていた。 周りには彼女に執心の男性が三人、互いを牽制しながら陣取っている。 「ナターリエお姉様、あんな素敵な方とお付き合いがあるなんて羨ましいわ」 いつのまにかその場に来ていたドレスラー家のブリギッテが、甘ったるい声で話しかけてきた。 この少女はなぜかナター

          小説「光の物語」第118話 〜王都 4 〜

          小説「光の物語」第117話 〜王都 3 〜

          「マティアス様・・・」 久しぶりに会うナターリエは、マティアスの記憶にあった目立たない少女とはまるで違っていた。 以前の彼女はいつも暗い色のドレスを着て、髪形も飾りもどちらかといえば地味だった。 だが今は装うことを楽しんでいるようで、その効果は絶大だ。 白に近いクリーム色のドレスは彼女のきれいに結った黒髪をひきたたせ、その肌を飾る宝石とともに上品な色香を放っている。 なにより彼女の表情には再会の喜びが溢れ、その事実は彼の心を芯からなごませた。 「・・・お元気そうですね。それ

          小説「光の物語」第117話 〜王都 3 〜

          小説「光の物語」第116話 〜王都 2 〜

          「流行病の対応、実によくやってくれた、マティアス」 「陛下からのお褒めのお言葉、光栄の至りです」 国王の執務室で言葉をかけられたマティアスは恭しく頭を下げた。 マティアスは数ヶ月ぶりに王都に参上していた。 流行病の対策の褒賞に加え、隣国ブルゲンフェルトに嫁いだ国王の姪・ミーネの亡命計画についても話し合いたいと、国王から直々の呼び出しを受けたためだ。 しばらくぶりのマティアスの姿に国王もディアルも喜んでいる。 「おまえがシエーヌにいたおかげでかの地の犠牲者は桁違いに少なかっ

          小説「光の物語」第116話 〜王都 2 〜

          小説「光の物語」第115話 〜王都 1 〜

          「一時は危なかったのですが、なんとか持ち直してくれました・・・」 春めいてきたある日、久々に参上した王城でナターリエは王子妃にそう話す。 「本当に恐ろしかったですわ・・・あんな幼い子が苦しんでいるのに、祈ることしかできなくて・・・」 修道院で共に暮らす子供たちのうち、ひときわ彼女に懐いているニーナのことだ。 ニーナは流行病に感染し、しばらくは生死の境をさまようほどの状態だった。 「そうだったの。その子が助かって本当によかったこと・・・」 話を聞いたアルメリーアもほっと胸を撫

          小説「光の物語」第115話 〜王都 1 〜

          小説「光の物語」第114話 〜手紙 12 〜

          部屋に戻ったマティアスはひとり苦笑した。 まさかあの子供たちが自分とナターリエをくっつけようとするとは。 たわいなさすぎて腹も立たないが、子供だけに全く遠慮がないな。 それにしても・・・ナターリエの母、亡きベーレンス夫人の狂態ぶりは想像以上だったようだ。 何かにつけて娘を罵倒しては、自信と力を失わせて支配しようとしていた。 しかも彼女から親しい人々を次々に遠ざけて・・・。 ひとりぼっちのナターリエの寄る辺なさを思うと胸がつまる。 彼女は自分と似ている・・・マティアスはそう

          小説「光の物語」第114話 〜手紙 12 〜

          小説「光の物語」第113話 〜手紙 11 〜

          「臨時の診療所はもう閉鎖できそうだな」 マティアスはシエーヌ各地から届いた報告書に目を通しながら言った。 「はい・・・あなた様のご手腕に領民はみな感謝しております」 おだててくる重臣にマティアスは作り笑顔で応えた。 流行病の当初にはマティアスのとった対策を大袈裟だと非難し、陰口を叩くものも多かったのだ。 だが過ぎてみればシエーヌは他のどの地方より小さな被害ですみ、彼らもその適切さを認めざるを得なくなっていた。 「あなた様がこの地においででしたのは天の恵みです」 「まことに・

          小説「光の物語」第113話 〜手紙 11 〜

          小説「光の物語」第112話 〜手紙 10 〜

          「少し具合が悪いと言って、母上は部屋に戻ったんだ。それきり二度と会えなかった」 ディアルの母は数年前に諸国を襲った大疫で亡くなっていた。 アルメリーアの国でもその疫病の影響は大きく、身近な知人や友人も何人か亡くなっている。 ディアルはその時のことを初めて詳しく話してくれた。 王位継承者であるディアルは、同じく王位継承権を持つマティアスと共に母后から遠ざけられたこと。 しかし、最も守られるべき国王はそうしようとしなかったこと。 「父上は私とマティアスを部屋に連れて行き、私の

          小説「光の物語」第112話 〜手紙 10 〜

          小説「光の物語」第111話 〜手紙 9 〜

          国王とディアルは各地方からの報告書に目を通していた。 この冬の流行病は下火になりつつあるが、まだまだ予断を許さない。 初動の遅れで多くの犠牲者を出した都市もあり、歯痒さを感じずにはいられなかった。 「ヴェルーニャとの国境周辺では犠牲者が多いな」 父王の言葉にディアルも頷く。 「ええ。病の封じ込めがうまくいかなかったようで・・・」 記された死者数に思わずため息が出る。 「かの地の主要都市、エルガの患者数などひどいものだ。街の総督は何をしている?」 流行の初期に取るべき対策を伝

          小説「光の物語」第111話 〜手紙 9 〜

          小説「光の物語」第110話 〜手紙 8 〜

          ナターリエは修道院附属の慈善病院を手伝っていた。 流行病の患者が多く、看護人だけでは手が回らなくなっていたからだ。 とはいえ、女伯爵である彼女が病をもらうようなことがあってはならない。 そのため彼女は修道院内にとどまり、日々運ばれてくる患者たちの記録を整理していた。 「一時期に比べると少しは落ち着いてきたかしら」 修道院の一室で書類を整理するナターリエはほっと息をつく。 「ええ、そのようですわね。新しい記録が減ってきましたもの」 彼女を手伝うテレーザも安堵の表情を浮かべた。

          小説「光の物語」第110話 〜手紙 8 〜

          小説「光の物語」第109話 〜手紙 7 〜

          マティアスは年明けから流行り始めた風邪の対応に当たっていた。 シエーヌ領内の街や村はもちろん、最近は城内にもぽつぽつと患者が出始めている。 体力のない子供や老人には助からない者もあった。 「病院には患者が溢れております」 街の病院の医師が状況を報告する。 「一人の患者からまわりにどんどん広がりますゆえ・・・」 居並ぶ家臣たちも不安そうな顔をしている。彼らの友人知人にも患者はいたからだ。 「病院の近くの会堂を臨時の診療所にしよう。症状の軽い者はそこで手当てを。病院から交代で医

          小説「光の物語」第109話 〜手紙 7 〜

          小説「光の物語」第108話 〜手紙 6 〜

          「国からなにか変わった知らせはあって?」 故国のリーヴェニアから共に来た、側近の女官たちにアルメリーアは尋ねる。 王女である彼女に使える女官たちも、それぞれ由緒ある家の娘たちだった。 「ブルゲンフェルトの情勢が良くないらしいの。あなたたちの両親や兄弟姉妹から、そのことで何か・・・?」 かの国に嫁いだ姉の身をアルメリーアは案じていた。 彼女と姉とはまったく性格が違い、親しい間柄とは言えなかったが・・・。 「姫様、あまりお心をお痛めにならないでくださいまし」 隣に控えるばあやが

          小説「光の物語」第108話 〜手紙 6 〜