ショートケーキの美味しさについて考えた
先日、知人と「ショートケーキの美味しさとはなんぞや?」みたいな話を延々としていました。
それが面白かったので、書いておきますね。
途中ショートケーキの写真が何枚か出てきますが、どのお店のショートケーキかわかりますか?お店当てクイズです。
全部わかったら相当なショートケーキマニアですね!
答えは最後に書いておきます。
知人曰く、ショートケーキの美味しさ、つまり美味しいショートケーキの条件とは「いちご、クリーム、生地の三位一体感があること」とのことでした。
また「フォークを刺すといちごがはみ出るものはいただけない」とも言っていました。
私はこの意見に、半分賛成、半分反対の立場です。
その理由をご説明します。
これは個人的な見解なので「異論は認める」とお断りしておきますが…
ショートケーキの構成は果物、クリーム、生地の3つだけです。
それ以上でも、それ以下でもありません。
だから難しいんですよね。
他のケーキならナッツやキャラメリゼやらで食感や香りのアクセントを足すことも出来ますが、ショートケーキはそれが出来ません。
正確には、出来ないことはないと思いますが、やる必要がないんです。
ショートケーキは、それだけでもう完成された存在だからです。
そして完成されたミニマムなケーキだからこそ、素材の良さとパティシエの技術がダイレクトに出てしまうのです。
ここがショートケーキが面白くもあり、恐ろしくもある所以です。
シンプルだからこそ、シェフの個性や考え方が覿面に出てしまいます。もちろん、皆さん狙って出していると思います。
一方で「モンブランとショートケーキはどこも大体同じだから買わない」と言う人もいるのは知っています。
とはいえ、構成がほぼ同じなのでだいたいの味のイメージはあるでしょうが、お店によってその捉え方、目指す方向が全く違いますので、是非味わってみて欲しいと思います。
果物を引き立てるバランスなのか、あくまで全体の調和を目指しているのか、そんなことを考えながらゆっくりと味わうのも楽しい時間です。
いちごを丸ごと使うかスライスするかで食感と酸味の感じ方が異なりますし、一口の中に生まれるバランスも全て異なります。
丸ごとのいちごが入っていると、噛み締めた時にいちごの果汁と香りが口の中いっぱいに広がって、それから生地の食感や甘さ、クリームのまろやかさが押し寄せます。
生地は、いちごを引き立てるために軽さを追求するのか、丸ごとのいちごを支えるためにしっかり詰めるのか、一段なのか二段なのか、段を重ねるのか、挟むだけなのか、シェフの好みや考えが垣間見えるのが楽しいのです。
重ねて言いますが、これはシンプルだからこそ、です。
知人の言う「三位一体感」も一理あるのですが、食べ始めから食べ終わりまでを完全に同じバランスで食べ進められるケーキは物理的に無理がありますし、シンプルな構成だからこそ、全て同じでは食べ飽きてしまいます。
やはり濃淡や凹凸が欲しいんですよ。
そこに店ごとの個性や工夫が現れるのですよね。
先の「フォークを刺すといちごがはみ出る」問題に関しては、クリームのコンディションの問題が大きいですね。
要するに、クリームがダレていちごが滑ってしまうからフォークを刺していちごがはみ出してしまうのだと思います。
これは持ち帰る際の気温が高かったり、冷蔵庫から取り出してすぐに食べなかったり、お店の手を離れた後の食べる側の問題なので、ショートケーキの味の評価とは別に考えて欲しいと思います。
もちろん、ケーキの食べやすさ自体はお店側の問題なのですが、いくら保冷剤を付けたとしても持ち帰り後のコンディションまではなかなかお店側で担保できないので、致し方ないと思います。
だから私は普段から大きめの保冷バッグを持ち歩き、持ち帰りしかない「これぞ!」と言うお店にはアウトドア用のガチ保冷剤も持参します。
私はいちごが大好きなので、トップのいちごは先に食べる派です。
まずはクリームや生地とは別に、純粋にいちごの美味しさを味わいたいんですよ。
だから、完璧な三位一体感よりも、いちごとクリームだけ食べても、クリームと生地だけ食べても、全部を一緒に食べても、どんな風に食べても美味しいショートケーキが好きなんです。
それは素材へのこだわりと、技術と、それぞれのバランスとが揃わないと難しいんですよね。
だからショートケーキは面白い!
某大手ケーキチェーン店の中の人に聞いたのですが、そのお店では15年以上もの間、ショートケーキが不動の売上No.1なのだそうです。
やはりショートケーキは多くの方に愛されているのですね。
…と言いたいところですが、実際はきっとそう簡単ではありません。
なぜなら、その大手ケーキチェーン店はとても店舗数が多く、駅近やショッピングモールなどで気軽に買えるため手土産やお使い物としてもとても人気があるからです。
つまり、ご自身がそんなにケーキが好きではない方も、ケーキを買いに来るお店なんですね。
そう言う方は、ショートケーキを選ぶことが多いと思うんです。シンプルで「無難」だから。
そもそも甘いものが苦手な方は論外ですが、ケーキを喜んでくれる人でショートケーキが苦手だったり、嫌いな人ってあまりいないと思うんです。
もちろん、1番好きなケーキがショートケーキ、と言うわけではありません。でも、ショートケーキは苦手な人や嫌いな人が少ないケーキでもあるんですよね。みんなどんなケーキか知っているから。
だから、差し上げる際に喜んでもらえる確率が高いんです。
「ショートケーキとモンブランは買わない」と言う方も、もらえば食べることはやぶさかではないと思うのです。
それとほぼ同じ理由で、いちごが乗っていることもポイントなんです。
いちごが嫌いな方ってそんなに多くないですよね。もちろんゼロではないのは分かりますし、アレルギーで食べられない人もいるでしょう。
それでも、他の色々なケーキよりも選ばれないリスクが低いんですよね。シンプルで、誰でもわかる味だからこそ、無難なんです。
さて、いかがでしたでしょうか?
今まであまりショートケーキを召し上がらなかった方も、これからは是非!
じっくりゆっくりお店の違いを味わってみて下さい!
以上、ショートケーキの美味しさとは何か?を考えてみました。
【ショートケーキお店当てクイズの答え】
①アステリスク(代々木上原)
②エーグルドゥース(目白)
③エクラデジュール(東陽町、豊洲)
④パレドオール(銀座、青山)
⑤オクシタニアル(水天宮前)
⑥ベルノート(浅草)
⑦リュネット(駒込)
⑧シーン(麻布十番)
⑨シャンドワゾー(川口)
いくつわかりましたか?
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