小説「光の物語」第111話 〜手紙 9 〜
国王とディアルは各地方からの報告書に目を通していた。
この冬の流行病は下火になりつつあるが、まだまだ予断を許さない。
初動の遅れで多くの犠牲者を出した都市もあり、歯痒さを感じずにはいられなかった。
「ヴェルーニャとの国境周辺では犠牲者が多いな」
父王の言葉にディアルも頷く。
「ええ。病の封じ込めがうまくいかなかったようで・・・」
記された死者数に思わずため息が出る。
「かの地の主要都市、エルガの患者数などひどいものだ。街の総督は何をしている?」
流行の初期に取るべき対策を伝