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愛着関係と自己肯定感の育てかた その1

驚くべき数字を皆さんにお伝えしますよ。
「自分は価値のある人間だと思うか」って、青少年に質問したアンケート調査の結果なんですね。
 
ちょっと古くて10年ぐらい前のデータなんですけど、
アメリカの子どもたちは57.2%が「自分に価値がある」と思っているんです。
中国42.2%、韓国20.2%。
さあ日本はどうでしょう。
どれくらいだと思いますか?日本のデータ。
かなり低い。
低いんですよ。
7.5%ですよ。驚きませんか。
 
私は、こういう結果が出ているということで、如何にこの乳幼児期からの子育てにおける愛着関係とか、自己肯定感をしっかり育てることが大事かっていうことを痛感するんです。
 
幼児期から小学校に入る前までにそこができていると、その後、本当の自我が出てきますから、自己肯定感を維持していくことができるんだけど。

ある調査によると、小学校の3年4年、10歳ぐらいまでの時に、日本の子どもたちはうんと落ち込むんだそうで、自己肯定感が低くなるんだそうです。

その頃からいろんな経験をしながら、立ち直って子もいるけれども、低いまま育っていっているんじゃないですか、7.5%ってね。
悲しむべきこの現実をよく考えてほしいです。
 
自己肯定感の高い子どもは、どんな子どもたちかというと、
・自信をもって活動を始める
・好奇心が強い
・新しいことにチャレンジする
・自分を肯定的な言葉で表現する。
どうせ自分はダメだから出来ない、っていう風にならないんです。
やってみる気になる、変化に適用できる、ストレスに耐える力がある。
何かことが起きたときね、友達と喧嘩したりした時も、そういうのに応える力が出てくる。批判やからかいをあしらえるんです。
 
ところが、自己肯定感の低い子どもたちは、
・自信がない
・好奇心がない
・尻込みする
・自分を否定的な言葉で表現する
・すぐに諦める
・批判やからかいに未熟な態度で反応をする
こういう子どもたちが身近にいらっしゃいませんか。

私は、叱られたり、指示命令で動かされることを体験した子どもたちは、こんなふうになっていってしまうのではないかな、って心配してるんですね。
 
愛着関係と自分自己肯定感を育てる方法は、まず、あるがままの子どもの要求を受け入れるんですね。受容なんです。
子どものやっていることをまず受け止める。
「そうしたかったのね」って受け止めます。
 
この間スーパーマーケットに、お父さんと3歳くらいの子どもがいましてね。
スーパーに子ども用のかごがありますよね。
子どもは店に入った途端、さっとそれを持ってね。
お父さんは普通のカゴを待って、店に入ろうとしたら、横にカートがあるのを見つけて「嫌だ、アレに乗ろう」って言ったんですよ。

あれに座りたいって子どもが言ってるのに「お前一人で歩けるだろう、だめ」。その一言で、子どもは引きずられながら中に入って行ってしまいましたけどね。
子どもは乗りたいって言ってるのに。
何回も言ってましたよ。
でもお父さんは、一人で歩けるんだから歩け。命令ですよね。
 
乗せるかどうかは、お父さんにはまた別な理由があるのかもしれませんけども。
乗せないにしても、いったん気持ちを受け止めて、
例えば、
「〇〇ちゃん、いまカゴ持ったよね。自分で歩けるんだから、そのカゴを持ってどこに何があるか見て歩こうよ、自分の欲しいもの入れようよ」
って言って、そのカゴを持っている○○ちゃんを尊重して「歩いていく方がいいかもしれないよ」っていう風に説明すれば、子どもは納得して行くかもしれないじゃないですか。

子どもの言ってることを頭から否定しない。
まずは受け止めるんです。それから大人の考えをそこで付け加える。
「そうしたかったんだね」って、この一を言入れましょう、必ず。
「そうなんだ」というその一言が入るだけで違います。子どもの受け取り方が。
「そうなんだよ、僕はそうなんだ」って。
 
受容されると、子どもは自分の事を分かって欲しい、認めてほしいという気持ち、欲求も満たされるので心が安定します。
受け止めるということが大事なポイントですね。一番最初のワンポイント。
まず「そうしたいんだ、そうか、どうしようかな」
 
さっきのあの赤ちゃんを突き飛ばしたお母さん、時々メールでアドバイスしてるんですが、
下の子も大きくなって1歳で歩けるようになってきて、一緒に散歩に行きましょう、ってなったときのことです。

上の子が「三輪車に乗りたい」って言って、三輪車となんかもう1つ、おもちゃを持って行ったんですね。
公園で下の子が三輪車に乗り始めたときに、上の子も「三輪車に乗りたい」って言い出したんですね。
「でも、いま下の子が乗ってるんだけど、どうしようかな」ってお母さんは言ったの。「あなたはいま三輪車に乗りたいのね」って言いながら「どうしようかな」って言ったら、「あ、そうか。じゃあ私は他のもので遊ぶからいい」って言うようになったんですよ。その3歳になったばかりの子が。
お母さんのその一言を受け止めることによって、それの積み重ねの中で、自分の要求を言うけれども、一歩譲るという気持ちが出てきて、下の子と一緒に遊ぶ、遊べる機会ができる。
 
お友達が持ってるの、それ貸してって3歳児は言いますよね。人が持っている物がすごく楽しそうに見えるから、ついつい、ちょうだいって。あるいは黙っても取っちゃう子もいるし。貸さないで抱え込んでしまう子もいるでしょう。
これは3歳児の特長なんです。それを否定してはダメなんですよ。自分のものを意識できる、拒否するって大事なことですから。自己主張ですからね。
 
そういうふうにやっていきながら、自分の要求があっても相手のことを考えるという発達もだんだん出てきますから、そうすると相手の気持ちを受け止められる。
 
「ねぇ、その人形貸して」って言ったけど、いやだって言われて。
買ったばかりの新しいのだったら、お友達に貸してと言われても、貸したくないですよね。
何回か「貸してって」いくわけ。でも「ダメ」。「ダメだって」って。
前だったら突き飛ばして終わっちゃってたんですよ、その子は。
でも最近は、ちょっと我慢して、友達が嫌だって言ってるからしょうがないって我慢する。そんなことができるようになってきたんです。
 
それは大人にまず受容されることによって、子どもにも相手を受容する態度が育つんですよ。仲良くしましょう、人間関係をよくしましょう、とみんな思うけれども、その第一歩を、実は大人がやってないことがある。大事なことですよ。
 
(2020年2月目白講演会より#6)

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