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小説「光の物語」 目次
小説「光の物語」の目次と、各話の一言あらすじです。
💕があるものはラブいシーンあり😍
先読みはこちら→ブログ「おやつ庵」
1. 婚約 1 王子と王女、初対面
2. 婚約 2💕 思いがけないキス
3. 婚約 3 ばあや、怒る
4. 婚約 4 従兄弟のマティアス登場
5. 婚礼 1 婚礼の日
6. 婚礼 2 祝宴と姫君
7. 婚礼 3 王子の葛藤
8.
小説「光の物語」第100話 〜聖夜 2 〜
降誕祭の礼拝に参加するため、ナターリエとテレーザは王城の聖堂を訪れた。
ナターリエ自身は修道院での礼拝に参加したかったが、王子妃の招待ではやむをえない。
王子妃は彼女を王城に来ることに慣れさせたいようだ。
気遣いはありがたく思うものの、きたるべき社交や見合いのことを考えると気が重い。
それよりも、今朝がた届いたマティアスからの挨拶状を思っていたかった。
ナターリエが書いた感謝の言葉に対し、彼は男
小説「光の物語」第99話 〜聖夜 1 〜
アルメリーアは降誕祭の礼拝にナターリエを招待した。
今後に備え、修道院の外の世界に接点を見出してほしかったからだ。
まだ本格的な社交は無理だとしても、サロンや小さなお茶会から少しずつ招待するつもりだ。
これから領主として生きていくためにも、さまざまな思惑を抱いた者たちへの免疫をつけてほしい。
側近のテレーザにも導いてもらいつつ。
その話を聞いたディアルは複雑な顔をしていた。
「ナターリエ嬢が誰か
小説「光の物語」第98話 〜深雪 11 〜
大雪の後、シエーヌの領内ではあちこちから被害の報告が相次いだ。
雪で道がふさがっただけでなく、倒木や家屋の倒壊も発生している。
マティアスをはじめとする城の人々は連日の会議と対応に追われた。
「お帰りなさいませ、マティアス様」
城下町を視察に行っていたマティアスを馬番の少年ハンスが出迎える。
「ああ、ありがとう」
マティアスは十代なかばの純朴な少年に手綱を手渡した。
「町の様子はいかがでしたか?
小説「光の物語」第97話 〜深雪 10 〜
修道院の居間でテレーザや修道女たちと編み物をするナターリエのもとに、彼女が勉強を教える子どもたちがやってきた。
「ナターリエ様」
なんとなく恥ずかしそうな、もじもじした笑顔を皆で浮かべている。
「どうしたの?」
その様子に笑みを誘われながらナターリエは尋ねた。
「あのね・・・これ」
皆が手に手に小さな封筒を差し出す。
ナターリエに読み書きを教わった子どもたちは彼女への感謝を手紙にしたため、手作り
小説「光の物語」第96話 〜深雪 9 〜
「マティアスが猫を連れてきたって?」
地方の視察から数日ぶりに戻ったディアルは妻からその話を聞いた。
「ええ。ナターリエがそう話していましたわ。この間王城に来た時に。おかげでナターリエはずいぶん元気になって」
その話をするアルメリーアは嬉しそうだ。
「マティアス様も猫がお好きらしくて・・・二人はその点気が合うようね」
「そうだな・・・あいつは動物が好きだ」
ディアルも動物は好きだが、マティアスは
小説「光の物語」第95話 〜深雪 8 〜
ナターリエからの手紙を開いたマティアスは、紙の一部が空白であることを不思議に思った。
しかし読み始めると彼女が記してくれたシエーヌについての話に引き込まれた。
この城で生まれ育った彼女は、名士たちとの社交より城で働く人々との交流を好んでいたらしい。
庭師や猟師、料理人たちから聞いたシエーヌの土地の特徴、人々の気性、下働きの子供たちの様子なども書いてくれていた。
これらはすべて、今後のマティアスにと
小説「光の物語」第93話 〜深雪 6 〜
「あなたがテレーザね」
ナターリエと共に赴いた王城で、テレーザは王子妃と初めて対面した。
「お初にお目にかかります。妃殿下にはご機嫌麗しく」
お辞儀をするテレーザにアルメリーアは頷く。
「アーベルのばあやのご親戚で、王城にも長かったとか・・・頼もしいことだわ。ナターリエをよろしくお願いね」
「かたじけのうございます」
王子妃の柔和な雰囲気にテレーザは魅了された。
噂通りのすばらしい美女だし、いつ
小説「光の物語」第92話 〜深雪 5 〜
ふたたび降誕祭の時期が巡ってきた。
冬の社交のために各地から諸侯たちが王城に集まってくる。
宮廷が一番華やぐ季節だ。
「この時期は各地の軍人たちも交代で休暇に入りますから、宮廷もますます賑やかになりますね」
この国での二度目の降誕祭を迎えるアルメリーアに向け、ばあやが口にする。
「そうね・・・きっと若者たちが大勢やって来るでしょうね」
考え深げにつぶやくアルメリーアにばあやは尋ねた。
「何かお気
小説「光の物語」第90話 〜深雪 3 〜
暖冬になるかと思われたが、ひとたび雪がくると今度は降り続いた。
シエーヌの城に戻ったマティアスは連日の大雪に降りこめられた。
ナターリエの言っていた通り、この地の冬は厳しい。
そんな中でも陳情を聞いたり税収の報告を受けたりと、やるべきことはいくらでもある。
人に会う用事を終えた後も、自室で領地管理の書類に目を通す。
しばらくして疲れを覚え、机の上に広がった書類をふと眺めた。
あの白猫がいた頃は
小説「光の物語」第88話 〜深雪 1 〜
クリスティーネの婚礼の翌朝、マティアスの部屋を訪ねたディアルは整えられた旅支度に驚きの表情を浮かべた。
「ずいぶん急な出立だな」
従兄弟の問いにマティアスは答える。
「これでも遅いくらいだ。本当ならもう戻ってるはずだったんだから」
「それにしてもな。昨日の疲れもあるだろうに」
ディアルは寝台に腰掛けて足を組んだ。
「昨夜はいつの間にかいなくなったようだが、ナターリエ嬢は大事ないか?」
「ああ。