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違和感 #8


彼からの予定を断り続けていたら1ヶ月経っていた
さすがにと思って予定を立てたのが1週間前
今日は1ヶ月ぶりだった

夕方彼からLINEが届いた
「収録はやく終わったからいつでも大丈夫だよ」

テレビの収録が思ったより早く終わったらしい

そんなことお構いなしに
予定通りの時間に彼の家の最寄り駅に向かった

「あと5分でつきます」

「お腹空いてる?俺空いてるんだよね
迎え行くついでになんか買おう」

彼が駅で待っていてくれた

飲みにいくかコンビニかラーメンか
色々案を出して結局すき家になった

2人でメニューを決めて
彼がお会計をしてくれた
お持ち帰りにして家に向かう

ハイボールと牛丼を用意して
映画を流しながら夜ご飯をたべた

おなかもいっぱいになって満足
映画も見終わり
今すぐにでも寝ちゃいたい気分だった

「眠たそうだね〜まだ21時前だよ〜」と彼が言う

彼は私のほっぺたにキス
それから膝と手の甲にもキスしていた


何故だか分からないけど
半年で1番彼からの愛情を感じた
長いキスと苦しいほど力強く抱きしめられながら
抱かれたからだろうか


ベッドから起き上がって彼といつも通り
くだらない話をした

「今1番いきたいところどこ〜?」
「1人だけディナーに誘えるとしたら誰誘う〜?」
「透明人間になったらなにしたい〜?」
「特殊能力なにがほしい〜?」


全部あげたらキリが無いが小学生がするような会話を気づいたら2時間もしていた

私が何か質問するたびに
「いい質問してくるね〜さすがだなやっぱり」
と感心したように考えてくれる

普段ネタを書く彼に褒められるのは私も嬉しい

時間的に彼が出た番組がはじまったので
一緒に見てから寝ることになった

放送も終わり彼お得意のエゴサーチも終わり
一緒に歯磨きをした

私が寝る支度をしていると
先にベッドにはいって
彼がおいで〜と布団を持ち上げて待っている

そのままずるずると布団に導かれた

腕枕をして後ろから自分の両手で私の冷えた両手をつよく握りしめてくれた
彼は私の首筋に3回キスをした
「手あったかくなってきたね」と言われた

それからあまりに小さい声だったが
彼が一言「だいすき」と言った気がした

出会って半年
彼から好きと言われたことはない

あまりに突然で聞こえないフリをした
単なる偶然だろう

もう少し大きな声で次は「おやすみ」と言ってきたので
それには「おやすみなさい」と返した

この日はなんだがずっと違和感があった
いつもとなんだが違うようで一緒のような感覚

一個だけ決定的な変化は
今まで「〇〇ちゃん」と呼んでいだ彼が
なんの前触れも無く突然あだ名で呼ぶようになったこと


不甲斐ないが新鮮でどきどきした

本当はさよならを言おうとしていた私の
いなくなるセンサーでも感知したのだろうか
だとしたら勘が鋭い

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