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あっという間 #6


気づいたら彼と関わるようになって
半年が経っていた。


初めて会った日は
お互いに半袖で「暑いね」といいながら
冷房の部屋に駆け込んでいたが
今ではマフラーをしている。

木造の寒過ぎる彼の部屋は
暖房と電気ストーブのダブル使い

2人して電気ストーブの前で丸まっていると
汗をかいていた日を鮮明に思い出す

偏見だが芸人との関係なんて
ワンナイトか都合の良い女で終わると思っていたけれど
なんだかんだ私は平等な関係を保てている

彼から1週間に1回は会いたいとお誘いがくるが
私も忙しいので
遠慮なく断り倒している。

さすがに3回断られたら呆れて逃げそうなものだが
彼は粘り強い
何度断っても会える日があるまで
日付を提案し続けてくる

彼の予定に合わせてられないので
こちらから空いてる日を教えると
どんなに先の予定でも
彼は「大丈夫だよありがとう」と言う

わたしなんか捨てちゃえばいいのに

と毎回思うが実際に捨てられたら
悲しいんだろう

意味の無い関係を簡単に終わらせれば楽だが
なかなかそうはいかない

自分から捨ててやりたくて
彼からのまた誘うねに
「またいつか」とLINEを送った

察してくれればもう終わるかもと思ったが
彼は何も無かったかのように
日程を提案してきた

また元通り

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