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子どもが生まれるまで、生まれた時、生まれた後のこと。

9月に子どもが誕生した。

1月に妊娠がわかり、そこから徐々に子ども中心の生活へと変わっていった。妻はお腹がどんどん膨れていき、体が思うように動かなくなっていった。幸いにも、つわりはひどくなくて機嫌がちょっと悪くなるくらいだったのがよかった。

その代わり、私はパパニティブルーになった。4月の始めのころだった。
こんな私が父になれるのだろうかと、妊娠した喜びを感じると同時に責任も感じた。妻のお腹が膨れるのに比例して私の不安も大きくなっていった。

一番不安なのは妊娠した妻だったはずなのに、妻は強かった。
いや、強く振舞っていたのだと思う。不安など微塵も見せず、お腹の子どもが無事に成長してくれるのをただ祈っていた。

だからこそ、私も立ち直れた。どうにでもなると腹をくくった。
先のことなどわからないけれど、妻と一緒だったらやっていけると開き直れたのがよかった。


夏、繁忙期を迎えた。
ゲストハウスは毎日満室で、忙しかった。
スタッフに大いに助けてもらい、なんとか乗り越えられたが、この時期は毎日のように喧嘩をしていた。

妻が思うように動かないことに私が苛立った。
お客さんがいるので、どうしてもお客さん優先で指示を出す。
でも妻は以前のようには動けない。そのギャップに私は怒った。
忙しさは相手を思いやる心を忘れさせてしまう。

スタッフに無理を言って、二人で休む時間をもらったりもした。
冷静になって話し合って、頑張る以外の解決策を二人で考えた。
この時期に手伝いに来てくれたスタッフには本当に感謝している。

気づけば9月になり、出産の準備が始まった。
赤ちゃんは逆子だった。昔は助産師さんが魔術を使ってひっくり返したりしたらしいが、結局逆子は治らなかった。

帝王切開の段取りを組み、入院をした。

そういえば、入院前日に妻と私の母と3人で好きなものを好きなだけ食べた。妻は手術が初めてなので不安そうだったが、それよりも術後にごはんが食べられないことが嫌だと言っていた。唐揚げをこれでもかと食べる妻を見て、図太いのか、ズレているのかよくわからなくなった。

入院の手続きはさらっと終わった。
翌日に手術を控えた夜を妻がどう過ごしたのか知らないがきっと心細かったように思う。思えば妻と一緒に寝ないのは、1年以上ぶりだった。

大丈夫?とLineを送ったら、「ごはんがおいしくなかった」と返事がきた。
心細さよりも食欲の方が強かったようだ。


9月13日15時24分、妻が手術室に入っていった。
母とテレビを見ながら待った。あの時に見たテレビの内容はほぼ覚えていない。料理番組だったことは覚えているが、誰がどんな料理を作っていたか記憶がない。母と、全然頭に入ってこないねと笑いながら待ったが、本当に頭に入っていなかった。

子どもが30分ぐらいで先に出てきて、妻が術後の処理をしてから帰ってくると聞いていたが、子どもはなかなか出てこなかった。

落ち着かなくて手術室の前に行ったり、音がしたら見に行ったりもした。
待つ側もなかなか大変だ。


結局約1時間後に子どもが運ばれてきた。
看護師さんに写真をどうぞと言われて撮ったのが今年のベストショット。
一眼レフを用意していたのに、なぜかスマホで撮った。

構図も画質も特段秀でたものではないが、今年一年を象徴する写真だ。

今、子どもは生まれた時の倍以上の大きさになり、よく笑うようになった。声も大きくなったし、うんちもたくさん出る。
あっという間の3ヵ月だった。

生まれてから1ヵ月くらいは子どもの小ささにかわいさを感じるとともに、またもや産後うつのような状態になった。妊婦ですらないのに。
でも、妻がほんとうに大事そうに育てていたから、その姿に何度も救われた。

子どもが生まれて夫婦の関係性も、生活も変わった。
たまに二人でデートをしたいと思うこともあるし、自由な時間がほしいと思うこともある。

でも、子どもがいる喜びの方が格段に大きい。

無事に生まれてきてくれてありがとう。
これからもよろしくね。

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