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魔法と小言 #7


大晦日、彼から連絡がきた
「今日なにしてるの?」

ひとり寂しく家にいたから連絡をくれたみたいだが
結局先輩から呼ばれたらしい

先輩芸人がsnsにあげた写真には彼の姿があった

なんだかんだで結局1月3日に会うことになった。

彼の家に着くと開口一発「あけましておめでとう!」
と笑顔で出迎えてくれた

めでたい三が日にセフレに会っている自分
なんだか胸が痛い

1日は親戚の家で過ごしたと話す彼
そこで死ぬほど酒を飲まされたと言っていた

そのせいで体調が悪く
2日は1日中家にこもっていたらしい

そんなことならわざわざ会わなくてもいいのに
と思いながら話を聞く

「年末年始色んな先輩と飲みまくってたから
ずっとこういう静かでゆっくりできる時間が
ほしかったんだよ〜」とベッドで寝転がりながら
独り言のようにつぶやいていた

今日はお酒を飲まないと公言してる彼

出会った頃はお酒がないと落ち着かなかったが
今ではお酒に頼らずとも
楽しい時間を過ごせるようになった

「いま何食べたい気分〜??」と彼が一言
「お寿司かな〜」と答えると
「何貫食べたい〜?」
「4貫かな〜」
彼はお寿司を4貫食べるそぶりをみせて
「ベストだね」と言った

それから

「お手洗い行きたいけど向こうの部屋が寒いからなかなかでられない」と私が言った
「あったかくなる魔法かけてあげる」
彼が魔法の粉をかけるそぶりをした


私は部屋をゆっくり出てケタケタ笑っていた
戻ってくると次は彼がお手洗いに行くといった
私は魔法をかけてあげなかった
すごく寒そうに肩を丸めていた

彼とAmazonで欲しいものを検索したり
頼みもしないウーバーイーツを見たりした

いい大人がくだらないが
彼と過ごす意味の無い時間が
仕事で忙しくしている毎日を
全部忘れさせてくれるので心地が良い


深夜1時 「そろそろ眠ろうか〜」と彼が言う
ふたりでベッドにはいって「おやすみ」
足を絡ませながら眠りについた

これは小言だが一緒に眠る時
彼は枕元に置くスマホを
毎回私のスマホと重ねて置く癖がある。
やめてほしい理由がある訳ではないが
毎回やめてほしいと思っている


あ〜魔法、使えたらな〜

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